
ピルロのプラン通りに進んだミラン戦
前人未到のセリエA10連覇をかけた首位ミランとの絶対に負けられない一戦、この試合を落とすと1試合未消化ながら勝ち点差13と広がってしまう。
優勝争いに絡むためにも落とすことはできない重要な試合、試合直前に両チームからコロナ陽性者が出た中での試合となった。
お互いの布陣
ユベントス 攻撃:3-5-2 守備:4-4-2
ミラン 攻撃:3-2-4-1 守備:4-4-1-1
ユベントスは怪我人のモラタとコロナ陽性のクアドラード、サンドロが小州外、両WBには若いキエーザとフラボッタのコンビを起用した。
中盤には久しぶりにラビオがスタメンで起用、2トップにはロナウドとディバラのコンビ。ディバラは相性がいいミラン戦なので結果を残したい。
野戦病院と化しているミランはコロナ、怪我、累積で7人を欠く試合となった。
トナーリとクルニッチを失った2ボランチの一角にはユース時代プレー経験があるカラブリアが務めた、空いた右サイドバックにはダロトがスタメン起用された。
レビッチの代わりに今夏加入したハウゲを使い、ベンチにはブラヒムディアスとプリマっ子のダニエルマルディーニ、コロンボという選手層の薄さを感じさせた。
【前半】ディバラの価値
序盤はユベントスのビルドアップvsミランのプレッシングという構図となった。
ユベントスのビルドアップは3バック+アンカーで組み立てる、相手を引き付けていい状態で前線の選手に渡したい。
ミランのマンマーク気味のプレッシングに対してボールを持ち続けてビルドアップ、序盤にはミスが目立ったが組み立てを放棄しない姿勢。
相手のプレッシング部隊がWBのパスコースを消してくるので、一回中盤を経由してサイドに振る。両IHがHV-WBの間に落ちてきて組み立てをサポート、特にラビオが自慢のプレス耐性を活かして自分で運ぶ動きを見せた。
ビルドアップの出口はディバラ、ディバラが下がってくる特性を活かして多少厳しいボールでも独力でマークを外させる、比較的自由に動きボールを受けて反転、ファール奪って前進する。
ミランのプレッシングは前線からコースを制限してマンマーク気味でボールを奪いにいく。
中央のレオンとチャルノハールはボヌッチとベンタンクールをマーク、両SHの選手はカバーシャドウで大外のWB消しながらHVにプレッシャーかける。
カバーシャドウとははパスコース上に立ち相手を無力化する守備
両SBはユーヴェのWBに対して飛び出して対応、ボール奪取が武器のケシエからショートカウンターを狙いたい。
ミランは前線からの組織的なマンツーマン、ゾーンを組み合わせたプレッシングだったが、ユベントスの個人能力で剥がされる形になった。
真価を発揮したキエーザ
試合を通じてユベントスは右サイドを重点的に狙う作戦。
ユベントスのゴール前での崩しは有利を取れる大外から攻める、左右のHVから大外のキエーザ、フラボッタに展開し個の能力で仕掛ける。
左サイドではロナウドを中心にラムジーが合わせる形。
大外はフラボッタが使いダロトとの一対一で勝利、ラムジーは基本左HSでプレーするが中央レーン、最終ラインへの飛び出しなど器用なプレーを見せた。
ロナウドは組み立て時はサイドに流れ、最終局面では中央でクロス、決定的なパスから得点を狙う。今日の試合で得点に絡むことはなかったが相手に脅威を与え続けた。
右サイドではディバラとキエーザのコンビでロマニョーリ、テオを狙い撃ち、大外のキエーザがフリーで受けられる状況を作りだしテオとの一対一で勝負。
替えがいないテオに対してキエーザで殴り続け前線に上がる余裕を作らせない。
ディバラは中央、右HSを起点に自由に動いてボールに絡む。ピルロの指導の成果か今までは右下がり目でボールを受けていたが、中央で相手と戦いレーン間のバランスを整えようと頑張っていた。
ディバラとキエーザのコンビで右サイドを攻め続け2ゴールを得る結果となった。
計算されたミランHS攻略
ミランのゴール前での崩しは大外を起点にHSを崩す狙い、左サイドを起点にゴールを狙いに行く。
攻撃時に3-2-4-1に可変して5レーンを埋める、イブラヒモビッチ、レビッチ、サレマーケルスなどタレントを欠くが攻めの形は変わらない。
左サイドでは大外のテオが幅を取り、サイドからの突破でチャンスを作り自分でゴール奪いに行く攻撃的なSB。ハウゲは左HSを起点にドリブルからのカットインで得点を狙う。
右サイドではカスティジェホが大外に開き、右HSをチャルノハールとカラブリアが使う。カラブリアはライン間でプレーしチャルノハールは中央、HSを動き回って決定的なパス、ミドルを狙う。
中央のレオンはクロスの場面ではファーサイドに回ろうとする傾向、レオンが流れた時に左右のHS、チャルノハールが中央に入ってくる。中央に居座らないレオンと中に入ってくるSHの特性を生かした配置。
【後半】 プラン通りの交代策
ディバラとキエーザのユニットで2点を奪ったユベントスはこの二人を下げるというリードしながら大胆な采配、前半は殴り合って体力を消費させ替えがいないミランに対して選手層で畳みかけるプランか。
得点上げた二人に代わってクルセフスキとマッケニー、ディバラの代わりに同じくレフティーのクルセフスキをロマニョーリにぶつける、知性と運動量が武器なマッケニーは疲れが見えるミランに対して効果的であった。
続いてベルナルデスキとアルトゥールを投入し、疲れが見えていてタスクが多いベンタンクールとラムジーを下げることができた。
メンバーが変わっても狙う形は変わらずマッケニーのHSへの飛び出しでチャンスを作る、右サイドから一対一を作り出す。ラビオの持ち運びからクルセフスキがロマニョーリを交わしマッケニーが試合を決定づけるゴール。
対するミランはブラヒムディアスが流れを変えるとこが出来なかった。代わりに出場したのはプリマ上りの選手達、ピルロの采配勝ちとなった。
エピローグ
試合はピルロのプラン通りにミランの左サイドを狙い撃ち、選手交代で畳みかけるプラン通りの試合となった、次回はお互いフルメンバーで試合がしたい。
9年ぶりにミランとスクデットをかけた争いができてホームでの再戦が楽しみ。
徐々にディバラのコンディションも上がり、システムにも組み込めていけてるので後半戦の爆発に期待、大一番で爆発したキエーザは左使われることが多いが得点、アシストを量産してほしい。
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