ドラマ人間

ドラマが好きである。
新しいクールに入ると、全チャンネルの全ドラマをほぼ録画しておく。そして必ず1-2話は目を通す。その後、振るいにかけて、最終回まで共にするのは5作品程度である。

決まった好きなジャンルはないが、キラキラした恋愛ものや、ラブシーンは、こそばゆくなるため、最近はあまり見なくなった。
ただ子どもの頃から「渡る世間は鬼ばかり」が大好きだった。えなりかずきの成長をテレビ越しでずっと見守ってきた。何世帯、何世代にもまたいだ話は、1回でたくさんの人間の物語や心の在り方を覗く事が出来て楽しい。それが自分がドラマを見る理由でもある。

人間の物語や心の在り方を見るのが好きだけれども、普通に生活をしていて、知人や友人に「ねえねえ、今までどんな人生だった?」なんて聞けないし、話した話が全てであるはずもない。
勿論ドラマは作り物であるが、人間の物語と心の在り方を表現してくれるから面白い。それに便乗して、泣いたり、笑ったり、喜んだり、怒ったりする。

だから出演者にも注視する方でもある。
(全くの素人目線であるが)、この人は演技が上手いな~と思う人のドラマを見るのが好きである。心が持っていかれて、その俳優が見えなくなり、その役に同情したり、怒ったりできたら、私にとっては素晴らしい俳優である。例えば、1クールで2作品に出演している人が、全く違う役を使い分けているところを見ると激萌えである。
逆に「冴えない女の子」の役を、眼鏡を装着しただけで演じようとし、しまいにはグロスも化粧もしっかりしていて、挙句の果てには「私自身、本来はキラキラしてるから!」といわんばかりの感情が滲み出ている俳優を見るとゲンナリする。
役になりきって欲しいのである。君を見ているのではなく、その役の物語と心の在り方を見ていたいのだから。

1クールのドラマの他に、半年間続くNHKの朝ドラはもっと好きである。欠かさず鑑賞している。
朝ドラは、世代、世帯、そしてその時代の歴史、人間の成長や人生の選択、最後は人生の終い方を見せてくれる。そして、何より、本当に悪人を作らないところも、朝見るのに口当たりがよく好きだ。勿論、途中は嫌な奴、ダメな親でも、物語後半では、猛省し心を入れ替えたりして人生を終う。とても美しい。。朝ドラ好きなため、主人公にモデルがいると、必ずまとめサイトを覗くのだが、実史はお話より残酷なものである。実際は、酷い親だったり、旦那だったり、災厄な離婚だったり。。実史ではそのまま書けないだろうなということばかり。でもそれでいい。実際の人間生活では成り立たない事が、ドラマでは成り立つ。
その成り立ちで私の心は動くのだから。フィクションであって、ノーフィクションでもある、でもやっぱりフィクション、そんな間をいったりきたりするドラマの存在が好きである。

実生活は平凡なもんである。
もちろんそれは幸せな事ではあるが。
大雨の中、傘も差さず立ち尽くすことも、憧れの人と偶然橋の上で出会うことも、酔っ払ってフラフラしながらヤクザとぶつかりボコボコにされることも、小さい時から抱いていた復讐心を抱き続け仇討ちをすることも、医者になった上に失敗しない医者になることもない。だから別の人間の物語を覗くのは、パラレルワールドとも違うけど、ワクワクドキドキするものである。

だから私はドラマを見る。
今日も他の人の物語や心の在り方を見て、私は自分の心を揺さぶらせたい。

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