双子のきょうだい
『2wink』のひなたくんとゆうたくんは双子の兄弟です。生まれたときどころか、お母さんのお腹の中、細胞の時からずっと一緒の一卵性双生児。
ゆうたくんに限らずアイドルストーリー第一話は自己紹介なのだけど、あたしは特に彼の第一話が好きだ。アイドルとして向かう姿勢がわかっているけどなんとなく納得できてなくて、納得できていないことでどうしたらいいかわからない、返礼祭で『俺たち』の方向が決まって明るい未来が待っているはずなのに、葵ゆうたとしては生きていないみたいな、芽吹き始めた自我が生あったかい膜の中で藻掻いているようで、好き。
ちなみにこれはアイドルストーリー第一話の後半部分。自己紹介の第一話なので長い話ではないのだが、前半部分はまったく違う話をしている。
結婚を、他人と家族になるという話を。
ひなたくんとゆうたくんはそれぞれ家族や親、他人と『俺たち』に関して屈託がある。母親をはやくに亡くしていて、父親とは関係に溝があって(これは、ひなたは解消したがっているけれど)、芸を仕込んで食事を与えてくれていたのは、赤の他人の中華料理屋の店主の『師父』だ。
これに屈託がありすぎて逆に大好きみたいと言えるひなたもすごいよね。
葵ゆうた第一話では、アニキ(ひなた)俺(ゆうた)に対して独占欲が強いという話がされる。そこからお互い結婚とかすることになったらどうするんでしょうね、とあたしに言うゆうたの口調はどこかふわふわとしている。そして続くのが、ゆうたくんは俺と結婚すればいいのというひなたの発言、それに続くゆうたの意見がこう。
生まれたときから家族だから、新しく関係を更新する必要がない。血はなにより濃く繋がっている。この先、もっと見た目が変わっても、お互いが所帯をもっても、ふたりは血の繋がった家族だ。ゆうたくんはしっかり考えているんだなあと思った。思った次にはやっぱりこいつとんでもねえな、と思うのだけれど。
例えばほんとうにそういう婚姻関係が許されて、ひなたとゆうたに理解があるひとに出会えたら、ふたりは父親になりたがるだろうか。理解のあるお母さんと、そっくりな二人のお父さん。良い父親になれれば、ゆうたの屈託は解消されて、ひなたの幸せな家族の理想は叶うのだろうか。夢みたいな、悪夢みたいな話だ。
それを、大好きなひとと結婚できるから良いと言えば良いと捉えるゆうたのそれもまた、愛なのかもしれないけど。