バッグいっぱい、夏の風物詩
毎日新聞イラストコラム
カントリースケッチ
No.57
【バッグいっぱい、夏の風物詩】
夏休みの工作の素材を探しに県立紀伊風土記の丘に行った。遊歩道はきれいに整備されていて、至るところで土偶がお出迎え。
シャワシャワシャワ。セミの大合唱が騒がしい暑さのなか、ひたすら歩く。たっぷり入っていた水筒の麦茶はもう半分以下。はじめは足取りが軽かった娘たちも、「もう歩けない。おんぶ」と早くも根を上げ始めた。
少しでも涼しい方へと木陰の間を通ることにした。木の根辺りを見ると、ぽこぽこといくつも穴が開いていることに気づいた。あっ、きっとこのあたりに……。あった! 幹にしがみついているカラカラの小さな茶色の物体。セミの抜け殻だ。
いつの間にか抜け殻集め競争が始まり、取り合いまで起こる始末。私のエコバッグは、お土産の小さなエイリアンたちでいっぱいになった。
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