自分が【セリアン/Therian】であると証明するものは?
結論から先に申し上げますと、【セリアンスロピー/Therianthropy】や【アザーキニティ/Otherkinity】は非常に主観的な体験であるため、「これが出来ればセリアン、これが出来なければセリアンではない」という客観的な証明方法は一つもありません。
少なくとも今の科学技術や研究成果では、「この方はセリアンである」と100%確実に断定出来る方法は存在しません。
ですので「あなたがそう思うのであれば、あなたは【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】です」という自己申告制にせざるを得ないのが今の【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】のコミュニティの実情です。
逆に言うなら、【セリアン/Therian】も【アザーキン/Otherkin】も生まれつきの特性であると考えられているため、【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】を「辞める」事が出来てしまうなら、その時点で【セリアン/Therian】でも【アザーキン/Otherkin】でもなかったという事を証明する事にはなるでしょう。
【シフティング/Shifting】を経験する事が【セリアン/Therian】である事の必須条件であるか否かがコミュニティ内で議論された事がありましたが、「必須ではない」という結論に至ったと私は記憶しています。
【メンタル シフト/Mental Shift】は「動物の演技をする役者」でも擬似再現できるでしょう。
「VR感覚」や「ファントムセンス」と呼ばれる体験を一般の人間の方々もしていることから、【ファントム シフト/Phantom Shift】や【アストラル プロジェクション/Astral Projection】が【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】にのみ備わった特別な能力であるとも言えません。
【種族違和/Species Dysphoria】を経験する事も、【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】である事を証明する「証拠」にはなりません。「人間嫌いの人間」も普通に存在し得るため、「人間で在る事に対して違和感を覚える事」が「自分は人間ではない」にまでは直接的には繋がりません。
【クアドロビクス/Quadrobics】が出来るか否かも、やはり【セリアン/Therian】である事を証明しません。
そもそも【クアドロビクス/Quadrobics】はここ2~3年で急速に流行り出した、本来【セリアンスロピー/Therianthropy】とは無関係なスポーツです。それが出来るか否かを【セリアン/Therian】であるか否かの判定に使おうと考えている方は全体のごく一部に過ぎません。
【セリアン ギア/Therian Gear】や【シータ デルタ/Theta Delta】などのシンボルを身に着ける事も【セリアン/Therian】である事を証明しません。「自分は【セリアン/Therian】である」と表明するためには有用なシンボルでしょうが、十字架を持っているからといって本人が敬虔なキリスト教徒かどうかまでは分かりません。
このように、「自分が【セリアン/Therian】である事」の証明は今のところ事実上不可能です。かくいう私自身も【セリアンスロピー/Therianthropy】の定義に従って解釈するのであれば、究極的には「自称【セリアン/Therian】」でしかありません。いくら自分では本物だと思っていたところで、今後神経学や脳科学の研究がさらに進めば、私自身もニセモノだったと判定されてしまうやもしれません。そうなって欲しくはないものですが。
或いは、だからこそ、自分が「本物の【セリアン/Therian】だ」と何とかして証明しようと躍起になってしまう方がいるのやもしれません。しかしその行動が行き過ぎれば、動物としての道を外れてしまうかもしれません。これは私自身に対しても言える事です。
だからこそ私は「動物として正しい事」をしようと常々心がけています。「人として正しい事」と「犬として正しい事」にはある程度共通点があります。だからこそ人と犬はかけがえのないパートナーになる事も出来ます。
私はそういった【セリアンスロピー/Therianthropy】の持つ光の側面に着目したいと考えています。