Shantae and the Seven Sirens 感想
発売から一週間足らずトロコンしました
ゲームについて
ゲームタイトル:Shantae and the Seven Sirens
(邦題:シャンティと7人のセイレーン)
ジャンル:アクションアドベンチャー
発売日:2020年5月29日(日本時間)
ハード:PS4、XboxOne、Steam、Apple Arcade
※Steam版のみ日本語ローカライズあり。他は日本未発売
【追記】2020年10月29日に日本語版が発売されました。
初周プレイ時間:7時間半(ゲーム内時間)
一体どんなゲームなの?という人のために、まずこのゲームシリーズについて説明したい。何せ本記事のタイトルはシリーズ5作目だからだ。
「シャンティ」というゲーム
まず、紫髪のどちゃくそカワイイ女の子がこのゲームシリーズの主人公、シャンティ(Shantae)だ。
英語の発音をカタカナに起こすとシャン→テイ↑って感じ
シャンティは母親が魔人(Genie)の、その血を受け継ぐハーフジーニーで、魔法の力を持つ女の子だ。彼女はその力を使い、普段はシークイン・ランド(Sequin Land)にあるスカットル・タウン(Scuttle Town)のガーディアンジーニーとして、街を外の脅威から守っている。
また、もう一人の重要なキャラクターがシリーズ通じてのヒール役であるグラマラスなお姉さん、女海賊リスキィ・ブーツ(Risky Boots)だ。リスキィは7つの海を統べる女王(Queen of the Seven Seas)になるために、シリーズを通じてさまざまな手段で力を得ようとする。基本的に、シャンティの冒険は彼女の行動をきっかけにはじまる。
主人公シャンティは迫りくる脅威に対し、後ろに束ねた長い髪を前方向にしならせて敵を叩く、魔法を用いて炎、雷、モーニングスター、ミサイル、バリアなどを使う、そして踊ることによりさまざまな動物や生物に変身する力を持っており、それらを駆使して戦う。
本シリーズは無印ロックマンのようなシンプルなアクション性と、ダンジョン探索に見られるメトロイドヴァニア的要素が絡んだゲームで、能力を駆使して敵を倒したり、謎解きをすることが醍醐味だ。シリーズ通じて全体的な難易度は低めに設定してあり、アクションゲームが苦手な人も十分にできるようにはしてある(シリーズの恒例として、最後のステージだけは難しいアスレチック面となっているが、そこまでこれたプレイヤーは問題なくクリアできるであろう)
シリーズ4作目「1/2 Genie Hero」より
また、魅力的な雑魚敵が多いのも本ゲームの特徴だ、敵は基本的に人外キャラであるが、スライムでさえセクシーなお姉さんをかたどっていたり、ボンテージ衣装をまとったセクシーコウモリお姉さんがいたり、巨女だったり…とにかくセクシーな敵が多いです(もちろん普通の敵もいっぱいいますのでご安心ください)。あと基本出てくる若いおねえちゃんはナイスバディです。
また、シリーズ通じての特徴として、ゲームのクリア時間や達成度によりご褒美CG(Win Screen)をゲットすることができる。例えば、「○時間以内にクリアする」「○時間以内に100%クリアする」などの実績をアンロックすると、クリア後に一枚絵が表示される。キャラ紹介の画像ですでに察している方もおられると思うが、難しいチャレンジであればあるほど、キャラクターご褒美CGもより豪華になる(作品によっては、差分絵を用いている)。そのため、このゲームは周回プレイを前提として作られており、一周のプレイにかける時間はそれほど長くならないようにつくられている。
このシリーズ、北米ではコアなファン層を手に入れており、シャンティは人気が高いキャラクターである。ゲームの人気キャラはよく「大乱闘スマッシュブラザーズ」に出してほしいという声があがるが、シャンティはアメリカではキングダムハーツのソラ並みの人気があり、それは「#Shantae4smash」などのタグで垣間見ることができる。
シリーズ紹介(1作目~4作目について)
初代「Shantae」
初代「Shantae」はゲームボーイアドバンスが発売された後に出たゲームボーイカラー専用ゲームだ。ちょうど先日、発売から18周年ということで、公式にはたくさんのファンアートが寄せられている。
初代Shantaeは発売時期、ハードの問題もあり、日本では発売されておらず、私もプレイしたことがない。ただ、上記にあげたTAS動画を見てもわかるように、なめらかに動くドット絵、周囲の明るさの変化がわかる配色、奥行き方向の移動の表現といったところに、このゲームのクオリティの高さを感じることができるだろう。私は当時ニコニコ動画でこのゲームのTAS動画と出会い、シリーズ続編が出ているということで、以後プレイすることになる。
2作目「Risky's Revenge(リスキィ・ブーツの逆襲)」
シリーズ2作目 Risky's Revengeの冒頭。リスキィに襲撃される
北米ではDSiウェアで配信されたが、私はiOSでプレイした。前作より使えるカラー数やピクセル数が増えたことにより、ドット絵のクオリティがさらに上がった。本作は、リスキィ・ブーツが魔法の力を身に着けようとするのをシャンティが阻止する物語となっている。
3作目「Pirate's Curse(海賊の呪い)」
ニンテンドー3DSで発売された本作は、デザイナーに日本人イラストレーターを起用し、キャラ絵が格段にかわいくなっている。もともとシャンティという作品自体が日本のアニメや漫画の影響を受けていると作者は発言しているらしく、この作品は日本でもローカライズして発売されたことでこの作品でシャンティを知った層もいるのではないかと思われる。
本作は、前作とは異なり、リスキィ・ブーツと協力関係を持ち、島々を航海するステージ選択式となっており、行く島々でダンジョンを解放→探索し攻略するスタイルとなっている。また、今作のアクションは変身がない代わりに、海賊の武器や道具を使った派手なアクションができ、ステージ設計も派手なアクションに合わせたスケールとなっている。
ステージ選択式となったことで、クリア後に新たにゲームモードが追加され、最初から全武器をアンロックした状態でゲームスタートできる、いわゆる「強くてニューゲーム」モードが実装され、序盤のステージを一気にショートカットするといった新たなルート構築ができるようになっている。
4作目「1/2 Genie Hero(ハーフジーニーヒーロー)」
シリーズ初のテーマソング「Dance Through the Danger」が設定された
前作と比較して、キャラ絵はディフォルメされている。個人的には好み
DLC第一弾 Pirate Queen's Quest リスキィ・ブーツがステージを駆ける
DLC第二弾 Friends to the end シャンティの友人たちが奮闘する
DLC第三弾 Costume Pack 個性的なシャンティのアクションを楽しめる
プラットフォームをHD機に移したこの作品は、KickStarter(いわゆるクラウドファンディング)によって開発資金を集め、製作されたものだ。集めた資金額は90万ドル以上と、このシリーズの人気の高さがうかがえる。
HD機の一作目+クラファンによる資金調達ということもあり、ゲームはステージ選択式で、過去作に比べるとステージ内ダンジョンもそこまで大きくなく(シリーズ恒例のマップが存在しない)、ボリュームとしては少なめではあるが、踊りによる変身の種類が豊富で、さまざまなアクションが楽しめる。
そして今作の魅力は、豊富なゲームモードにある。のちにDLCで配信された、リスキィ・ブーツを操作するモードを含め、6モードが追加された。攻略するステージは全キャラほぼ共通だが、それぞれの動きに個性があり、新鮮な気持ちでプレイできる。また各モードでご褒美CGがそれぞれ実装されている。頑張って集めよう。
今作はエンドクレジットに出資者一覧が出たり、資料館が用意されてそこにファンアートが飾ってあったりして、ファンに支えられた作品だということがよくわかった。
現在は「Ultimate Edition」と銘打った完全版が日本でも発売されているので、購入時はそちらを買いましょう。ぜひ。
5作目「Shantae and the Seven Sirens」
ようやく本題。
この立ち絵めちゃくちゃかわいくないですか?好き
HD機2作品目、シリーズ5作目となる本作は、シャンティと友人たちが休暇を過ごそうと「サンケン島」(Sunken Island)に訪れるところから始まる。そこで、シャンティは自分以外のハーフジーニーたちと出会うことになる。
今作のハーフジーニーたち、シルエットでネタバレ回避
サンケン島に着いたシャンティは、ハーフジーニーフェスティバルというイベントに急遽参加することになる。今作の特徴のひとつであるが、カットシーンにアニメーションが追加された。冒頭の公式動画は日本のアニメーションスタジオTRIGGERによる製作と発表され、発売前から話題を呼んだ。(作中のアニメはタイのアニメ製作会社によって製作されている)
ハーフジーニーフェスティバルの開幕で、なんと自分以外のハーフジーニーたちが突如いなくなる。彼女たちを探すことを決めサンケン島を探索するシャンティ。道中で出会ったのは見覚えのある女海賊。
黒いのはシリーズ恒例のリスキィの手下 ティンカーバット
今作もリスキィ・ブーツは「七つの海の女王」を目指すべく、何か目的がありサンケン島を探索して回っているようだ。道中で何度かリスキィ・ブーツと対峙することとなる。毎回出会うたびに含みのある発言をしては去っていき、ストーリーを進めていくことで彼女の真の目的を知ることとなる。サンケン島にはすごい秘密があるようだ。
踊りはジーニーの魔法の力に変更 いわゆる大技に
今作の特徴として、前2作のようなステージ選択式ではなく、2作目のリスキィ・ブーツの逆襲のように全マップが地続きとなっており、ひとつの大きなマップを探索するメトロイドヴァニア的なゲームになっている。マップには迷宮(Labyrinth)がちりばめられており、そこでは謎解きやボス戦が待っているといった点は、原点回帰を感じさせた。
シリーズ恒例のダンスをはさむ変身アクションはワンボタンで起動するシステムに変更され、3作目の海賊アクションの要素を反映したようになっている。ダンスはジーニーの魔法(いわゆる大技)に変更。4作目のダンスの中で画面全体の相手を攻撃する技を買うことができるのだが、それがストーリー中に手に入るようなシステムだ。
迷宮では、個性的なセイレーンたちとのバトルが待っている
良かった点
マップ探索、ダンジョン探索のボリュームアップ
全てが地続きになったこと、また迷宮以外のマップも十分に広く、隠し要素もたくさんある。また、全マップが地続きになっているため、タイムアタックのチャート構築も、どのタイミングでそのマップに寄るか、アイテムをいつ回収するか。といった全体の流れを考える必要があり、その作業が純粋に楽しかった。
ストレスのない変身アクション
シリーズにおいて、変身アクションは主にステージ内ギミックを解くことや、敵の攻撃を回避することを目的にしている場合が多い。過去作では変身をするためにはいちいち踊らなければならず、ゲームではポーズ状態になるとはいえ、テンポが悪い。唯一3作目「海賊の呪い」のみゲームの特性上踊りを挟まずにさまざまなアクションができるようになっていたが、それを踏襲したシステムにしてくれたのは良かった。
新要素「モンスターカード」が良い
今作の新要素として、雑魚敵を倒したときに一定の確率でカードをドロップする。一定枚数を集めることで、カードを装備できるようになり、モンスターの特性に応じた能力を得ることができる。中には攻略にすごく使えるカードもあり、装備することでゲームをより快適に進めることができる。ほぼすべての敵がモンスターカードとして登録され(一見倒せない無敵の敵でさえ)、収集大好きオタクの私としては全種集めたる!というモチベにもつながった。
個人的に良くなかった点
ロード時間
全マップ地続きとはいえ、ゾーンの切り替えにはロードを挟むことになる。迷宮に入るときのロードは致し方ないとしても、ワールドマップを探索するで一瞬だけ別ゾーンに入り、再度別ゾーンに出るといった際はそのたびロードを挟むことになるので、少しストレスに感じた。
また、今作の魅力でもあるアニメーションによるカットシーンは、カットシーン前はロードレスなのだが、カットシーン後にロードが入る。ボス戦の前にカットシーン→読み込み→ボス戦の流れがテンポが少し悪く感じ、もったいないなと思った。
モンスターカードまわりのバランス
モンスターカードはモンスターの特性を活かした能力になっているが、使える能力と全く使えない能力に二極化してしまっている。例えば、水を泳ぐスピードが速くなるという能力があるのだが、作中でたくさん使うことになる水を潜るときの泳ぐスピードには変わらない(別カードに割り当てられている)ため、作中ではほぼ使うシーンがないといったものがある反面、特定の魔法のDPSを倍にするといった壊れ性能のものまである。作中で使うカードは「移動速度が上がる系」「特定の魔法をエンハンスする系」「落下ダメを0にする」「ジェムのドロップ量が増える」など6枚程度になってしまう。
そしてカードのドロップ率がめちゃくちゃ渋いキャラがいる。出現個体数が少ないものはそもそもカードが取れず、またマップを切り替えただけでリスポーンする敵はドロップ率が渋いのに加え、能力アンロックに複数枚必要になるといった点で、さらに言えばそういったカードは使えないものがほとんどで、ゲームをクリアする上では全く必要ない。事実、モンスターカードはゲームの達成率には関係がないため、開発側もあくまでも付加価値を持たせるという位置づけで実装したのかなと感じた。
パイクボール系強すぎ問題
シリーズ通じてだが、シャンティの魔法の中でもパイクボール(およびその上位魔法のシミター)があまりにも強すぎる。事実スピードランではこの手の魔法のアップデートが必須であるし、ストーリーボスもこれがあるのとないのでは難易度に大きな差が生じる。パイクボールをナーフしろとは言わないが、他の魔法をもっと強くして欲しいと思っている。
まとめ
今作はクリア後にNew Game+がアンロックされる
今作は、過去作の良い要素に加え、新規の要素をうまく足した作品となっており、良いゲームだと思います。メトロイドヴァニア的ゲームの特性上、前作のようなゲームスタートから全要素をアンロックした「強くてニューゲーム」みたいなことができないし、DLCで拡張することも難しいように思える(別マップを用意しないといけない気がする)ので、一回サッと遊ぶやり方がいいかなと思います。
ご褒美CGもルート構築さえちゃんとすれば今作は割と容易に達成できると思うので、100%データを作りつつメモを取れば3~4周ですべて回収可能です。
シャンティがかわいいと思った人はぜひプレイすることをおススメします。