トンガのお父さん





旦那のお父さんが亡くなった




85歳だった




しかしこのコロナ禍


トンガはコロナゼロの国だったため

そう簡単には渡航できず



泣く泣く旦那はテレビ電話越しに

お父さんを看取った




旦那の兄弟は全員で16人


そのうちの14人は海外なので

みんなトンガには行けず

テレビ電話するしかなかった





こんなツラい事はないと思う


とてもツラそうな皆んなを見て
心底そう思った



ほとんど寝ずに5日間

お父さんの事を想い続けた旦那だった






お父さんはとても厳しい人だったらしい

私が嫁ぐ頃にはもうすっかりおじいちゃんで
そんな面影は一切なかったが


小さい頃はとても厳しく育てられたそう


旦那はお父さんの事を
めちゃくちゃ尊敬していて

常に自分を育ててくれた事に感謝していた



トンガ人あるあるだが

両親への愛がすごくて

反抗期なんてものはない


旦那は遠く離れた日本で
いつも家族に会いたいと寂しがっていた






そんな愛するお父さんに

ありがとうも言えず

触れる事もできず

携帯の画面越しでさよならを言わないと
いけないなんて


こんな酷な事ない



何もしてあげれない私は
横で見守ることしかできなかった







お父さんは何年も

頭痛に悩まされていた


脚も悪く杖をついたり車椅子に乗ったり


ニュージーランドで色々検査しても
特に悪い所は見つからず

薬を飲んでも良くならず

いつも可哀想だった



私が初めてトンガに行った時も

夜中隣の部屋で寝ていたお父さんが
苦しそうにうなされてて

心配になって部屋に行って

ママヒ?(痛い?)

と聞くと

頭と腰を指差してくれて

マッサージしたのを覚えてる



これがその初めてのトンガ


注)嫌がられてないよ

普段からこういう顔。笑


あとおもっくそダサいTシャツ焼けをしています




ずっとずっとツラかっただろうから

天国でスタスタ歩いて頭痛のない快適ライフを
過ごしてほしいと切に願う






そして旦那


お父さんを見送ってからというもの

大忙し



とりあえず24時間ずっと電話してる





トンガのお葬式はとても特殊で

私の知らない事だらけだった



お祈りお祈りの毎日で


みんなすんごい大きな

もうすぐ食べられてしまうんじゃないかぐらいの
特大タオバラを巻いていたり
(普段は腰に巻くだけのサイズ感)
(近い家族ほどデカなるらしい)
(ちなみに写真の食べられそうな人は旦那のお姉さん)

埋葬した次の日は近親者の女の人がみんな髪の毛をバッサリ切らないといけなかったり
(でっかい料理バサミみたいなんで
ロングからボブぐらいにジョキジョキ切ってた)

お葬式をする家族とは別に
めちゃくちゃ大量のご飯を作るチームがいたり、、
(豚の丸焼きはお祝いの時のみらしく
お葬式は土の中に埋める料理)



そして基本家族はみんな全身黒い服

近い家族の場合は
数ヶ月、1年と黒い服を着続けると
聞いた事があったので

旦那に黒い服着ようと言われた時、つい


いつまで、、かな、、?


と聞いたら


埋葬の日までで大丈夫と



きっとトンガの家族はしばらく黒い服なんだろう



これ以上に現地ではもっと沢山の
トンガのお葬式の風習がある


現地にいたら多分目ぇ回ってると思う





一方こちら日本では



まず旦那に

「あちゃん、お父さんのTシャツ作ってくれへん?」

頼まれる



お父さんのTシャツ、、、



ほうほう、あれやな

アイランダーの人がよく着てる

亡くなった人の写真と
レストインピース的なメッセージが
書いてあるTシャツやな


分かった、プリントできるとこ探すわ


探す私



どうやら埋葬の日までに
そのTシャツを我が家みんなお揃いで着て
ビデオレターを送らないといけないらしい



埋葬は次の週の水曜日




だがしかし


まさかのこのタイミングで
トンガに初のコロナが出てしまう


トンガ王国大慌て


と同時にマフィ家も大慌て


ロックダウンされるかもとの情報で

お葬式でけへんがな!


予定を急遽変更して
埋葬を月曜日に早めることに



ま、埋葬を月曜日に、、、



ちょ、ちょま、

ちょ待てよ


ということは

月曜日の午前中までにTシャツ用意して
動画撮って送らなあかん?


それに気付いたのが土曜日の夜




あほう





どこを探しても5営業日だの
最短3日だの

間に合うはずもなく


途方に暮れながら
もう探すのを諦めてSNSを見ていたら

ニュージーランドに住んでるお姉さんが
写真をアップしていた




いや仕事早ない!!!!!


どこでやったんそのTシャツ!!!

店教えて!!!!!


なんかその後ろの看板もなんなん!


いつから用意してたん!




ツッコミどころ満載である



早えぇんだ準備が、、、、




これを見た旦那に

ニュージーランドではできんのに

なんで日本でできひんの?



イカレた無理難題しか言わないブラック企業の社長
みたいな事を言われ



ぶつくさ言いながら

また検索しなおす平社員


しかし

どこに問い合わせても
できるのは1週間か2週間後


頼むぜ日本!





そんな時にふと別件でラインしてた山田ローラに

今かくかくしかじかでTシャツ屋さん探してるけど
絶対見つからへんもう無理眠たい

と愚痴ってたら


「なんか山田がプリント屋さん知ってるってよ」







やまだぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!



注)なんか写真くださいって言ったらこれきた




なんとバスケチームのオーナーをしている
山田選手


チームのTシャツなどプリントしてくれてる
オガワさんという方をご存知らしい!!


おおおおオガワさん!!泣



神様仏様オガワ様、、、



なんとオガワ様

土曜日の夜に頼んだのに

そのままTシャツ買いに行ってくれて

日曜日の夕方には渡せるよ


とのこと



神なん、、、、??


素晴らしきファインプレー!!




私はそのTシャツを取りに

原宿は竹下通りまで車をぶっ飛ばし
(法定速度で)




原宿のど真ん中で愛を叫ぶ勢いで
オガワ様に感謝の気持ちをのべ


無事帰宅



家族みんなで着て

動画を撮り


無事埋葬に間に合った、という訳です



見よ、この私の疲れた顔を




よかった、、

無事に間に合って、、、



お父さんも喜んでくれてると思うわ、、、笑





若い頃は火起こし大会で(だからそれ何)
9秒で火を起こし優勝した
お父さん

普段全然笑わへんのに
お母さんがオナラしてすごい音がしたと
めちゃくちゃ楽しそうに笑いながら教えてくれた
お父さん

いつもタオルを持ち歩いてて
顔を拭くお父さん

私がそのマネをするとめちゃくちゃ笑う旦那

頭痛がある時は気晴らしにいつもトランプ
していたお父さん
結局一生ルールが分からなかった私


いつも買い物に連れて行くと
新しい服なんかいらん!と怒るお父さん

結局買った服を嬉しそうに着てたねお父さん


初めて来た日本で駐輪場のチャリの多さに
びっくりしてたお父さん

首都高のトンネルでテンションあがるお父さん


お腹すいてないと言いながら
うっすい食パン5枚ぐらい食べるお父さん、、、





全部大好きでした


ミカエレ、ありがとう


天国でやったらこのnoteも読めるよね



ナキの事見守っててね


Ofa atu Mikaele.










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