負けず嫌いの一輪車特訓
毎日新聞で連載しているイラストコラム『カントリースケッチ』。
5月は長女と黒江のまち。細い路地の上に広がるすかっとした青空がしみじみ良い風景だった。日々成長する彼女たちと一緒にいると、ふとした瞬間に自分の子供時代の記憶がぶわっと蘇る。
私も小学校の昼休みに空中乗り必死だったな、とか。
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『負けず嫌いの一輪車特訓』
大型連休中、私は海南市黒江にある夫の本屋で絵本の原画展を開催していたため、娘たちをどこへも遊びに連れて行けなかった。申し訳ない気持ちだったが、どうやら取り越し苦労だったようだ。
長女は転校してから一輪車の練習に明け暮れている。登校前に朝練、下校後に夕練もするほどだ。根っからの負けず嫌いで、うまくいかないと毎回大泣き。そんな彼女に、夫と私はほとほと手を焼いてきた。しかし、今回は目つきがいつもと違う。本気だ。何度転び、けがをしても立ち上がり、また挑む。毎日毎日、その繰り返し。
そして今日。澄み渡った青空の下、なんて得意げな顔! 長女は慣れないながらも、一人で車輪を漕いでいる。瞬く間にスイスイと軽快な足取りに変わる。彼女の成長がうれしく、誇らしい。
「ぜったい手をはなさないでね!」。そして、べそっかき第2号・妹の特訓が始まった。