機械設計の本質(極意)
先日、Xで、機械設計の関する検図についてアップされていました。
世界トップで戦ってきた開発で身につけた機械設計スキルを、多くのメンバーの育成で完成し、現在は、多くの企業様で商品開発、技術開発などのコーチングや、機械設計そのもののスキルアップなども指導しています。
そこでのポイントをご説明したいと思います。
機械設計って、なにするの?
これに対する答えはいくつもあると思いますが、、、
あなたは、どう答えますか?
例えば、求められている価値を具現化すること。
というのがあります。
では、求められている価値って何でしょうか?
価値は、基本的に「機能」・「性能」・「品質」の3つに分けられます。
何が、どの程度、いつでも、です。
機械設計って、形、形状を決めることという人がいますが、
それだと不十分ですよね。
可動する設計もあります。動くものの仕組みなども併せて設計します。
歯車などを使った駆動部設計です。
機械設計って、設計図面を書くこと、っていう人もいます。
これも不十分ですよね。
それだと、設計ではなくて、製図になります。
確かに、機械設計の知識がないと、正しい図面は書けませんが、機械設計ではないです。
とすると、機能・性能・品質を、具現化するってどういうことか、ってなります。
それが、今回のポイントです。
それは、機械設計って、何をするのかの本質は、二つです。
位置を規定すること、と、力を規定すること、
つまり、位置を設計(規定)することで、その繋がりが、形状になります。
力を設計(規定)することで、必要なところに、必要な力が伝わるようにします。
で、この二つを設計する上で、考えるべき要素として、静的なものと動的なものの二つがあります。
なので、ほしい形は、すぐに作れますが、それが、機能・性能・品質の観点で、満足できているかを確認し、それらは、静的にも動的にも問題ないかどうかを確認します。
例としてそれぞれのところに挙げてみました。
静的な位置とは、ほとんどの方が機械設計でイメージするところです。
でも、できているかどうかは、別の問題です。
位置(形状)に関しても、力は考えなければいけないので、自重がバネ力などの静的な力が働いていると、変形することがあります。一つの部品であっても、カバーとしての位置、取り付け部分としての位置、組み付けの時の怪我防止のためのコーナーR、全ての箇所に、それぞれの位置の意味があります。それらをつなげることで、形状になります。
また、実際の加工を考慮すると、どちらでもいい位置の場合、Rをつけて型加工しやすい形にしますが、これもその箇所の位置を規定しています。
位置に関しては、動的な観点から設計することも必要です。
例えば、ギア伝達の駆動部です。
通常の歯車設計し、モジュールとバックラッシュ、軸の並行度などの一般的な設計をすれば、伝達することができます。
でも、ギア駆動っていうのも、位置の観点から見ると、その精度の必要性が見えてきます。横軸に時間をとって、伝達時の歯車と歯車の関係を細かくみていくと、1歯、1歯の噛み合いじの時間のばらつきが気になってきます。
それらを均一にするためには、歯車精度が要求されますし、歯面が斜めになっているハス歯にすることもあります。これも時間単位での位置を規定するためです。
力に関しても機械設計では重要です。
重量物を取り扱う場合は、重力を考慮する必要がありますし、事務機のように静電気力を扱う場合は、その影響度をコントロールする必要があります。
全てのものは、剛体ではありません。(必要とするレベルで剛体扱いできるものはあります)
必ず撓み、変形があるので、それは、単純に設計時に線を引けば形になると思っていると大きなミスとなります。
重心はどこにあるのか、それにより、固定部分での力の受け方、支点/力点/作用点の理解、ほんの少し、考慮するだけで、大きなミスを防げます。
動的な面で考えるべき要素としての力は、とても重量です。
コントロールしきれていない場合のミスで大きな失敗となるのが、ここになります。動的なものは、その速さだけではなく、重さも含めたエネルギーとして考慮しなければいけません。ブレーキなどでは、その摩擦力は、対応する動きに対して適切でなければいけません。
実際の例は、もっと、ふさわしいものがあると思います。
私は、事務機の開発をやっていたので、少し特殊かもしれませんが、あの小さな機械の中に、200°c以上の温度や、数キロの高圧、0.1秒をコントロールしなければいけない紙搬送などほとんどの技術が入っています。
なので、これらの考えで、もれなく設計し、チェックすることで、ミスをなくすようにしていました。
その上で、製図です。
製図は、お手紙です。設計思想、考え、それらを正しく伝えなければいけません。
だから、検図の時は、機能/性能/品質の確認と、図面から見える設計思想を最初に確認します。
確認の仕方は、基準を見ればわかります。
設計思想基準、組み立て基準、加工基準、製図基準、、、
で、一番重要な機能に関する寸法を確認しながら、その思想、
つまり、幾何交差を確認します。
単なる形状確認だと、設計にはなりません。
それなりのもの、形はできているけど、機能は果たせているけど、、、
耐久がダメ、異音がする、発熱が大きい、振動が大きい、
多くの企業様の開発指導もしていますが、
機械設計におけるハウツー(CADや製図の基本)はできていても、
設計思想を語れる人は少ないです。
逆にいうと、そこがポイントです。
なので、指導すると、すぐにびっくりするくらいに成果を出せるようになります。
自分の努力が、自分の成長と成果につながるように、、、
ファイトォ〜!
追
いやいや、よくわからん、っていう人は、お問合せください。
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