夏の終わりとムスメさん
猛暑の夏もそろそろ終わろうとしている。
今、窓の外から秋の虫の音が聞こえてきている。
昼間や朝に聞こえると、「秋きたな」と思う。
田んぼの畔の夏草の茂みの中で、鳴き始めたんだな。
朝露がたくさんで、うれしいのかな。
もう夏草も茂りきって、種を落として、バトンタッチだ。
ひと夏、娘は初めての農業をがんばった。
何も知らないで入社し、毎日いちごを摘みパック詰めし
又の日はトマトの接ぎ木、ツルの誘引を一日中やった。
トラクターに乗りたいと言ったら、田んぼ班になった。
自走式草刈り機を操って、一日中、畔の草刈り。
猛暑でも雨でも、外で草を刈った。
時々、私が大好きな白鷺の写真を送ってきた。
田んぼでよく見かけるらしい。
お盆まで、よくぞ熱中症にならなかったと思うくらい
毎日、外で草を刈った。
だから、お弁当作りも、補水液も、心して作って持たせた。
夕方帰宅しても、ひとことも愚痴が出ない。
今日はこんなことやった、こんなことで注意された、これを褒められた。
あの人はすごい、この人はものしりだ、尊敬する。
こんな話で盛り上がったんだよ~。
学生時代までは、意気込んで部活やバイトを始めてみても
人間関係ですぐに辛くなった。
そのたび、自信喪失していた。
義母が「〇〇ちゃんせっかく大学出て、もっと違う仕事もあるのに。
事務とかできるのに。もったいない」という。
娘は困ったようにニヤニヤして「外で働くのが好きだから」という。
「中にいると具合悪くなるんだ」。
稲が穂をつけ、現在、会社では「カメムシ防除」の薬剤散布をしている。
雨が多くて作業がはかどらないが、毎朝、淡々と出かけて行く。
「稲刈りは地獄なんだって。私いきなりライスセンターの機械の操作を教えられたんだけど、言われてることが全くわからないんだ。社長、なまってて(笑)」
今週からは土曜休み返上で、稲刈りの終了まで、日程が進んでいく。
「稲刈りがいつ終わるかわからないけど、終わったら3月まで5時上がりだって!」と、そこは、やはり嬉しそう。
この日曜に、自分の庭に花壇を作り始め、秋の小さい花と、木の苗を植えた。隅っこに、100均で買った小さなソーラーのランタンを設置した。
雨の休日は料理をしたり、お菓子を作ったり、ピアノを練習したり。
ほかにも何かしらやっている。
やることがあって忙しい娘を、端からのんびりと眺めているのは好きだ。
娘は会社の先輩と「お母さんどんな人?」という話になり、
「グータラです(笑)」と答えたと、ニヤニヤしながら言っていた。
昼間は、縦のものを横にもしない母親。
きっと、忙しい時間帯の私より、ぼんやり時間の私の方を好きってことなんだなと、都合よく解釈した(笑)。
今日は検診でくたびれて、ノロノロと昼ごはんの用意をしてたらラインが来た。
「しましまアイスとじゃ〇りこサラダのL買っといて下さい」
もう疲れたから買い物は行かない予定、と断ってみたものの、
うーん、私も食べようかな、しましまアイス。
「やっぱり行ける〜!、了解〜!」とあわてて返信した。
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