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今だから
私はめったに手作り〇〇をしない。
手作り餃子とか、手作りコロッケとか。
ハンバーグは作るのに、コロッケは市販品(冷凍品)を買う。
家族はそれがコロッケだと刷り込まれてきた。
一昨日、何を思ったかあまり時間もないのに、コロッケ作ろうかなと思ってしまった。一度思うと、それが頭から離れない。
時間もないし、手間が多いし、油処理が面倒だし、とモロモロ作りたくない理由を並べながらも、手は動いている。不思議な現象。
キタアカリだったか、すぐに柔らかくなって潰しやすいジャガイモを使う。
茹でながら、もう一方でひき肉と玉ねぎを炒める。
この段階でも「ああ、やめときゃよかった」と思っている。
しかし、乗り掛かったコロッケ、やめることはできない。
もう、ここから他へ変更すると、そっちのほうが面倒になる。
混ぜて調味して丸めて衣を3段階で着け、揚げる。
一個一個計量して丸めたかったが、さすがに時間がなくてそれはやめた。
予想通り、いろんな大きさのコロッケが揚がった。
家族はまず「これ、お母さん作ったの!?」と口をそろえて言う。
へへぇ!と照れる。
テーブルの真ん中にどーんと山盛りで置いてみた。
「何個食べていいの?」なんて、みんな小学生みたいだ。
「大きさが違うから、お腹と相談して食べるんだよ」
私も小学生の親みたいだ。
「お前が作ったんだ?自分で作れるの、コロッケって」
義母が大げさにたまげている。
そりゃコロッケって、作れるでしょう。そこまで言う?(笑)
まあ、彼女なりの賞賛の仕方なのだと思う。
義母もきっと若いうちは、出来合いのものを買っていたんだろう。
ずっと仕事をしてきたから。
「これ、考えただけでも手間がかかるね」と夫が意外な反応を示した。
「芋茹でて、つぶして、だろ。あと何が入ってる?
野菜切ったり肉炒めたり、めんどくさいよね」。
夫は朝食や休日のお昼は、自分で作る。だから食品の値段が高いこととか、野菜炒めやカレーを作る時の手間は、知っているのだ。
こんな風に認めてもらえると、作りがいがある。
やっぱり男性も料理しておいた方がいいな、次男にも勧めなきゃと思う。
みんな芋に強くて、パクパクと平らげた。
私は芋類に弱い(滑りが悪くてなかなか胃に落ちない)ので、よく噛んで少しづつ飲み込む。隣では90歳の義母がおいしそうに2個目に手を伸ばす。
しかも彼女の退院後の主食はパンで、味噌汁もいらない日が多い。
「お義母さん、芋系に強いよね。カボチャとかサツマイモとか。
誤嚥の心配ないね」と言うと「そうかい」とか何とかうれしそうだった。
手間はかかるが、こんな反応がもらえると、ご飯仕冥利に尽きる。
今日の昼、次男と炒飯を食べていると、自分で食事を済ませた夫がキッチンに来た。私たちのご飯を見て「うまそうだなぁ」と言う。
「もう俺は済んだけどさ。俺、炒飯とか、炊き込みご飯とか、混ぜご飯ものが好きなんだ」と告白があった(笑)。
私は白いご飯が好きで、混ぜご飯系は思い出したようにしか作らない。
時々は要望に応えなくちゃと思う。
夜、夫はご飯を半分くらい残した。自分で盛り付けたのに「食べられない」とのこと。
昼にあんな会話をしてたのに。混ぜご飯ものを作らなかったのを後悔した。
よし、明日の晩は、炊き込みご飯だ。鶏ごぼうにしよう。
こんな会話って、もっと私たち家族の前期にあってもよかった。
前期といってもいつ頃かはわからないし今が後期というのでもないが、せめて義母と同居したり、次男や娘が戻ってきた頃……10年くらい前に、こんな会話ができたらよかったなと思った。
まあでも、今だからできていることかも知れない。
長男の手が離れて私のピリピリがなくなり(笑)、義母も自分が主婦だった頃とは違う距離感でいるし、夫と次男の間柄もかなりゆるやかでふんわりとしてきている。
今だからできた食卓の会話だったかもしれない。
すこし感激しながら洗い物をしていた。
※ヘッダー画像は、みんフォトからお借りしました。
お写真の下に投稿者さんのお名前が出ないのですが、
私が作ったコロッケではないのです。残念ながら(;^_^A
使わせていただき、ありがとうございました。
これほんとに、おいしそうです!!