トベない風船ガム
頸木をへし折って躍り出たのは
ただ自由との鬼ごっこで勝ち逃げたいから
あの美しかった鬣も刈り込まれ
小さな金色の冠を載せた結末の雑な御伽噺
この自分はあの自分よりずっと自分らしいや
って顔して湿気たマッチを擦る
交差する電気信号の目くばせに
気づかないふりをしてすっとそこから離れる
やせ我慢を繰り返してる内に
自転そのものがガチガチに凍りついてしまった
全て記録された車両へ連結されたが最後、
君は一瞬で全てを理解しかねない
今だって単に
思わせぶりな詩めいた繰り言をでっちあげてるわけじゃないし
極めて三次元的に精緻な設計図を
トレースしているのがお分かりだろうか?
ずっと電信柱に憧れてるおれは
今もこうして道端に突っ立ってるだけでいい
自分の名前をがんばって忘れるなんてこと
人の身には過ぎた願いと知れた
朝までテープを巻き戻すシュルシュル音の中で
残された偶然だけ抱きしめる
逆さに振るボトルから何かがどばどば溢れたら
眩暈に乗って内側へと捲れろ
履き潰したエナメル靴にへばりついた
薄緑色のガムだけが本当を知っていた
拾った言葉をぴかぴかになるまで磨いて
お前の窓を叩き割って即ずらかる
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