逃避のご褒美だった
眠い。PCを眺めていてもついこっくりする。
まだ朝の10時前だ。
弁当を作りマル太郎の排泄(と、ちょっと散歩)をし
朝食を出して、自分用に歩いて。
乾いた洗濯物を畳んで、マルにくっつかれながら朝食を食べ
さて、ちょっとnoteを見ようとここに来る。
今日はタリーズでしばしの逃避をする予定だから
朝のコーヒーは飲まないでおく。
持って行く本は、中野京子「名画の謎 陰謀の歴史篇」。
これがあと10分くらい読むと終わるから、次のも持って行く。
次は同じシリーズの「対決篇」にした。
マルの散歩が思いがけず長かった。雨がぱらついてきて少し急がせる。
ようやくタリーズに到着。
せっかく特別な時間だし、秋のスイーツとセットでいこう。
ガラスケースを見ると…あった!
この秋のモンブラン!
もつにこみさんのnoteを読んでなだめてきた(煽られもしましたが笑)モンブラン食べたい欲が、報われる時が来た!
しかも最後の一個!
半年ほど前、こちらのもつさんのnoteを読んで矢も楯もたまらずタリーズに行ったのだが、どこの店舗でもお目にかかれなかった。
しかし、ずっと心の底で想ってはいたのだった。
そしてとうとう、もしやと覗いたケースの中に!
みっけ!
満足感たっぷり。
もちろん、コーヒーも美味しかった。
あー、いい逃避だ。
本は1冊目「陰謀の歴史篇」が終わり、解説は宮部みゆきさんが書いている。
宮部みゆきさんの小説は読んだことがないが、でもさすがにベストセラー作家の解説は面白かった。「うんうん、そうそう」「あー、なるほど」などとつい店内で声が出そうになる。解説と言っても、内容を読み解くのでなく、なぜ中野京子さんのこのシリーズが面白いのかという解説だから、同じ中野京子ファンとしてワクワクしながら読んだ。
私は絵画を鑑賞するのが好きだが、中野京子さんの「怖い絵」シリーズから好きになった画家はたくさんいる。
中でもロシアの画家、イリヤ・レーピン。
初対面は「怖い絵」シリーズだから、いきなりレーピンの怖い絵だった。
『イワン雷帝とその息子』
(怖いのでリンクだけ)
ショッキングな歴史画だが、ここにガンガンと響く恐怖があまりにリアルで身近で、自分に起こり得たかもと思うと、目をそらすことができなかった。
自分でもどうしようもない衝動が、大切な存在を壊してしまった。
その後悔。絶大な後悔に押しつぶされそうな恐怖。
歴史上の出来事とはいえ、ここに自分を見る思いがする。
遠い出来事ではなく、今も、どこかで起こっていることだ。
しかしこの父親はこのあとも、狂気に陥ることもなく生きて行ったのだと思うと、人間のしたたかさに、同じ人間として呆然となる。
それでも生きていられるものなんだなと。
シリーズを読むうちに5作のレーピンに出会った。
とてもリアルで、乾いた空気を感じるものが多い。情動を排除して、写実に徹したような絵に思えるが、それに魅入られてしまう。
色使いも、絵筆の筆跡も好きだ。
絵の話に力が入ってしまった。久しぶりに好きなものについて書くことになって、なんかうれしい。
今ふと思い出したが、高校の頃、新聞の日曜版に世界の名画を紹介する記事があった。1面の上半分を使って絵が載せられていた。下半分には画家について、その絵が成立した背景について、歴史的な位置など、記事があった。それが毎週待ち遠しくて、切り抜いてスケッチブックに貼って、結構な量になったものだった。
あれ、とっておけばよかったなぁ。
中でも一番印象に残っているのが、同じくロシアの画家の作品だった。
小屋の外、雪の中に洗濯物が干してある。それはガチガチに凍っている。
まぶしい朝の光のなかで、雪も影も青の濃淡で描かれていた。
作者の名前は忘れたが、絵は今でも記憶に残っている。
*
てなわけで、思いがけず今日は気持ちがふくらむ時間が持てた。
味覚とゲージツの秋、到来。