【トピックスレポート:第16回】Yik Yakとは?
こんにちは!B.O.Mの竹内です。
B.O.M(ボム)は音楽ストリーミングサービスの楽曲URLなどを一つのリンクで管理・分析できるサービスです。
B.O.Mのnoteでは、月に2本程度音楽やマーケティングについてのトピックスを紹介しています。
第16回は「Yik Yakとは?」です。
近年、このnoteでも投稿した「BeReal」をはじめとした様々な新興SNSが登場してきています。
今回紹介する「Yik Yak」もまたその一つです。クローズドなコミュニティという場において最も効果的に機能するこのアプリはTwitterやInstagramとも異なる新たなSNSの時代を予感させるものとなっています。
今はまだ国内での知名度は限りなく低い一方で、アメリカではすでに多数の若年層のユーザーを取り込んでいるYik Yak。それは一体どのようなサービスなのでしょうか。
Yik Yakとは?
機能
Yik Yakとは、ローカル規模で現在地から5マイル(約8キロ)圏内のユーザーに対して140字以内で匿名で投稿ができるネット掲示板です。
高校、特に大学内のコミュニティーでその学校内の人しかわからないジョークやミーム、噂話やゴシップなどを共有するアプリとして人気を獲得しました。
Redditと同じく、ユーザーが投稿に対し投票を行なって表示される順序が変化するシステムを採用されています。またTwitterと同様にコメントやシェア機能を搭載しており、投稿はローカル規模に限られるものの、国内で人気になっている投稿やそのローカルエリアで1番人気の投稿なども見ることができます。
利用シーン
匿名で誰もが気軽に書けることからローカルな情報をいち早く仕入れることができるだけでなく、特定のエリアに住んでいる人しかわからないあるあるで盛り上がったりと様々な楽しみ方が可能です。
アメリカ人には有名人や他の人のツイートを見る目的でアプリを使っている人が多く、日本人に比べて発信目的で活用することは多くありません。
そのため学校の近くで何かが起きたりした時に、ローカルな情報を調べるのにこのアプリを使うという学生が増えているのです。
外でパトカーが何台も止まっているが何が起きているのかわからない、そんな時にアプリを開くと誰かが状況をアップデートしている…といったように生活に結びついた形で利用することもできるのです。
沿革
リリース
Yik Yakは2013年、当時サウスカロライナ州にあるFurma universityの学生だったBrooks Buffington と Tyler Drollの2人によってAtlanta ventureという会社から150万ドルの投資を受けて生徒内サービスとしてスタートしました。
学校内の噂話が自分と関係なく匿名で拡散できるという要素が人気となり、アメリカ国内の学生の中でアプリダウンロード数が増加。その後1年以内にAppStoreのトップ10にランクインし、180万ダウンロードを記録。運営元の会社は一時は400万ドル以上の利益を得たと言われています。
サービス一時停止
ユーザーが匿名でアプリを投稿できると言う側面から、特定の人やグループに対するいじめやヘイトスピーチ 、人種差別的な発言など、更には爆破予告や学校での銃乱射を示す投稿などが書き込まれる事態まで発展しました。その影響から、学校が避難指示を出したり、アプリ使用禁止を要求するなど学校運営にも悪影響を与えることとなってしまいます。実際に2014年には学校で の銃乱射予告および人種差別発言をYik Yakに投稿した学生が逮捕されるという事件が起きています。
このような事件が起きているなかアプリ運営では状況改善の様子もまったくなく、責任感の薄さ、そして対応の遅さに批判が集まりました。また、一時はユーザーのハンドルネーム設置によりこうした問題にアプローチすることを試みましたが、アプリの1番の売りであった匿名性が失われたことにより、仕様変更を行なった一晩で投稿数が大きく減少する事態にも陥ってしまいます。
無料アプリにおいて収入源となる広告収入にはユーザー満足度を常に高く保つためのエンゲージが必要となります。 それに失敗してしまったYik Yakはサービス終了となり、 類似したサービスを提供していたアプリも同様の理由から学生からの人気を維持することができず、長期的に渡りサービスを継続することはできませんでした。
買収、サービス復活へ
Yik Yakは2021年2月に新たな買収元の運営により再びアプリとして復活しました。
その復活に伴って、以下のような仕様の更新が行われることとなりました。
ヘイトスピーチ、差別的発言に対する対策:
ヘイトスピーチを固く禁止する新たなコミュニティーガイドラインの作成、ヘイトスピーチなどの内容を投稿したユーザーは即座にアカウントがBanされるシステムを導入。
アプリと個人情報の開示:
登録時に電話番号を求められ新たなポリシーに同意することが求められます。ここ数ヶ月、大学コミュニティでのYik Yakでは大学から与えられるEmailでの登録が求められる場合もあります。
リソースの拡大:
Stay Safeリソースというセクションからいじめなどに対する警告を表示しているほか、メンタルヘルスセクションからはアプリ上でのヘイトスピーチに対する投稿の取り下げなどを素早く申請することができるシステムが導入されています。
おわりに
今回はサービスの一時停止を経て、新たな形でコミュニティ密着型SNSとして復活したアプリ「Yik Yak」について紹介しました。
日本国内でもDIscordやBeRealのようなクローズドなコミュニティで機能するSNSが広まりつつあるなか、学生にターゲットを絞って展開するこのようなサービスもそう遠くないうちにユーザー数を急速に増やしていくかもしれません。
今後もB.O.Mのnoteでは、本件のような音楽・マーケティング業界におけるトピックスについての発信を行っていく予定ですので、ぜひフォローしていただけますと幸いです!
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