ダニーロの「アラバロール」とは vsサンプドリア戦レビュー
前半戦を終えて(1試合未消化)5位とユベントスはスクデット争いに出遅れているが、ピルロ新監督の元で世代交代、ポジショナルプレーに挑戦して最低限の結果を得ることが出来た。
後半戦の初戦の相手はサンプドリア、逆転スクデットを狙う中でこれ以上勝ち点を落とせない。
お互いの布陣
ユベントス 攻撃:3-2-5/2-2-3-3 守備:4-4-2
サンプドリア 攻撃:4-1-3-2 守備:4-1-3-2
ユベントスは調整不足のデリフトを除くと現状ベストメンバー、ここ数試合キエッロを3バックの中央に置いてボヌッチを右HVで起用している。
アルトゥール、ベンタンクール、マッケニーの中盤3枚はポジションを確立したと言っても良いだろう、今日のロナウドの相棒役はモラタが務める。
サンプドリアは開幕戦で戦った4-1-4-1から4-1-3-2に変更、EURO2004のチェコ代表が使っていた印象が強い今時珍しい形。
クアリアレッラ、ケイタバルディ、カンドレーヴァなど派手では無いが面白い前線の選手達、先日セリエA初ゴールを決めた吉田麻也vsロナウドに期待。
生き返ったトリノの固定発射台
ユベントスの組み立ては3バック+ベンタンクール、右WBのクアドラードとアルトゥールがビルドアップのサポートを行う。
ここ数試合3バックの配置がダニーロ、キエッロ、ボヌッチという配置となっているが、デリフトがいない中で効果的な配置となった。
3バックの中央に運べてスイッチを入れるパスが蹴れるキエッロを使い、右HVに最終ラインから長短のフィードを繰り出せるボヌッチ。サンプドリアの2トップが3バックにプレッシャーをかけなかったので自由にボールに触れることが出来た。
中盤はアンカーのベンタンクール一枚で組み立てるが、アルトゥールが横並び、ベンタンクールと位置を変えて組み立てる形もある。アルトゥールがキエッロとボヌッチの間に落ちてボールを貰う動きが象徴的。
クアドラードはSBとWBの中間のポジショングを取り自陣の組み立ては下がり気味で参加、中盤以降は大外のレーンで幅を取ることに専念する。
サンプドリアは2トップが中盤2枚をケアする、残る8人がコンパクトな陣形でラインを上げ中盤で奪い取りカウンターを狙う。
相手守備陣の裏のスペースをボヌッチ、ベンタンクールを起点にロナウドとモラタが裏に抜け出す。
ピルロの成果もあってかベンタンクールの成長が著しい。前までは各駅停車の捌き屋だったが長短を織り交ぜた決定的なパスを出せる選手に成長していっている。
ボヌッチに比べてボールを運べるキエッロを中央に置き、固定砲台として逆サイドに正確なサイドチェンジを蹴れるボヌッチを右HVで使うという面白い采配。
ダニーロの「アラバロール」とは
サンプドリアは4-1-3-2の撤退守備でゴール前を固める。4バックの前のフィルター役でエグダルを配置する、左右のカンドレーヴァ、トロスビーはHSをケアする。
クアリアレッラが下がり気味でAシウヴァをサポートして中央を固める。ケイタは前線に残ってカウンターの為に足を休める。
ユベントスはいつも通りの3-2-5とダニーロのアラバロールの2-2-2-3を使い分ける。今までダニーロがボール保持時に3バックの一角に入る形を見せていたが、アクセントとしてのアラバロールはこれまであったが試合を通じて一列上がるのは初。
アラバロールとは何ぞやという方はこちらを
https://www.footballista.jp/special/44251
ダニーロにアラバロールをやらせる事で大外のキエーザを活かしてアルトゥールをゴール前でボールを触らせることが出来る。
カンドレーヴァはアルトゥールを見ながらアウジエッロのサポートにいけるポジショニングを取っているが、ダニーロの位置取りで中を締めた時はキエーザが一対一になり、キエーザを警戒した時は内のアルトゥールに自由にボールを触らせることになった。
アルトゥールが上がることによってベンタンクールが少し下がった位置からゲームメイクが可能になった。
右サイドではクアドラードとマッケニーがCB-SB間のスペースを狙い続ける。右サイドにボールと人を集めて守備ブロックを寄せ、右HVのボヌッチのサイドチェンジからキエーザが一対一を仕掛けられる状況を作り出す。
中央のモラタは裏抜け、ポスト役で深さを作り出して動き回りチームに貢献する。問題のロナウドは最後のクアドラードへのパスは良かったが全体的に物足りない、強豪続きの2月の連戦で爆発して欲しい。
ダニーロのアラバロールは戦力的に上回り押し込める状況だったので使われていたが、インテルやナポリなどカウンターを武器にする相手に対して使えるかはまだ疑問的。
3バックについて
番外編です、ユベントスのボール保持時の3バックに対する考えです。
ユーヴェのDF陣は対人型(デリフト、キエッロ、デミラル)、介護必須レジスタ型(ボヌッチ)、SB兼用型(サンドロ、ダニーロ)の3つのタイプで別れています。
この中で一人レベルが違うのがビルドアップ性能に優れカバーリングもできる対人型のデリフトです。
デリフトを軸にして守備時のCBの相棒を考える上でデミラルはまだ早いと思います。対人能力と身体能力に優れていますが、ビルドアップ性能に難があり右サイドでしか使えないのが響きます。
上記に挙げた3バックの中央で発射台としてレジスタ不足を解決できるボヌッチ、貴重な左利きでカウンターを迎撃できる対人能力を備えたキエッロの二人が選択肢に残ります
ボヌッチはカバー型なのでカウンター迎撃、対人能力に不安があり、BBCのような左右に対人型を配置して介護してあげる必要があります、キエッロに関しては36歳という高齢による稼働率の問題がついてきます。
連戦続きでも頑丈で計算できる(ある程度の確率でボヌる)ボヌッチか重要な試合に向けて調整させてワンポイントで使うキエッロという形が理想的です。
したがってダニーローボヌ/好調キエッローデリフトの並びがいいと思います。
エピローグ
試合はショートカウンターからキエーザ、アディショナルタイムのロングカウンターからラムジーのゴールで2-0の勝利、調子を上げてきたキエッロの活躍でユーヴェらしい勝利。
ここ数試合調子が上がってきたキエッロですが、上手く出場機会、プレータイムを制限して使っていきたい。カウンター迎撃、最終局面での個人守備、キャプテンシーなど格が違うので年齢、怪我と上手く向き合っていきたいところ。
コパイタリアインテル戦H&A、ナポリ、ヴェローナ、ローマとのリーグ戦やCLポルト戦など厳しい相手や過密日程が続きますが、チーム一丸となって勝負の2月を戦っていきたいです。(勝負の一月は8勝1敗でした笑)
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
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