【詩】少年たち

ススキの茂み 枯れ草のなか
細く多い葉をかき分けて
少年たちは歩いている
小さな背中に紺色の半天
乾いた畳の匂いを辿って
刈りそろえられた短い髪
風を細かく割きながら
見失わないように歩いていく

夜になるまでにここを抜けなければ。
垂れた長い葉が額を優しくなでた
もう月が地平に
杉のならぶ遥か彼方に落ちてしまう
けぶる朧の黄昏時
奥の枯れ木並木の
秋空をおおう蜘蛛の巣からにげるよう
踏みしめた足元で鳴いていたこの雀は
私と同じ目をしているからと言って

少年の頬は北風にあたり
烏瓜色をうかべている
さむいね、
白い穂先は柔らかく解けて
絨毯のように重なり合っては
あの月の横顔もさらりと撫でた
うん、さむいね。

野に眠る筑波山が
今日も光を手にしようと
芒のように手を伸ばしている
少年たちの毛先を洗い
幾重にも重なった
大地の心淋しさにひびいた頃には
冬が来るまであとすこしだ

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