子どもが遊んでる姿を描きたかったのに
20050917
サオリに以前約束した写真を届けに、いつも彼女が一人であそぶ公園に行ったが居なかったので、結局サオリの家に行った。
公園にはやっぱりいろいろ家のことで悩みを持つ小学1年生のタカシが、塀の上に寝そべってゲームをしてた。
他の子供は、私を見ると走りよって来るが、タカシはどちらかというと、無視するタイプの子供で、あまり笑わない。
冷めた目でまわりを見ているという感じ。サオリに少し似ている。
サオリから、タカシも写真を見たいと言ってた、と聞いていたので、タカシに声をかけるが、
「うん、いらない」
との返答。
ゲームに夢中になっているらしい。
仕方なく、サオリの家に行って、家のまわりをうろうろしてみるが、出てくる気配もないので、ピンポーンと鳴らす。
「は~い、どちらさまですかぁ~」
と、しっかりしたサオリの声。
やっぱり母親は留守だ。
でも驚いたことに、父親が居たらしい。
「誰なんだよっ?!」
と、いらいらしたような声で、向こうで言っているのが聞こえる。
少し困ったようなサオリの顔。
サオリに父親が居るんだ、ということになんだか違和感を覚えながらも、
「約束の写真。ゆっくり見ていいから、返すのはいつでもいいから」
と言って、動物の写真ばかりのアルバムを渡す。
「あ、でも、タカシが見たいって言ってた」
とサオリが言い、
「見たくないって、今、公園で言ってたから」
と返答する。
「ん、わかった」「じゃあね」
そう言って、玄関の戸を閉める。
帰り、公園のベンチに座って、軽くスケッチをした。
まだ子供たちがいたから、子供たちが遊んでいる姿を描きたかったのに、私が何か描き始めると、みんなが集まってくる。
だから、また人がいない風景になってしまった。
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