Horizon Forbidden West 焦熱の海辺をプレイしました
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※以下、ゲーム内容のネタバレを含みます。
本編発売(2022年2月18)から1年超が経過し、待望(?)のDLCが配信された。前作のDLC「凍てついた大地」は、本編ストーリー中の話だったが、今作のDLCは本編ストーリーを全て終えた後日談となっている。今作の舞台はラスベガスやサンフランシスコといったアメリカ西海岸の都市をモデルとしていたが、DLCではそれらより5~600km南側のロサンゼルスを舞台としている。
超ざっくりとあらすじを振り返ると、本編で不老の旧時代の人類「ファー・ゼニス」がシリウス星系から地球に来襲し、アーロイら新人類は彼らと衝突。当初は地球を支配せんとしていたように見えたゼニスたちの真の目的は、彼らがシリウス星系で作った人間の負の感情の精神体「ネメシス」から逃げるべく、地球で必要な資源を補給(ついでに現世人類を一掃し資源を独占)しさらに別の星系に行くためであった。
アーロイたちは自分たちの地球を守るために様々な士族と協力しゼニスたちを倒すことに成功したが、「ネメシス」はそう遠くないうちに地球に来襲し、地球滅亡が避けられないという絶望的な状況であることは変わらず、地球に残された新人類たちは対抗策を考えなければならなくなった。
ネメシスに対して有効な対策をそう思いつくわけもなかったある日、サイレンスからティルダの邸宅に呼ばれたアーロイは、彼から生き残りのゼニス「ウォルター・ロンドラ」の存在について知らされる。ゼニスは決して一枚岩ではなかったのは本編のティルダを見ても明らかだが、生き残りのゼニスはそもそも地球帰還後すぐに他と袂を分かち、ロサンゼルスで単独行動をしていることだけがわかっている。アーロイはサイレンスの依頼により、一人ロサンゼルスに飛ぶこととなる。
南へ飛んだアーロイは、ロサンゼルスに着くや否や謎の「タワー」の攻撃によりサンウイングごと撃墜されてしまい、その先でクエン族のセイカと出会う。クエン族はサンフランシスコに航海してきたアルヴァたちのほかに、途中で船団とはぐれてロサンゼルスに流れ着いた人たちがいて、彼女たちはそこで1年ほど閉じ込められているよう。
彼女たちがなぜロサンゼルスから身動きが取れなくなっているかについては、人類が滅ぼされてアーロイたち新人類が出てくるまでの約1000年間に、ロサンゼルスは活発な地震、火山活動で大地がバラバラに引き裂かれていること、さらにはゼニスの建てたであろう自動迎撃システムのタワーにより彼らの航海の自由は極度に制限され、航海士が不在であり、多くの仲間が行方不明になっているといったデッドロック状態であったためだと聞かされる。アーロイは、ロンドラの目的・動向を探るためにも、いなくなった仲間を探すセイカと協力し、焦熱の海辺・ロサンゼルスを探索することとなる。
戦闘について
前作のゼロドーンはDLCで機械獣をそこそこ追加したが、今作では機械獣の追加はサンウイングの亜種「ウォーターウイング」およびカエル型の機械獣「バイルガット」の二種に留まっている。武器については新たなレジェンダリ武器の追加と、後半になるとゼニスの武器「スぺクターガントレット」が追加され、シールドウイングで滑空しながら相手を攻撃する手段が追加されている。アーロイのスキルもさらに増え「グラップルストライク(遠方からグラップルで一気に距離を詰め、クリティカルストライクを繰り出す)」や、槍攻撃に属性付与、置きシールドなどが追加されて戦術の幅がさらに広がった。これは前の本編記事でも書いたが、あまりにもいろんなことが出来るので相当やりこまない限りは出番がないものが多いのも相変わらずだった。
水面積が増えたことで水中戦にも変化があったのかというと、一応水中で設置武器を撃つことができるようにはなってはいるのだが、ストーリー攻略には一切使う必要がなかった。今回追加されたウォーターウイングは水中を高速で泳ぐことができるようになっているため、水中戦が増えるのかなと思ったのだが、あくまでも移動や回避手段としてまでにとどまっていた。
戦闘面は総じて特に変わらなかったというのが結論ではあるが、よかったところもある。本編ではラスボスが割と淡泊(スマートな機械ひとつとタイマン)だった分、DLCではゼロドーンからその存在を確かめられていたホルス級タイタンとのスケール大きめの直接対決があり、完全体ではないとはいえ地球上最強の機械にも勝てるようになり、いよいよこの地球上にアーロイたちの敵はいなくなった。という印象を受けた。でも折角なら地上戦パート、空中戦パートみたいなのが欲しかったなというのが正直な感想。ブレワイのヴァ・メドー侵入みたいなね…。
ロケーションについて
今作の大きなポイントとして、舞台がロサンゼルス「単独」であることだ。今までもホライゾンシリーズはアメリカであることが明示されており、ここはラスベガス、ここはサンフランシスコなど、場所のモデルとなる部分があったとしても、なかなかゲーム内で現実の距離感をつくることはできず、従って現実にあるランドマークも限定的であった。
その分、今作はロサンゼルス中心街(ハリウッド、ダウンタウン)だけを舞台としているため、1000年前には存在したであろうランドマークが随所に設置されていた。代表的なのはPVにもあったハリウッドサインではあるが、その周辺にはグリフィス天文台やサンタモニカビーチなど、単純に私がロス旅行したことあるから気づけたのかもしれないのだが、そんなにわかでもあからさまに気づけるレベルになっていて非常に楽しめた。
ストーリーについての感想
最初にエンディングの話を挙げてしまうが、今作でアーロイはクエン族のセイカとのコミュニケーションを通じ、互いに互いを大事に思うようになる。正直なところあまり共感できなかったのだが、異端者として部族からつまはじきにされひとりで生きてきたアーロイが、ゼロドーンで部族の英雄となり、Forbidden Westでは協力しあう仲間ができていくといったプロセスで、足りなかった要素として彼女が心を許すパートナーの存在であったと考えれば、今回の流れは必要な要素だったと思う。本編の記事でも、人類史における絶望的状況を前に、「最終的ひとりで全てを背負って亡くなったエリザベト・ソベック」と「仲間と協力することを決めたアーロイ」が対比になっていると書いたが、もう一点の対比となるのが「エリザベトとティルダ」と「アーロイとセイカ」だった。前者については、エリザベトはパートナー選びに失敗したため、彼女はついに真の意味での理解者を得ることなく、ひとり自宅(=地理的な故郷)に帰り今際の際を過ごしたのだが、今作においてアーロイはパートナー選びに成功し、彼女にとっては一緒にいたい人(たち)と居れる場所こそが故郷であるという結論を得た。あらゆる面で、エリザベトの物語は終わりを迎えたことを象徴させるようかの終わり方だと私は感じ取った。
「なんで同性なんだよ」とか「(日本人目線から見て決して美人には見えない)アジア系の女となんでくっつけたんだよ」とか「ポリコレ配慮か!?」とかノイズはあるかもしれないが、あくまでも「エリザベトとアーロイの対比」に注目すれば、今回のキャラ選については一定の理解ができるとは思う。そもそもアーロイのデザインだってゼロドーンの初期案って細身美人のファイターって感じのところを、強い女性に変えた経緯があるっぽいし…。
その他、こまごまとした感想
Zero DawnのDLC追加キャラで一緒にダムでわちゃわちゃしたギルダンが今度はロサンゼルスでわちゃわちゃし、最終的にアーロイたちの仲間に加わってくれたのはある種のサービス要素ではあるがちょっとうれしかったし(意外と覚えてるもんだなって自分で少しびっくりしたが)、サイレンスがさらにデレてきてるのもかわいいな~ってところはいいと思います。
肝心な「残りのゼニス」ことロンドラについては、まあこいつもティルダと同じく1000年間妄執にとらわれて生きてきたんやなって思うくらいです。かつてのパートナーとのやりとりからも、他者を思いのままにしたいという気持ちが強く、その点でも個性がぶつかり合う他のゼニスとは別ルートで地球圏から脱出しようとするし、自らの船に乗せるのは人間、コンピューターともに理想化(洗脳)したパートナーでないといけないとかいう見た目も思想もキモいおっさんだったってだけ。そりゃ反旗翻されますって…。
最後に
すでに書いた通りですが、このDLCでは、本編から次回作に向けてケリをつけておかないといけないことをやり切った感があり、6時間程度のストーリーできっちりと肉付けできていると思う。ホルスを倒したことによるファロの災禍の残滓との完全なる別れ、ロンドラを倒すことによるかつての人類ゼニスとの決着、そして、来るべき危機において真の理解者を得たことでソベックと異なる結末を迎えられることをなんとなく感じさせてくれるアーロイ。すでに仲間たちは各々の使命を果たすために禁じられた西部から旅立っており、次回作はもっと大きなスケールのゲームになることが確定していて、楽しみでもあります。
参考
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