『WORTH 命の値段』感想
『WORTH 命の値段』を観ました。このさ、ダッセェ邦題、マジでどうにかなんないかな!
この作品は予告編を見た時から気になっていました。
というのもわたしは『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』という映画が大好きでして。
これはフィクションなんですけど、9/11で父親を亡くした少年が主人公の話で、父役のトム・ハンクスと母役のサンドラ・ブロックがかなり良くて、主人公役のトーマス・ホーン(当時12歳)(えぐい)もかなり良くて、原作も日本語版と原語版も持っていて、もう多分4.5回は観てるけど、4.5回ともオンオン泣きながら観ていて(恐怖)、その流れからワースの『9/11の被害者7000人の命に値段をつけた男』というキーワードにかなりビビッと来ていたんですよね……。
そしたらね……期待値が……高すぎたね……
※以下、かなりネタバレざんまいです※
結局あんないい家を建てる人間には!!
下々のことなんかわかりませんよ!!
て感じの映画でした。
なんかもう全ッッッ然中身がペラッッッペラでなんもなくて、エッッッ!?結局コイツ何したの!?って感じ……。
冒頭、主人公のケンは法律の授業をしていて、
「君が農機具の事故で死んだとする。はい、じゃあ君、君は農機具メーカーの人ね。彼の命の値段を決めて、賠償金はいくら払う?」と生徒に尋ねる。
生徒たちはワイワイ面白おかしく「200万ドル」「いや、300万ドルだ」「270万ドルでどう?」と、クラスメイトの命に値段をつけていく。
だけど、現実は、そう上手くはいかないんだぜ……?
と思わせるこの始まりはとても良かったんです……
とても良かったのに……!!どうして……(現場猫)
9/11のテロが起きて、政府は被害者家族に補償金を払うことになります。
この補償金は受け取るかわりに、政府を訴えることはしないと約束させるもの。
つまり政府としては多くの人にこの補償金を受け取ってほしい。
目指すゴールは対象の被害者家族のうち80%。
ケンは補償金の計算式と補償金の金額を定めて、被害者家族たちに説明会を開く。
そりゃあ計算式があるなんてことを教えたら金額に差が出るなんてことは誰にでもわかるわけで、説明会は荒れまくり。
「俺の娘の命と金持ちの命に金額で差をつけるのか!?」とブチギレるお父さん。そりゃそうだわ!!
ほんでこの計算式がめちゃくちゃ気になっていたのに、全然明らかにされなくてモヤる……。
ケンが電卓をテンテケテーッと叩いて、◯万ドル、と書いて終わり。
いや!そこ!そこが気になるねんー!!
更にウルフとかいう被害者家族の代表者みたいな男が出てきて、補償金反対グループができてしまったもんでゴールの80%に全然届かない。
ケンは海辺にバカでけー新しい家を建ててるんだけどその作業は着々と進んでいく。
ケンの部下であるカプリや、ケンの補佐であり奥さんでもあるバイロスは被害者家族たちと面談を重ねていく。
余命いくばくもなく早く補償金を受け取りたい母親、両親と州からは家族として認められていないゲイの男性、……みんなそれぞれの事情を持っていて、この通り一辺倒な補償金の決め方ってどうなんだろう……と疑問がわく。
(なんかインド人の被害者家族に訪ねるところ、すげーサラッとしてたのなんだったん……?)
ケンは海辺にバカでけー新しい家を建ててるんだけどその作業は着々と進んでいく。
補償金の申請期限が迫っているのに、一向に上がらない申請率。
ケンはウルフに会って話したり、自分も面談に加わったりして、申請率をあげようと頑張る。
するとウルフが「補償金への不満は解消された!」と反対グループ向けサイトに書き込んだので、反対グループに属していた被害者家族がごっそりと申請に訪れる。
94%が申請したので大成功。やったぜ!
そして海を眺めるケンの後ろにはバカでけー新しい家が完成していた。
終わり。
なんやねんそれぇ!!!!!
被害者に真摯に向き合ってたのはカプリやバイロスじゃん!
ケンは「はーいもうそろそろ補償金の申請が締切ですよー!」ってなって焦って「ヨッシャ!それじゃやっぱ俺も面談するわ!」て突然始めてきてさ!
ずっとその活動をしていたカプリたちからしたらエッ何この上司……ってならんの!?
その面談ていうのもさ、自分が真摯に対面で担当するとかではなくて、なんか後ろの方にちょこっと同席するだけ……みたいなさ……なんなん……誰お前……
ほんでニックとその兄貴!!!!!!!
奥さんがおめーらを許してもわたしはぜってぇ許さねぇからな!!!!!!!!!!!!!!
ボケが!!!!!!!!!!!!!!!
もう少し長くしてもいいから、もっともっと深く掘り下げて作ってほしかったなと思います。
被害者家族のシーンも特に詳しく書かれず、9/11当日の朝のシーンも映ったのはニックの家とウルフの家のふた家族だけ。
被害者7000人いるんじゃありませんでしたっけ??そのうちのふた家族だけ??なんで??
おかげで登場する遺族たちに全く感情移入できない……
全然違うものだけど比べちゃうとネトフリのジェフリー・ダーマーのドラマでは被害者家族の意見陳述シーンが全ての家族分ありました。
それぞれの家族の言葉が流れでどんどんつながっていく手法で書かれていて、ジェフリーに必死に訴えかけるシーンは胸に来るものがありました。
そういうのがあっても……よかったんじゃないですか……と……思っちゃいましたね……
ほんでこれ結構評価高くない?なんでや……
もうなんで??ばっかりの感想でした。もう少しなんとかならなかったのか……。
と、思ったら、脚本がGODZILLA(ガッズィィイイラ)の人らしく、そんな人が関わってる映画を観るあんたが悪いんやで、と、映画好きの友人からお言葉を頂戴しました。
そ、そんな……
また、今回ワースを観たのがトーホーシネマズ日比谷シャンテだったのですが、日比谷シャンテではワースに関連する新聞記事の切り抜きなどがまとめられ、映画を見る前に元になった弁護士のインタビューなども読むことができました。
日比谷シャンテ、ワースに気合い入れてんなー!!と感心しただけに、映画の退屈さの差に余計がっくりきてしまった感じもあります……。
ちなみに日比谷シャンテの雰囲気はめちゃくちゃよかったです!!今どき窓口発券だし、地下にあるし、席があんまり斜めになっていない配置で、両脇に幕もあって、レトロ映画館て感じで……でもトイレは綺麗で(重要)、多分『オットーという男』も日比谷シャンテで観るだろうなと思います。たまたま訪れた映画館でしたがかなりお気に入りになりました!!
結論・TOHOシネマズ日比谷シャンテ、サイコー!
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