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スーツケース一つの暮らしは、足るを知り、愛されているを実感する
「スーツケース一つで暮らしています」というとね、ほぼ必ず決まって「え?服とか足りるの?」と聞かれるんです。
たしかにそうかもしれません。私だって、ももともとはクローゼットにいっぱいの服をしまっていたからよくわかります。
スーツケースに入るだけのモノなんてたかがしれている。だから、そんな暮らしはいろんなモノが足りないはず。そう思うのは当然のこと。
だけど、実際に今の生活をはじめてから私は思うんです。不思議なくらいに「足りない」と思ったことはない、と。
服も、メイク道具も、スキンケアも、仕事道具も、前よりずっと少ない量。だけどこれで足りている。
むしろね、これで十分なんですよ。これ以上は持てないからいらない。
そりゃあね、東京に滞在しているときなんかは思うんですよ?
「あぁあのワンピースかわいいなぁ」「あぁ新作のこれ欲しいなぁ」って。
だけど、今の私は物理的に「持てない」。そしてすでに今の暮らしで足りているから「必要もない。」
たかたが数着の洋服を、毎日ぐるぐるしながら着回している生活は、日頃ほとんど不足を感じないんです。
そもそも論ね、人が足りないと思うのはなぜでしょう?
どれだけ服を持っていても、どれだけお金を持っていても、「着る物がない」「お金がない」という人はたくさんいるし、そんな時期がわたしにもあったからわかります。
私はその答えを、先日渋谷の街を歩きながらわかったような気がしました。
必要ないのに「欲しい」って思う時、私たちは愛されたいと思っている。
知ってますか?渋谷にいる人ってみんなめっちゃくちゃ可愛いんですよ!!笑
メイクも上手で、ファッションもおしゃれ。ネイルも決まっていて、髪型もなんか違うんです。
そんな人たちを見ていると、ここ最近同じ格好ばかりだなぁという自分が、なんだか恥ずかしくなったりする。
別にすれ違ったあの人と明日も会うことなんか絶対ないのに、自分の今のバリエーションの少なさを惨めに思いそうになるんです。
あの子より可愛くありたい、あの人にもっと可愛いって言われたい、そんな「愛されたい」が出るとき、私たちは「欲しくなる」。
だけどね、私はスーツケース一つの持たない暮らしを始めて気づいたんです。
ほとんど同じ格好をしていても、リップを何本も持っていなくても、私は大事な人たちにちゃんと愛されている。
ユニクロのパーカーを着ていても、目の前の人は「今日も可愛いね〜」と言ってくれる。
それだけで、いままで無意識的に足りないと思っていた気持ちは消えてなくなるし、この私で愛してくれる目の前の人をもっともっと笑顔にしたいと思うんです。
スーツケース一つぶんの暮らしは、私に足るを知り、愛されているを教えてくれた。
持たないことで、持っていたものを知ったから、私はこの暮らしが好きなんです。
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