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Life is Strange2の感想(過去作・序盤ネタバレ有)

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1.はじめに

"Your actions and decisions will have consequences."
"Choose wisely..."
自分の選択が回りの世界に影響を与えるアドベンチャーゲーム、「Life is Strange」シリーズの最新作として2018年9月末にEpisode1がリリースされた。最終話であるEpisode5が2019年12月に配信され、日本語ローカライズ版の発売が2020年3月26日。

!この記事は、本作序盤および過去作のネタバレを含んでいます。読む際にはご注意ください!

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トロフィーの取得日時からもわかる積みっぷり

私はPSPlusのフリープレイで「Life is Strange」シリーズに出会い(Twitterのフォロワーに推されて始めた)、以後、2作目の「Before the Storm」からは先にやれる(+値段が安い)ということで、海外版をDLしてプレイしている。LiS2も配信日にDLしプレイし始めたが、実のところ、Ep2の序盤で投げ出してしまい、結局日本語ローカライズ版が出てからクリアするという情けないことになった。

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Life is Strange2は、前作と同じ世界(universe)を持つ作品とのことで、オリジナル版と、そして2の体験版の位置づけである「The awesome adventure of Captain Spirit」との連動要素がある。両方とも、本作に与える影響はそれほど大きくない(少なくとも、主人公たちの物語に影響するレベルではない)のだが、2をプレイする前に、ぜひともオリジナル版および2の体験版をプレイしてほしい。

以下、軽く過去作について触れていく。

2.オリジナル版「Life is Strange」

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オリジナル版「Life is Strange」は、オレゴン州にある架空の田舎「アルカディア・ベイ(Arcadia Bay)」を舞台とし、そこのある「ブラックウェル・アカデミー(Blackwell Academy)」という芸術系に強い全寮制の私立学校に通っている「マックス(Max)」という写真好きの少女と、その幼馴染である「クロエ(Chloe)」という少女が、ある日突然いなくなったクロエの親友「レイチェル(Rachel)」を探すうちに、この学校に渦巻く黒い事件の真相を知るといったストーリーだ(敢えてそう書かしてもらう)

私はアメリカで生活したことがないので、実際に体験したわけではないが、この作品では、特に観光資源もないアメリカの小さな田舎町、また全寮制の学校という閉鎖的な環境の中で、田舎町の閉塞感や未来に対する不安、また、ジュブナイルものには避けられないスクールカースト(おもにお金、いじめ、性)の話、といった問題をうまく描いており、リアリティさを感じさせる一方、主人公のマックスは時間遡行の能力に目覚めるというリアリティのなさがミックスされているおかげで、いい意味でゲームだな。と感じさせてくれる。

詳細はゲームをプレイして知ってほしいのだが、オリジナル版Life is Strangeの主人公はマックスで間違いないのだが、この作品はクロエの物語である。ということだ(あくまでも個人の感想です)

作中のマックスは、与えられた力を、自分の守りたい人のために使う。守ることが自身のエゴにもつながっているといえばそうなのだが、基本的には、人のために自己犠牲を厭わない姿勢を貫いており、物語を通じてマックスはゲームのヒーロー的立場に居続けている。逆に、クロエは家庭での人間関係も悪く(主に継父と)、どちらかといえばすさんだ人生や考えを持っていたが、マックスと過ごしていくことにより、最終的に自分自身がなすべきことを自覚していく。この物語で成長しているのは間違いなくクロエだ。

このシリーズでは、最後に究極とも言える2択の選択のどちらかを選ばないといけないのだが、これがのちの作品にも反映されていくこととなる。

3.外伝「Before the Storm」

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オリジナル版Life is Strangeはクロエの物語と言ったが、今度は正真正銘クロエが主人公の物語だ。オリジナル版の3年前のタイムラインで、クロエがレイチェルとどのような関係を築いてきたか、どうしてクロエがオリジナル版のクロエになったのか。といったことが掘り起こされる。この作品では、アルカディア・ベイやブラックウェル・アカデミーが当然舞台として出てくるのだが、今度は家族関係に代表されるドメスティックな問題と、そしてドラッグに代表される社会のアウトローな側面に焦点の置かれた話になる。オリジナル版とはまた違ったダークな展開を見せる。全部で3エピソードと短いながら、時折衝撃的な展開を見せるので、これも実際にプレイして確かめてほしい。

4.体験版「Captain Spirit」

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Life is Strange2の体験版を名乗る今作であるが、体験版でなく本編のサブストーリーである。実際に本編で立ち寄り、関係する人物の人物像や、家庭環境について知ることができる作品となっている。内容はそれほど多くないので割愛するが(この作品も社会のリアルを表現している)
この作品をやっていると、本編のとある局面で非常に役立つシーンがあるので、プレイしてみて。そしてSufjan Stevensの「Death with Dignity」を聴いてしんみりしてほしい。

5.Life is Strange2

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今までの作品では、田舎街の閉塞感(それは、体験版のCaptain Spiritも含まれる)が現れていたが、主人公たちはシアトルで生まれ育った兄弟だ。
(過去作では、オレゴン州ポートランド、ワシントン州シアトルが都会の象徴として扱われていた)
ややこしい隣人トラブルに巻き込まれた結果、警官によって父親が殺され、弟は突如超能力に目覚める。兄弟たちは不幸なトラブルにより警官を殺した罪に問われることを恐れ、シアトルから逃げるように去り、16歳と9歳の兄弟は父親の故郷であるメキシコを目指し流浪の逃避行を始める。

この作品では、ふたりの兄弟のうち、プレイアブルなのは兄のショーン(Sean)のみである。兄は(大麻をやったりはするが)、普通の青年であり、特別な能力はない。特別な能力を与えられた弟ダニエル(Daniel)は、当然ながらまだ9歳ということで、自分勝手で、興味の赴くままに行動するし、身の回りの大人たちに追い付こうを背伸びをし、時に(無自覚に)悪さにも手を染めようとする。

弟ダニエルはテレキネシスの能力に目覚めているが、与えられた力は当初制御できず、制御できたとしても、いたずら心を働かせるし、感情によって能力の発現にムラがでる。ここがオリジナル版のマックスとの最大の違いで、プレイヤー(兄)は超能力を直接行使できない。力を正しい方向に使わせるかどうかは、兄の(弟に見せる)行動に関わっている。兄(現実)が弟(非現実)のタクトを取り、コントロールすることが、今作のゲーム性である。

これがなかなか難しく、随所に設けられた選択が、弟ののちの行動に影響し、また、兄自身も様々な局面で選択を迫られることで、自らの考え方を形作っていく。

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最初は兄弟ふたりの世界という非常に狭いドメスティックな関係から、道中で様々な人(たとえば、レイシストや、クスリをやっている人、敬虔なカトリック教徒など)と出会い、アメリカ社会のもつ負の側面を、兄弟の旅を通じて教えてくれる(兄弟がメキシコ移民の子供という事実も、これを後押しする)。ロードトリップの中で出会う世界はどれも閉鎖的でありながら、バリエーションに富んでおり、その点ではいずれのエピソードも飽きさせない展開だった。

先述のとおり、弟ダニエルは兄の行動により自らのパーソナリティを成長させていく。兄が悪いことをしてもいいといえば、弟は悪くなるし、兄が悪いことするのをやめろといえば、弟は改心する・・・とはいかないのがこのゲームの面白いところだと思う。兄の態度や姿勢は、ある程度までは弟に伝わるが、弟も自分自身で考えを持っていくようになり、選択によっては、兄の忠告を聞かない可能性だって出てくる。タクトを振ってコントロールできると思っているのが、いつの間にか思い上がりに変わる。そう考えると、より一層自らの発言や選択に注意深くなれる。

詳細な内容はもちろんプレイして確かめてもらいたいが、ゲームの最後は、シリーズ恒例の究極の2択。ただし、それを選択するのは兄であり、そこに弟の意思も乗ってくるということを忘れてはいけない。

6.最後に

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このゲームは全5エピソード構成だが、できれば通しでプレイすることをお勧めする。ただ、私がEp2の序盤でいったんやめてしまった理由でもあるのだが、Ep2の序盤まで兄弟ふたりの展開が続き、もう少しさっさと進められないかなあと感じてしまったから(もちろん、英語力の不足も大きな要因なのだが)。

オリジナル版よりも、自身の選択が及ぼす影響の範囲が広く、そして大きな選択を迫られるシチュエーションが多くなっており、頭悩ませる展開になると思う(正直Ep3でやめたくなるくらい心にきた)、それでも、この兄弟の行く末を最後まで見届けてみたいと思えるいい作品だったと思う。

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