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仁兎なずなという旗

インタビューを敬語でこたえる仁兎なずなが好きだ。
小柄で利発な美人の男キャラが好きだからツボに刺さったんでしょと言われたらそうだけど、そうではなく。

仁兎なずなというアイドルが好きだし、仁兎なずなという男が好きだ。

彼はしっかりものの年長者だけど、テンパってくるとひどく噛むことがあるというキャラクターだった。しっかりはっきり喋ることを意識していれば噛まないことを自覚していて、インタビューをはきはきとですます口調でこたえるのは、その姿勢からくるものなのだろうと思っている。

呂律の回らないキャラクターというのはひとつのテンプレートだ。人数が多いキャラゲーには絶対いるとは言わないまでも、いないこともないくらいの。ただ、今の仁兎を見て、噛み癖のあるキャラクターという説明が相応しいかと言えば違うように思う。そしてあたしは、その今の仁兎なずなが好きだ。

噛まない努力をしていることがキャラクターのアイデンティティになって、どんなに改善している姿勢を見せようとも噛み続けるキャラクターがいたとする。ファンはがんばっている姿とそれでもちょびっとかんらうあいらしいししぇいを応援する。それも愛され方だし、実際仁兎にもそういうファンはいると思う。なのでこれはあたし個人が、仁兎なずながハキハキ喋ってくれて嬉しいというだけの話だ。

ゲーム内で仁兎は一度アイドル活動を休止している。それが原因で初期はアイドルランクの開放に制限があり、復帰後はカムバックサマーというフェスプロデュースが追加される。はやくアイドルの仁兎に会いたいと思っていた、そのドキドキした気持ちは今でも覚えている。

解放条件は「再開*成長見せてハイタッチ」のエピローグを読むこと

仁兎なずなはリアリストだ。自分に消費期限があることを自覚していて、慎重で現実的で、勇敢なひとだ。それでも無茶をする無謀さも知っている、賢いひと。そして、彼はアイドルという立場に救われている。救われていてほしいと思う。

仁兎なずなは先達だ。彼が旗を振っていてくれたら、それだけでどこまでも歩いて行ける。抱えたものを、彼は捨てないから。小さなその背中に翼はなくても、彼には歌があるから。奇跡みたいな。

あの日、まだ何物でもなかった後輩に、仁兎なずなが言った「ひとを笑顔にするってことの、お手本を示してやる」

メインストーリー百八十四話


仁兎はリアリストだから、理想ばかりを語ることはしない。だから、しっかりはっきり言い放ったこの言葉には、今までしてきたアイドル活動への確かな自負がある。どんな道でも立ち止まらずに、足元の石を拾い、擦り傷に絆創膏をはって、転んだ仲間の手を離さず、ゆっくりでも歩いてきた道がある。

それを誇りに思っている、仁兎なずなというアイドルが好きだ。

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