一時帰国とワクチンパスポートの話
まえがき
2021年10月、仕事の都合で中国に赴任することになった。ちょうどその頃は高齢者向けに新型コロナワクチンの3回目が始まるかどうかというタイミングだったため、私は2回接種済の状態で暫く日本を離れることになった。
時は流れ2022年12月。中国のゼロコロナ政策が突如全て解放され、解放からものの1週間もしないうちに私は陽性となり、1週間程度頭痛や若干の味覚障害に苦しんだ。そして当初予定していた一時帰国がキャンセルされて、翌月の春節に15ヶ月振りに日本に帰国した。その際にワクチンの3回目の接種をしたのだが、接種証明(ワクチンパスポート)の発行で少し面倒なことになったので、記録として残しておこうと思う。
中国→日本の水際対策について
中国が突如180度ともいえるコロナの政策変換を行ったことで、中国から日本への入国の際の要件が
入国72時間前のPCR検査陰性証明
(指定病院での鼻ぬぐい検査)着陸後、PCR検査実施し陰性となるまで入国不可
となった(中国出国時に72時間のPCR検査陰性or指定ワクチンの3回接種証明なのは変わらないが、日本はPCR検査のみが証明書として認められることになった)
1.については元々中国国内でワクチンを接種しなかったし、大使館指定の病院は上海市であればそこそこあるので問題はないのだが、2.が結構困る。入国後の国内移動の時間の見通しが立たないからだ。帰国前のニュースで空港から出るには着陸後2〜3時間かかっているとのことで、仮に3時間もかかるようだと当日中に家に辿り着けないという(関西人には成田空港遠すぎ問題)事情もあり、気が気でなかった(朝の便が取れず、夕方成田着のものしか取れなかった)
入国の水際検査の流れとしては
着陸後、前列からいくつかのブロックに分かれて機内から出る
ラウンジスペースに並び、パスポート登録して検体採取管をもらう
唾液サンプリングして提出
陰性証明などの書類確認
呼ばれるまでひたすら待機
番号が呼ばれたら陰性確定→イミグレへ
1.からわかるように、飛行機は前列に座っている方が早く検査に行ける。上海でチェックインの際、事前に席を取っていなかったので必然的に空き席のどこかを選ぶことになったのだが、係員に「空いてるところの一番前にしますね」と言われ特に何も考えずに従った。これによって私は当日中に成田空港から家に帰ることができた。少なくとも、あと5列後ろ(次のグループ)だっだら東京駅の新大阪行きの終電に間に合わないくらいにはギリギリだった。ありがとう係員さん。
3.は日本で唾液のサンプリング検査を受けたのは初めてなので驚いたが、結構な量の唾液を吐かないといけない。しかし飛行機ではあまり水分を摂らないようにしているので喉はカラッカラになっていて、所定量の唾液を出すのにかなり時間がかかった(1回出したら足りないと言われた)
待機時間は検体提出から90分程度だった。これはおそらく早いほうで、上海便に引き続いて着陸した他都市便はもっと時間がかかっていたと思われる。陰性が出たらほぼダッシュでイミグレに向かい自動ゲートを通り、荷物を回収して税関でVisit Japan WebのQRを通してスカイライナー駅に突撃。17:30成田着陸→19:55スカイライナー乗車が出来、東京発21時台の新大阪行きに乗ることができた。
この水際検査も、春くらいには緩和してくれないかなぁと思ったり。ただ、検査のスピードは早かったと思うし(1時間やそこらで結果出てるだけ十分早い)、急拵えながらトラブルなくスムースに運営できている職員や学生バイトの方々には感謝している。
ワクチン3回目と接種証明
帰国後のミッションで一番の優先事項は、3回目のワクチン接種だった。海外居住者(日本に住民票がない)人にとって、少し問題なのが、日本に住所がないことだ(小泉進次郎構文)
これの何が問題かというと、マイナンバーカードとスマホさえあれば、最も楽に証明書が発行できる接種証明アプリに登録ができなくなるということ。なぜなら、マイナンバーカードは海外居住時には原則返納する必要があるからだ。
ここからは私個人の事情だが、1,2回目は職域接種のため、当時の勤務地(北陸某県某市)で受けたのだが、元より勤務地に縁もゆかりもないため、3回目は生家のある自治体(阪神圏某市)で受けている。これが少し問題をややこしくしており、まず接種券を発行するのがめんどくさい。これは親族が代わりに申請をしてくれていたのだが、被接種者は国内に居住していないため通常のオンライン申請ができず、接種券発行専用ダイヤルに電話で直接問い合わせ、職員とやりとりして情報を埋めて発行してもらった(とのこと)
接種券は無事発行してもらったのだが、今度はその証明書を発行するのが問題となる。先述の通りアプリはマイナンバーカードが必須だからQRコード発行は不可。電子データの送付を依頼するにも、住所がわかる本人確認書類(免許証、国民健康保険証)が軒並みダメなので、オンライン申請が不可能。自治体のワクチン接種コールセンターに問い合わせたところ「日本に住んでない人が出国前に居住実績がなかった自治体でワクチン接種した」というイレギュラーなケースのせいで対応がわからなかったようで、最終的に自治体の接種事務センター電話をかけ、直接訪問で発行申請をしてもらうことになった。
申請からものの1時間程度で発行していただいたのでその点は非常に助かった。アプリに比べれば利便性ははるかに劣るが、接種証明があるに越したことはない。
言いたいこと
厚労省、デジタル庁はパスポートだけでアプリ内でワクチンパスポートを発行できるようなシステムにどうして出来なかったの…??
確かに、海外居住者だから自治体の接種とそれに紐付く証明書の範疇外であることはわかるし、自治体への住民税は払ってないけど、海外居住者の多くは企業勤めの人間で、好き好んでその立場になっている人ばかりではない。
数少ない短い一時帰国のチャンスでできる限り効率よく諸手続きを行いたいのに、それを阻害するようなシステム設計がされているって時点でかなり萎える。海外に行くのは旅行だけやないんやで!!しかも非居住者が自分の身分を証明できる唯一の手段がパスポートで、それ以外は何もないんやから…
それこそ、マイナンバーカードは別に返納しようが番号のデータが残るようなシステムになってるから、海外に一時的に赴任するなどの理由で、非居住者向けマイナンバーカード(中国の身分証みたいなやつ)を代わりに出すなりなんなりして欲しいと思いました。パスポートは発行するたびに番号が変わるから5〜10年のスパンでしか身分証明にならんけど、マイナンバーはカードを発行しなくても個々人に番号自体は振られてるんでしょう?それならできると思うんですが…。
余談 中国の場合
中国では出国時に3回のワクチン接種であれば出国可能であるという話は上でもしたが、それを証明するのには日本のそれと同様にアプリ(正確にはWechat内のミニプログラム)で非中国籍の人間でも接種証明が可能である。但し、国家衛生委員会にワクチン接種データが登録されていないとダメである。現状中国では中国産ワクチン(いわゆるシノバック)しかないので、当然ながら海外で海外産ワクチンを打っていると現状登録ができないので、中国から出るときも接種証明書が手放せない感じになりそうです。
駐在員の方のなかでも、コロナ禍でずっと帰国できず日本のワクチンを受けてないって方もおられるんですけど、日本の1回目(非オミクロン対応タイプでないとダメ)がそもそももう打てないってのも地味にアホらしいですよね。。。在庫がないと言えばそうかもしれませんが。
とはいえ、日本も感染症としての扱いを変える流れになってきているので(いいか悪いかは置いといて)、接種証明とやらもそう遠くない未来にただの紙切れになってそうな気がします。