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UNUM香りのDM便レビュー/NOSE SHOP

 ニッチフレグランスセレクトショップ『NOSE SHOP』の『香りのDM便』レビューです。香りのDM便とは、全国どこにいてもムエット(試香紙)を試しまくれるという優れものです。わたしも仙台とかいう東北の寒い田舎で試しております。
 今回は『UNUM/ウナム』の香りのDM便レビューです。画家・写真家・グラフィックデザイナー・音楽家・祭服デザイナーといった数多くの肩書を持つフィリッポ・ソルチネッリ氏が手がける🇮🇹イタリア🇮🇹発ブランドというもうこの時点でワクワクする……!!
 例によって素人の感想文ですのでご了承下さい。

1.ラヴス/聖なる服のアトリエ

 LAVS/ラヴスとはフィリッポ氏が手がける祭服専門のアトリエの名前で、ここで作られた祭服には教会に納品する前に香りのラッピングが施されます。そのために作られた香水……ってもう、もうちょっと凄すぎて理解が追いつかない……イタリアの圧倒的な芸術文化パンチを喰らってます……👊
 ほんでこれ、おじいちゃん(概念)の香りがする……おじいちゃん(概念)……??ちょっとオシャレで、顔を合わせるとなぜか心がホッとする、みんなを包み込むようなおじいちゃんの香りです……司祭服にまとう香水としては、申し分ないほどぴったりな香りだと思います。秋の夜っぽくもあるのに、春の昼間の日陰という感じもする……不思議な香りです。

2.アンニュイ ノワール/アンニュイな黒

 優しくまろやかな甘さ……甘いんだけどベチバーの若干のシブさとセクシーさもあって、不思議な雰囲気のおにいさん、おねえさんの香りという感じがします。たまに「あれ、そういえばあの日の夢……」って頭にちょこっと残る印象的な夢ってあると思うんですけど、それです。その夢の香りがするなーって思いました。
 ところでこれ説明文がすごいことになってまして、

退屈と結び付けられた黒の色と、ホリゾンタル(水平)な香水という革新的な定義。退屈は、内省的な旅へのチケットであり、自分の内的マグマを発見するための燃料である。

 なん……なんだって……??つまり退屈は……一見つまらなさそうな言葉や状態に感じるけれど……自分のうちに秘めたアツいものを見つけるための燃料であるってことは、この香水は……この黒は……ただの黒じゃねぇってことだぜ……!!(?)

3.スクーザミ/ごめんなさい

 この香水の名前とボトルデザインを見た時に、心臓をギュッと掴まれたような感覚がありました。この蓋の部分が赦しを乞うために自分を傷付けているようにも見えて、自分の過去にも少し重なってしまうところがあり、うわぁ、わたしにはこの香水はしんどいかもしれない……と少し躊躇したのですが、ウナムを信じて試しました。
 想像とは裏腹に、雨の日の放課後の教室に居残りしている時を思い出すような、とても落ち着く香り……想像よりずっとフルーティーで、まろやかな甘さもあって、でも裏ではムスクの主張が強めで、あとでウッディが効いてくる……泣き疲れたあとのボーッとしてるときの香りだなと思いました。ゆっくり過ごしたいときにぴったりだと思います。

4.ノートルダム/ノートルダム大聖堂

 2019年の火災によって一部が消失してしまったノートルダム大聖堂。いまも懸命な修復活動が行われているようです。フランスのみならず世界の大切な遺産であるノートルダム大聖堂が無事に再建しますように……と思いながらこれを試して、ほんでこれあの……あの本当にあまり大きな声では言えないんだけど……あのさ……BBQの匂いがしてさ……BBQというか燻製の……エッ嘘でしょ……??これノートルダム怒らない……??えっ……かなり困惑している……思いっきり燃えている香りがする……しかもなんか、あの、ウィンナーの匂いがするが……??わたしの鼻おかしなったか……??あれ……??てっきり聖母マリアとか、パイプオルガンとか、ああいうイメージでくるかと……思ったんだが……

5.クァンド ラピータ イン エスタジ/恍惚の彼方へ

 このボトルのデザインどないなっとんねん……オペラ座の舞台袖の香りがする……オペラ座の舞台袖を知らんけど……なんか木っぽくもあり、布の集まりっぽくもあり、緊張感のある人の汗という感じもある不思議な香り……マリア・カラスの写真も見たけど、わたしはドガの「舞台の踊り子」が浮かびました。いい香りなんだけど、ちょっと影があるような……舞台の踊り子の、後ろに見えている2本の足のような若干の不穏さをこの香水にも感じました。

6.ジャコメッリ/神学生たち(私にはこの顔を撫でてくれる手がない)

 これもボトルデザインがすごいです……。名前にもなっているジャコメッリの作品を見ると、このボトルの蓋のデザインは、神学生たちの服の裾だとわかります。
 インセンスとベンゾインの白檀や伽羅っぽい香りにほんのりタバコが被さっていて、まとめると古くてスパイシーな木の香り、神学生たちの学舎ってことでしょうか……!?知らんけど(知らんことばっかり)
 わたしはこういう懐かしさや落ち着く感じのする香水が大好きです。ウッディとかスパイシーとか、俗にいう「お寺系」みたいなやつ……。でもこれはお寺系というよりは、木造校舎系……??

7.バット ノット トゥディ/だが今日は違う

 ウナムを知るきっかけになった香水でもあります。映画『ハンニバル』をイメージした香水です。この鼻の奥にザクッ!!ガリッ!!と来る血みたいな香りがたまらない……特に『ハンニバル』のラストシーンをイメージしたようなのですが、ラストシーンを思い返すと……つまりこれは……めちゃくちゃネタバレになるけど……脳味噌のソテーの香りでもあるって……ことなのでは……!?ヴッッッ……ワインを……ワインをくれ……
 びっくりなのがこの香水、時間が経っても全然変わらず血みてぇな香りがするんです……すれ違ったひとからこの匂いがしたらビビッと警戒心マックスになりますね……只者ではないという危険な香り……でも人はなぜか危険なものにこそ惹かれてしまう……

 ウナムは本当にニッチフレグランスといいますか、かなり尖り気味の個性派でもあり、なくても困らないけど一度出会ってしまうと病みつきになるのは必至という恐ろしいほど魅力のある香水だと思います。そして香水ひとつひとつのストーリー性もすごいです。バットノットトゥディはいつか買うぞ……絶対だ……

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