クライマーの生理学「糖質について②糖の消化とインスリン」
前回、クライマーの生理学「糖質について①」では糖質にはどのような種類があるのかを説明してみました。
今回は食べた糖質は一体どうなっていくのか。
糖質を摂取すると体にはどのような反応が起こるのか。
それを記事にしてみようと思います。
食べた糖質
僕たちが食べた糖質は、酵素により消化吸収され、体内を循環します。
まず口の中に入った糖質は、唾液に含まれるアミラーゼという酵素によってでんぷんやデキストリンに分解されます。
口の中で食物をよく噛むことで、この酵素が多く働き、より消化することができるのです。
唾液に含まれるアミラーゼは、胃の中に入ると30分ほどで機能を停止します。
胃を通過し、小腸に到達したでんぷんやデキストリンは膵液のアミロプシンによってグルコースやマルトースにまで分解されます。
単糖類まで分解された糖は、小腸から吸収され肝臓に送られ、グリコーゲンとして蓄えられるか、血中にグルコースとして流れます。
血中に移動したグルコースは脳や筋肉などに送られ、エネルギーとなるのです。
インスリン
糖質を摂取すると、血液中のグルコースが増え血糖値が上がります。
血糖値が上がることで、上がった血糖値を下げようと「インスリン」というホルモンが分泌されます。
インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンで、これは血液中の糖分を筋肉や脂肪、肝臓に送り込む働きをします。
これはクライマーの生理学「タンパク質について」詳しく説明しますが、血液中のアミノ酸を筋肉に送る作用(筋肉をつける作用)もあります。
気をつけなければならないことは、インスリンは脂肪細胞にも働くため、脂肪を合成してしまう「リポタンパクリパーゼ」という酵素が働き、「ホルモン感受性リパーゼ」という脂肪分解酵素の働きを阻害してしまいます。
つまり、インスリンの分泌は脂肪を増やしやすくし、脂肪を落としにくくしてしまうということになります。
そして、筋肉量が多ければ多いほど、インスリンによって体脂肪がつく可能性が低くなります。
逆に、筋肉量が少ない人はインスリンによって体脂肪がつく可能性が高くなります。
他には、糖質が多く含まれた液体(ジュースやアイス)などを一気に摂取すると、急激に血糖値が上がります。
急激に上がった血糖値を下げようと、大量のインスリンが分泌されます。
すると、血糖値は急激に下がり空腹や眠気に襲われてしまうのです。
運転中、眠い場合に糖質が多く含まれたジュースは飲むべきではありませんね。