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奈良へ行ってきたよ①



入るなり、ここは一生一度の場所だと思った。
こんな空間にはもう来ることはないだろう。

なーんて、もったいぶってますけど、20年ぶりに奈良へ行った思い出その①です。

時系列で奈良の旅のお話をするには、記憶にまったく自信がないので
印象的だったことを思いつくままに、記事にしようかなと思います。

今朝はようやく体調も戻って来て、珈琲がうまい!
よし、そろそろ書き始めようかな、というわけです。



そもそも、奈良へは大学の恩師の『偲ぶ会』(今年2月に亡くなられた)に招かれて、訪れたのでした。
そのメインイベント後、二次会、三次会と参加しました。
三次会は、落ち着いた場所でお酒を飲みながら、ゆっくりしよう、ということに。

主催してくれた友だち夫婦(どちらも同輩、かつ下戸さん)が選んだのは、BARなんちゃらん、というオシャレな感じのお店でした。

スマホ片手に探すのですが、なかなか見つからない。
ここのはず!という所につっ立って途方に暮れる。なんか空模様が怪しくなって、ポツポツ雨が当たってきました。

というタイミングで「ここかな?」と。
見ると、看板もなーんにもないのっぺりした扉。
明るい夕方にランプが灯っている。
扉の把手はよく見るとねじねじした渋いデザインだ。

おそるおそる入り、暗闇にびびる。
すぐ横手のドアを開けたその奥には、青白い光が交差する空間がありました。目が慣れると、カウンターがあって奥にはバーテンダーが2名。
「うひゃ~~~」でしたね。
新潟のオバカン主婦、うひゃ~~~。

ここれは、もしかして、身ぐるみはがされて奈良三条通りの横道に放り出される展開か?
あるいは、6人(三次会に残ったのは6人)ともどこかの秘密の通路から、大阪湾まで運ばれて云々(私によくある妄想ゆえ省略)。

ムーディー勝山ふう(細身、白いシャツに黒パンツ、ちょび髭、もみあげ長め、髪の毛ポマードぺったり)の、あれはなんちゅー立場のひと?まあ誘導人に促されてカウンターを通り過ぎ、立ったのは、洋酒のボトルが上から下までぎっしり整列している棚の前。
ぎいっと押すと、それはくるりと回転ドアになっていた。

うへー、これはいよいよヤバイ!!
ヒミツの小部屋で何が待ち受けているのくわっ!!


そこは、狭いながらも整った空間でした。
ソファが1列に弧を描く正面は、上から下までガラス。その向こうは瑞々しい緑の坪庭になっていました。
こんなガラスの壁、地震が来たらビシバシ行きそうだと一瞬思いましたが
その時雨が本降りになり、私たちは白い雨脚を眺め、しばしうっとりしました。(地震はとりあえずどこかに置いておくことにしました。)


先輩は立場上、こういう所の経験はありそうだけど、わしら若輩者はまったくの不慣れなので、みんな臆病なるプライドで固まっていました(笑)。
やがて例の回転ドアがあいて、スタッフが入って来ました。

シュッとした若者。20歳代と思われる。あなた、夏休み?と言う感じでしたが、よく仕込まれて教育されていて、よどみなく注文をとる。
片膝ついて、うやうやしく。
うっわー、なんか、すいません、上から注文しちゃってごめんなさい。

それぞれが別なお酒を注文して、目の前に並んだ。
クラフトビール、ノンアルスイカカクテル、ウイスキーの水割り、ロック、すももカクテル、白ワイン。
おつまみは、ナッツとチーズ、ドライフルーツ、クラッカーにルバーブジャムを乗っけたやつ。

いや~~~、このシチュエーション。
これは、これは、一生に一度あるかないか、いや、ないと思われる。
じゃあこれは何!?
・・・そんな奇跡の経験でした。

私はワインを頼んだが、赤ワインはボトルしかないので白のグラスワインになった。このワインさんのお名前はなにかなーと耳を凝らしたが「・・・シャルドネ」しか判別できなかった。おされワインには違いあるまい。

大学のサークルで一番関わりが濃かった先輩がたと、一緒に笑いあい怒りあいふざけまくった同輩たちとで、懐かしく盛り上がりながら、3時間ほどが経過した。


おされな空間には、「表示」というものがいっさいない。
メニューもない。
時計もないし、化粧室の表示もない。避難経路の緑のランプもない。
一応スタッフに聞いて手洗いを目指すも、なんかのっぺりしたドアが鍵の手に貼り付いているのみ。どっちがどっちや!?

おされ空間、要注意なのでもありました。








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