花巻で宮沢賢治を思う
先日、仕事の取材で岩手県花巻市へ行きました。
宮沢賢治記念館横にあるレストラン『山猫軒』でいただいた、りんごのタルト美味しかったな。窓からの雪景色も素晴らしかった。
"どなたもどうかお入りください 決してご遠慮はありません…
"
毎日新聞イラストコラム
カントリースケッチ
No.73
【花巻で宮沢賢治を思う』
雪を見に岩手県花巻市に向かった。一面の銀世界を期待したが、飛行機から見た景色は茶色の田園が広がっていた。それでも、街に降りるとほおを刺す風がヒリッと冷たい。白い帽子を被った早池峰山や、遠くまで続く田畑を目の前にすると、ここは東北だと実感した。
以前から訪れたかった、宮沢賢治記念館へ。ふと思い出したのは小学校の国語の時間。童話「やまなし」から想像して絵を描く授業があった。お話に出てきた「水の中にふる日光の黄金と魚の白い腹」を描くのに苦労したことを今でも鮮明に覚えている。
思い出に浸りながら、『銀河鉄道の夜』の展示で足を止めた。晩年まで何度も推敲された直筆原稿。並々ならぬ情熱が伝わり、私の頭はじんじんとしびれる。彼が没した年齢と私は同い歳。病床に付さなければ、どんな作品が生まれていただろう。記念館を出るとしんしんと粉雪が舞っていた。
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