見出し画像

赤いゴスペル

障害をもつ長男が一昨年の春、施設に入所して、34年の療育と介護の生活に一段落ついた。
入所の1年まえくらいから、長男が手を離れたら何がしたいか、考えるともなく考えていた。それは楽しみでもあり、寂しみでもあって、現実に目の前で長男と生活している間はまったく見当がつかなかった。

そして入所後の1年間は、特にこれといって何もしないですごしていた。
noteが楽しかったし、高齢犬と過ごす時間が大切だった。


昨年の春、ふと気が向いて見に行ったゴスペルライブ。
ここですっかりゴスペルの魅力に捕まえられたのだった。

あれから1年半になる。
自分がそのクワイアのメンバーになって、あちこちのライブで歌っているなんて予想もできなかった。
しかも私は、5,000歩くらい譲っても歌がうまいとは言えない。声も出ない。
それでも楽しく、大きな声で、気持ち良く歌っている。


今、63歳。この年になって、これまでに着たことがなかった色を着ている。
私たちのクワイアのシンボルカラーは赤+黒。
ステージのたびに、赤と黒の衣装でいそいそと出かけていく。

毎回袖を通すたびに心の隅っこで「ひゃあ~~(;^_^A」と言って着る。
いつぞやメンバーの人と2人で、ライブ会場へ向かう電車のボックス席に並んで座った。
夕方の電車で、次の駅から高校生たちが乗ってきた。通路はいっぱいになったが、私たちの席は向かい側の2人分がずっと空いたままだった。

私たちはといえば、ジャケットやカ―ディガンを羽織ってはいたけれど、胸元に「Don’t GIVE UP!」と大書された、赤黒Tシャツを着ているのだ。
こんなとんがり赤黒おばさん2名(もう1人は私よりもずっとお若いけど)に、高校生たちは近寄りたくなかろうよ、すまんすまん、と思いながらも、制服の子たちに遠巻きにされているのが妙に愉快で、これから向かうステージにさらにワクワクが高まった。


私が集めた赤黒アイテムは、ほとんどが赤いトップスに黒いボトムス。
(さすがに赤いデニム穿く勇気はない)
タンスの引出しの一つは、開けると赤い。
四季の「赤」が入っている。Tシャツ、長袖T、ブラウス、セーター、カーディガン。

私と同い年の先輩は、このクワイアが結成された当時からのメンバーで、十数年の「ステージ歴」だ。
彼女はふわっとした黒のワンピースに赤いパンプス。たっぷりあるグレイヘアをまとめて赤いワンポイントをつけたり、それに黒いハットを組み合わせたりして、すてきなのだ。
もう1人の先輩も、赤いチャイナドレス風に黒いショール。黒いレースの手袋。すっかり着慣れている。
耳元できらめくピアスに見とれる。

せっかくのステージ、私もそんな非日常の衣装を楽しみたいなぁと思ったりもする。しかし根っからのカッコつけのせいか、変わったことはしたくない。カッコつけたいから、あえて変化を求めない、ってところか。

・・・ん?
それってカッコつけてんの?とも思うが、まあ、そういう解釈ってことで。(ぶっちゃけ、センスがないからやれないんで!)

でもデザインはどうあれ、赤という色を身に着けたとたん、自分を肯定できるような気がするのが不思議だ。
赤の力。赤の魔力。
ある意味、開き直り?



おっと、書いていたら今頃気づいた。
還暦って赤いちゃんちゃんこ着る年やーん!

それかー!

なんなら、大黒様みたいな赤い被り物にちゃんちゃんこで、ステージに立つのもありかも知れない。

はたして、それはゴスペルなのか?


まあ・・・そういう解釈ってことで。(2回目)


12月はクリスマス時期なので、あちこちでライブがある。
昨日は駅前で。
今日もナイトステージがある。
赤をまとって、行ってきまーす!



こちらの企画に参加しています。


すまいるスパイス、今年も楽しい配信、ありがとうございました!
またまたこの年末も、愉快な企画ですね。
参加できてうれしいです。





いいなと思ったら応援しよう!