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05息子の長所のひとつ、作文力について
息子とのこと〜ステップ父さんと発達障がいの長男くん〜
文章力という枠に、正しく書けるという緻密さや、語彙の広さが含まれるなら、息子のそれはあやしいものとなるのかもしれませんが、彼の手紙や作文には読んだ人•聞いた人を惹きつけるなんとも言えない魅力があるんです。
作文力とでも呼ぶしかないその個性を、私ははじめて会った頃から感じでいて、今でもそうですが、才能だなと感じます。
どストレートな感情の表出から、急に、めちゃくちゃ具体的な話題に焦点化してくるので、例えば彼からお礼の手紙をもらったりした人は、他の誰かでなく自分へのお礼であることがハッキリと読み取れて嬉しくなるわけです。
小学校時代、一年間お世話になった先生に息子がお礼の手紙を書いたことがあります。手紙は、その先生にとってずっと心の支えになっていたそうです。何年も経って、先生の奥様からお聞きしました。その手紙を持って、ご夫妻で息子のコンサートに来てくださったんです。いろいろ大変なことがあった時、何度も励まされたとおっしゃってました。
そうかと思えば、小学校の授業参観日に、「誕生日が年に2回あったらいいのに」という作文を読んだこともありました。面白かったのは、「もしそうなら、僕は、イベントのない11月がいいです」と踏みこんでいくところで、バカバカしいのになんだかホッコリしてしまうのです。
私の母も、息子からの礼状などが届くのをいつも楽しみにしていました。
ちなみに妻は「自分もそう言われて育った」ということで、子どもたちにも、「嬉しいことがあったらすぐお礼状を出そうね」といつも言っていました。手紙を出すのが当たり前の環境を丁寧に作っていたのです。子どもたちにとって、その習慣は母親からもらった大事な財産になっています。
話を息子の作文力に戻します。息子が高校時代に、友だちとメールのやり取りをしていて揉めたことがありました。息子が送ったというメールを後日見せてもらったのですが、笑っちゃうほどキレキレのディスりぶりで、これ言われたら誰だって怒るよな、という感じでした。
何事も自ら戒めることが大切なので、「文の力は怖いよ」と、彼の才能を認めつつたしなめたのでした。