医学編集 イメージの考え方

医学と薬品についての内容はつまらないです。
医療関係者も含め、多分大部分の人はそう思っています。

ですので、情報で製品の良いところを納得させる前に第一印象を与えることはマーケティングにとって重要なことです。第一印象だといっても、製品の「キャラ」に相応しくなければなりません。イメージのスタイルと美しさを考える前に、どんなキャラにするか考えなければならないのです。

まず、この疾患は好発年齢や男女差があるでしょうか。例えば前立腺がんは男性特有のガンです。好発年齢は60歳代に始まり、高齢になるほど増加します。ですので前立腺がんの医薬品のイメージは年上の男性しかいないです。そして、逆にステレオタイプを覆したい場合もあります。一例として、一般的には乳がんは女性特有の病気です。しかし、それは誤解です。男性も乳がんになることがあるのです。そこで、適切な印象を与えるため、近年では乳がんの医薬品のイメージに男性を入れることが多いです。また、スティグマ(stigma)の穴に落ちることは要注意です。スティグマとは病気・障害に関わる偏見です。例えば糖尿病の患者は怠けてばかりいる人だというのはよく見られる偏見です。糖尿病のイメージの中に怠けている姿を描くなら、患者に悪い印象を与えるだけではなく、潜在的な患者に気づけない状況も起こします。イメージが浅すぎないように、私はマテリアルのページ数や誌面、あるいは判型の空間が充分だったら、できるだけ患者の多様性を現わすようにしています。

一方、近年では、短い時間で読めるものが王道です。長い文章や動画などはもうあんまり目を惹かないものになってきました。医薬業界もそのトレンドを踏まえて、難しい内容を分かりやすくし、つまらなそうなものを楽しそうに見せるようにします。このような内容を作成するため、「視覚化」は大きい役割を担っています。「インフォグラフィック化」は現在業界内のキーワードです。NEJMやLANCETなど世界有数のジャーナルはこの流れに従って、文章の要点をインフォグラフィック化してサイトとSNSに掲載しています。
「Visual Abstract/Visual Summary」と言われています。同時に、プレゼン用のpowerpointのデザイン感と清潔感に注力しているお医者さんも段々増えてきています。時間とお金を払って、プレゼンのスキルに力をいれている人は大勢います。

編集者に限らず、図と文字の組み合わせ方と内容に「色付ける」方法を考えることは当今(昨今)の課題になってきています。

Visual Abstract/Visual Summaryの例:https://www.nejm.org/do/10.1056/NEJMdo006254/full/media/NEJMdo006254_800x533.jpg

さらに詳しくご覧になりたい方はこちらをご参照ください
https://mindthegraph.com/blog/visual-abstract/
https://en.wikipedia.org/wiki/Graphical_abstract

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