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決しておしゃれではない私がアパレルフリーランスという道を選んだ
わたしは決しておしゃれな方ではない。
過去にも「合わせ方変だよね」とか「スタイリングの幅が狭いね」なんてよく言われてきたし、自分でもそれを自覚していた。
アパレル業界に入る人たちは、ファッションの専門学校を出ていたり、学生時代からおしゃれが大好きだったりする人が多い。私はというと全くそうではなかった。
ファッションに携わりたいというより、人と出会う仕事がしたい、その気持ちの方が強かった。
だから、後から入社した人たちのスタイリングを見たり、彼女たちの感性に触れると、「あっ、この子は元々ファッションが好きで、センスもある」とそのすごさを実感した。実際、そんな人たちは独自のセンスで、私には到底思いつかないようなスタイリングをして、あっという間にそれを着こなし私を追い越していった。センスとファッションに対する追求心、自分にはどちらも欠けていると思い知らされる日々だった。
フリーランスになってからのスタイリング
正直、私のオシャレ度合いはその頃から10年以上が経った今も、成長せず
さほど変わりがないなと思う。
むしろ、会社員時代の方がスタイリングに気を遣っていたかもしれない。定期的に上司からチェックが入るので、当時の方がアパレル業界の人間に近づいていたように思う。
でも今、フリーランスになってからはそんな風にスタイリングをチェックしてくれる人はいない。自分で選んだものを着ているので相変わらずスタイリングの幅は狭いし、普通だなぁと思う時のほうが多い。
それでもアパレルフリーランスとして働く中で、一緒に働くスタッフの方々が私のお手本であり、彼女たちと並んでも違和感のないスタイリングをすることが私の今の仕事のひとつでもある。
ある程度は近づけてはいるつもりだけど、結局私がしているスタイリングは、パッと見て目を引くものではなく、特徴的でもない「普通」のスタイルだ。
けれど、それが今となっては悪いことでもないのかなとも思う。
実際に仕事をしていると、
「あなたの上下がそのまま欲しい」と話しかけられたり、
「いつもどうやって服を選んでるの?」と尋ねられたり、
「わたしもMaiさんみたいなスタイリングをして仕事したい」と一緒に働くスタッフの方々に言われたりする。
「これが?いいの?!」と毎回ハッとするけれど、それはきっとそれは私がおしゃれすぎず、主張しすぎず、とっつきやすいコーデをしてるからなんじゃないかと最近気づいた。
遠すぎず、手が届きそうな「私にも着れるんじゃないか?」そんなコーディネートを。私のスタイルは、親近感を感じる、普通だけど、どこか心地よさを感じさせるものなのかもしれない。
親しみやすさを大切にしていたら辿り着いた接客の形
そう考えると、仕事で私がいつも心がけていることも、親近感や心地よさを感じてもらうことだ。
相手となるべく離れすぎない距離でいること、それは物理的ではなく、心の距離を可能な限り、近づけるようにしている。
店員とお客様という関係ではあるが、
どこか親しみのある「必要であればいつでもお伺いしますよ」という重すぎない空気感を早い段階で作ることを意識している。
実際も試着室が苦手、店員と話すのも苦手という方は多くいらっしゃる。
そんな方にも、苦痛をなるべく感じないようにタイミングや空気感には気を遣う。
自分を必要としていないと感じたときは空気のような存在であることを選ぶ時もある。
その結果、相手が本当に必要なときに、声をかけてもらえることがある。
私は接客中に「実は◯◯なんだよね」そんなふとした一言を聞けたとき、
とてもありがたい気持ちになる。
それはきっと相手の心が少し開かれた証であり、そこに潜在的なニーズそこ隠れていることもあるから。
心を緩めてもらって、思ったことをつい話せた、そんな存在でいられたらと願っている。
憧れの存在でなくても、心地よさを感じてもらえればそれでいい
親しみやすさというのは、この仕事をしていて大きな武器になると実感している。
スタイリッシュでカッコよく、誰からも憧れるような店員さんもたくさんいるし、そんな人たちは本当に素敵だと思う。
けれど、私はそうはなれないと早くから気づいた。
だから私は、親しみやすく、尋ねやすく、「まぁ、話してもいいか」と思ってもらえる存在になることを選んだ。
決しておしゃれとは言えない私が、この仕事を選び、アパレルフリーランスとして活動し続けていられること。
その秘訣は親しみやすさなのではと感じいてる。