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いちじく畑でよろめく


いちじくの季節がきた。
いちじくを見ると思いだす。

学生の頃住んでいたアパートは
広いいちじく畑をつっきって
細い川沿いの遊歩道をしばらく歩き
ふっと何気なく下に降りるといきなりあった。

遊歩道下にアパートの敷地(畑)への門があって
裏口から入る格好だった。


2年生の頃だったか、友だちの下宿で飲み会をして
初めて、お泊り、ということになった。
じゃあ、ほら、夜はこれからだ、どんどんいこう!

私はあまり飲んだことがないのに、楽しくて楽しくて
たくさんお酒を飲んでしまった。

あれ、ある程度アルコールが回ると、うまいまずい、なくなりますね(笑)
ぐるぐる世界が回ってきたので「ねる~」といって横になった。
するとますますぐるぐる回って、「酔っぱらったんだな」と思った。
目をつぶっても暗闇がぐるぐる回っていた。


翌朝、頭がガンガンして、気分が悪くて、「ふつかよい」ってのになったなと感じた。
授業はない日だったが、早く帰りたくて、う~~っとなりながらも電車に乗った。

ほんの20分ほどだったけど、そこに嘔吐しそうで、
目をつぶって必死にこらえた。
下車駅に着き、駅からアパートへの15分ほどの道のりが永遠に思えながら「もう絶対飲まない」とぶつくさ言いつつとぼとぼと歩いた。
初秋の爽やかな陽ざしに包まれて鬱屈しながら、後悔のかたまりだった。

いちじく畑の中の一本道はこのヨッパライを人目から隠してくれたので
ときどきしゃがみこんでは、吐き気に耐えつつ、帰り着いた。

部屋に着いてとにかく横になりこらえるうちに、ぐっすり眠ったようだ。
目が覚めると、夕刻間近になっていた。

授業はないが、学祭を控えてサークルがあった!
のろのろと準備して、出かけた。

学祭準備の活動を終えて、遅い時間に星空を眺めながら歩く。
いちじく畑の上の夜空は広く、星は冴え冴えとしていた。


先輩が「昨日はちゃんぽんしたから、悪酔いしたんだね」と言っていた。

ほお~~、これが「ちゃんぽん」か。

ワインと、ウイスキーと、あと何かを飲んだように思う。
ちゃんぽんは悪酔いするのか。かわいい名前だけど、地獄だな。

調べてみると、醸造酒と蒸留酒の相性が悪いとか?
以来いままで、決して混ぜないで、単品を飲むようにしている。

学生時代の鉄の教訓がこれだ!(笑)




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