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人生は“期待値ゲーム”──パイロットが語る「運」と「努力」の本質

なぜパイロットになれたか?結論「運が良かったから」

 パイロットを目指されているかたは、この見出しを見てがっかりされたかもしれません。でも、本当です。実際パイロットに「なぜパイロットになれたのですか?」と聞くと、半分くらいの方は「運が良かったから」と答えるんじゃないかと思います。
 なぜか?それは、成功するかしないかは最終的には運だから。しかしそれを理解しているのは、「最終的に成功が運の要素になるまで期待値を上げる努力をした人だけ」です。詳しく説明していきます。

人生すごろく論

「人生は確率論と期待値のゲーム、つまり”すごろく”だ」──これが、私がパイロットを目指し、実際に夢を叶えるまでの過程で強く感じたことです。

運がすべてではありません。でも、運は確実に影響します。そして、それを活かせるかどうかは自分次第。努力は、良い結果を引き寄せる確率を上げるための“期待値を高める”行為だと考えています。

私は人生を「すごろく」に例えます。スタート地点は人それぞれ違い、サイコロの出目もバラバラ。でも、自分が決めたゴールに向かって、一歩ずつ着実に進んでいくことが大切です。唯一自分でコントロールできるのは、サイコロの数とサイコロを振る回数。そしてそれらは努力と挑戦の数で増えていくのです。


1. スタート地点について

すごろくには、ステージ、スタート、ゴールがあります。人生で考えると、ステージは「生まれた国」、スタートは「生まれた環境」、ゴールは「人生の目標」です。この中で、自分で決められるのはゴールだけです。少なくとも生まれた時点において、その国と環境は完全に運に左右されます。ではパイロットになるにあたってどんな要素がプラスに働いたのか、振り返っていきます。

生まれた環境

- 日本という国に生まれたこと。
 先進国である日本に生まれたというだけで、正直めちゃくちゃ運がよかったとおもってます。

- 航空業界の基盤が整い、情報が手に入りやすい環境だったこと。
 インターネットで情報収集がしやすい環境が整っていたこと、そしてなにより就活のタイミングで自社養成パイロットの採用があったことは非常にラッキーでした。というのは、自社養成パイロットの採用はとても費用がかかるため、航空会社の業績次第では採用自体が無い年もあるためです。

- 東京郊外という立地のおかげで、多くの情報や経験に触れられたこと。
 就活の際に電車に乗って気軽にインターンに行けたことは都民の強みです。地方からインターンシップのために飛行機で来ている方もたくさんおり、交通費の捻出だけでも大変そうでした。また、空港に行けば実際にパイロットに会えたり、(効果はさておき)フライトシミュレーターを体験できる施設やエアライン受験に特化したスクールに通える点も大きなメリットだと思います。

- 金銭的に裕福ではなかったけれど、親が教育に理解があり、自由に学ばせてくれたこと。
 
幼少期は6畳2部屋のアパートに両親、姉、私の4人家族で暮らしていました。よく節約術のテレビを見て家族で節約していたことを覚えています。両親共に高卒でしたが、だからこそ子供には自由にやりたいことをやらせてくれるような環境でした。小学生の頃は週一回のテニスに通っていましたが、家計を考えると月謝を払うのも大変だったろうと思います。両親には本当に感謝しています。
 

これらは間違いなく「運」の要素です。でも、それだけでは夢は叶いません。


2.努力の大切さ


運だけではパイロットになれません。

努力は、サイコロの数を増やし、より良い目を出す確率を上げるための手段です。

サイコロの数を増やす努力

- 語学、数学、身体能力など、パイロットに必要なスキルを地道に磨いた。
 パイロットを目指すと決めてからは、パイロットになるために自分に足りない要素はなにかを考え、スキルを磨きました。具体的には、毎朝のスカイプ英会話、毎日の筋トレ、大学での航空工学を中心とした勉強などです。

サイコロを振る回数を増やす努力

-採用試験やインターンシップなど、挑戦できる限り諦めずに挑戦。
 航空会社によっては自社養成パイロット志望者向けのインターンシップを開催していた会社もあったので、チャンスだと思いとにかく挑戦できる限り挑戦しました。大学3年時のころから受けていたので、採用試験合わせておそらくトータルで10回弱は受けたのではないかと思います。
- 失敗しても、次の機会をつかむために準備し続けた。
 
パイロットとの個人面接の際などにアドバイスを頂き、そのアドバイスに忠実にしたがって次の機会に向けて準備しました。具体的には、「少し自信がないような印象を受ける。パイロットはお客様に安心感を与えるのも仕事のひとつ。歩く姿を見て不安感を抱いてしまうような人はパイロットにはなれない。」とアドバイスを頂いたので、まずは見た目からと考えすぐにジムに通って筋トレを始めました。その結果体重が8kg程増え、それ以降の面接はすんなり通るようになりました。

努力は「確率」を変える力を持っています。


3.パイロットならではの要素

パイロットになるには、努力では補えない部分もあります。

- **飛行適性**
 どんなに努力しても、適性がないと難しい。3次元空間を動く飛行機を飛ばすには、ある程度の適性が必要です。
- **航空身体検査証明**
 厳しい基準があり、体質的な要素も関係する。普段日常生活を何不自由なく過ごせている人でも、航空身体検査の基準を満たしていない場合もあります。健康管理でなんとかなる項目もありますが、なんとかならない項目もあることは確かです。航空身体検査を通過できた方は、健康な体に生んでくれたお母さんに感謝しましょう。

これらは「すごろくのルール」のようなもの。どんなに努力しても変えられないルールがあることを受け入れることも大切です。


すごろくのように人生を進める

人生はまるで「すごろく」。

- **スタート地点は運で決まる**
- **サイコロの出目は予測できないが、努力次第で振る数と回数を増やせる**
- **ゴールを決めるのは自分自身**
- **振ったサイコロの結果をどう活かすかがカギ**

「運が良かった」と一言で片付けるのは簡単です。でも、実際には「運を最大限活かせるように努力した」からこそ、パイロットになれました。そして、その努力が新たな運を引き寄せたのだと思っています。


これからの展望


次の記事では、人生の具体的な選択や行動がどんな影響をもたらしたのか、さらに詳しく掘り下げていきます。

パイロットを目指す人はもちろん、どんな夢を持つ人にも役立つ内容にできたらと思っています。

人生というすごろくは、まだまだ続きます。次のサイコロの出目は分かりませんが、期待値を最大化するために、これからも努力を続けていきます。

あなたは、次にどんなサイコロを振りますか?

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