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ピルロ新監督の配置ミスとは

ユベントスは開幕戦でサンプドリア相手に3-0と快勝し、敵地オリンピコに乗り込んでの試合となった。

対するフォンセカ率いるローマはヴェローナとの試合は0-0の引き分けだったが、ディアワラの年齢登録ミスによって0-3扱いになる不運に襲われた。

セリエの移籍市場の目玉となったストライカーの玉突き移籍だが、ナポリーローマ間でのミリクの移籍が拗れたので、当初の目的であったジェコからモラタに乗り換えることになった。

実は開幕戦書こうと思ったのですが、日曜の昼間に草ラグビーの試合があったので月、火の連休は書く気力が湧かなかったです(笑)

お互いの陣形

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「ユベントス」 攻撃:3-2-5 守備:4-4-1-1               「ローマ」 攻撃:3-2-4-1 守備:5-4-1

ユベントスは開幕戦からフラボッタ→モラタの変更、これによってクアドラードが左のWB、クルセフスキが右のWBに入ることになった。

結果的にこの逆足WBという試みは失敗となったが、この起用の意図はフラボッタの出場制限、左WBの選手がSBを兼任する必要があるのでクアドラードを起用したと考えられる。

4年ぶりにトリノに戻ってきたモラタの復帰戦となった、筆者はモラタが大好きなので、毎晩早朝まで起きて移籍の動向を追っていました。

対するローマは残留が決まったジェコが復帰、新加入のクンブラなど開幕戦から4人変更。スタメン復帰した頼れるカピターノが試合を通じて脅威となった。

陣形のかみ合わせ

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ユベントスはラムジーが配置的に浮く形、ローマは最終ラインで数的有利を確保する。

ユベントスの最終ラインは数的同数なので、ビルドアップの時に中盤の選手の動きだしが重要となる。

両WBの一対一の戦いでサイドを制するのはどちらのチームか。

ユーヴェのビルドアップが機能不全となった原因とは

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ユベントスのビルドアップは3バック+中盤の2枚で組み立てる、中央のボヌッチが最終ラインのレジスタとなり長短のフィードで組み立てる。

左右のHVが起点となりCHとWBが三角形を作り前進を試みる、中盤2枚の内一人が最終ラインに下がってきて、両HVがサイドに開く形もオプションとして備えている。

トップ下のラムジーは左に流れてパスコースを作る動きを見せた。

しかしローマのプレッシングによって、ピルロユーヴェの生命線であるビルドアップが上手く機能しなかった。結果的に自陣から繋げず、モラタに目掛けたロングボールを蹴らされる展開となった。

解説の細江さんも言及されていたが、ラビオとマッケニーの中盤2枚がボールを受けに来るときに相手のマークを剥がせず、相手を連れてきているので直したい。

ローマのプレッシングはジェコがボヌッチ番、2シャドーが中盤2枚へのパスコースを消しながら両HVにプレッシャーをかける。

この2シャドーが行っている守備がカバーシャドウ、背後の選手のパスコースを消すポジショングを表す用語である。カバーシャドウによって相手の選手の動きを制限し組み立てを邪魔した。

ローマの中盤2枚は飛び出して対応し数的有利を作らせない、ローマの全線からのプレッシングにより最終ラインからのビルドアップを妨害し、守備から上手くリズムを作れた。

ジェコの存在感

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ローマのビルドアップは3バック+中盤の一枚が下がって来てダイヤモンドを作って、中盤2枚が縦関係となる3-3-3-1の形を形成する。

中盤2枚が横並びになる3-4-2-1のパターンも準備されている。

最終ライン、中盤で数的有利を作り出し中盤の選手を引き付ける狙い。ラビオとマッケニーが飛び出したことによって、ユベントスの3バックの前のスペースを利用することができた。

ポストワークに優れるジェコや2シャドーが空いたスペースでボールを受けようとした。

ジェコは普通のロングボールを収めることができて、落とし、散らし、スルーパスなど改めてチームに欠かせない存在と認識させた。

前線からの即時奪取を狙うユベントスを引き付けて、前線と守備陣の間にスペース作り出し疑似カウンターを作り出した。

ユベントスのプレッシングは2トップが3バックに対してプレスをかけ、トップ下のラムジーとラビオ、マッケニーの片方が飛び出して中盤2枚をケアする。

ラビオ、マッケニーの二人とも重心が前向きの選手なので、前に行きやすくローマ戦では上手く釣りだされる格好となった。

今季のピルロユーヴェはハイプレスから即時奪取を狙うサッカーをしているが、交わされた後のリスク管理の部分で不安が残る試合となった。

逆足WBの問題点

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ユベントスのゴール前での崩しは、前線3枚が中央、左右のHSを流動的に動き列移動を繰り返す。

両WBはサンプドリア戦では利き足サイドの選手が起用され、幅を使ったワイドな展開だったが、この試合では左にクアドラード、右にクルセフスキが起用され逆足WBとなった。

逆足WBを起用したことによって、ボールを貰う時に体の向きが内向きになってしまい、幅を使ったワイドな攻めが機能しなかった。自然的に縦突破よりカットインが増えてしまい、中央で渋滞気味になってしまった。

特に縦突破が持ち味のクアドラードの良さを生かせず、慣れていない左サイドでチャンスを演出することができなかった。

モラタは広大なスペースがある時に活躍する選手なので、ゴール前に引きこもるローマ相手では良さを生かせなかった。

開幕戦では引いた相手に対してボヌッチからのロングフィードが効いていたが、ジェコが警戒していた為持ち味のロングフィードは見れなかった。

ローマの組織的守備は5-4-1の形でゴール前を固める、5バックが5レーンを埋めて中盤4枚が中央を締めサイドに誘導する。

両WBは相手のWBが逆足だったので内側をケアするポジショニング、中盤4枚は横並びというよりボックス型で中央をより固める狙い、

5バックの弱点であるCB-WB間のスペースを中盤の選手がカバーした。

トランジション

ユベントスのポジトラは、クルセフスキ、ラビオなど推進力が武器の選手が運びカウンターを狙った。

ネガトラでは即時奪取を狙う強い意志が感じられたが、プレスを交わされた後のリスク管理は今季の不安の種になるだろう。

ローマのポジトラは、ボールを奪った直後に走りだし鋭いカウンターから得点、チャンスを作り出せた。

ネガトラではボールを失った後に無理に奪おうとせず、自陣に戻って守備ブロックを形成した。

エピローグ

試合はお互いハンドからPKを奪ったが、前半終了間際のFKに両CBを上げた結果カウンターから失点、無理に点を取りに行く展開ではなかったので勿体ない失点となった。

後半に入りアルトゥール、コスタの投入やクルセフスキのCF起用によってリズムを取り戻したが、ラビオの痛恨の2枚目のイエローで退場処分となった。

しかしダニーロの年に数回見せる素晴しいクロスから「美しき破壊者」ロナウドの値千金の同点弾で追いつき、敵地で引き分ける形となった。

厳しい試合だったが最低限の結果は持ち帰ることができた。

試合を通じて逆足WB、トランジションのリスク管理、時間の使い方など反省点が残る試合となった。

しかしコロナの影響でまともなプレーシーズンを過ごせず開幕したので、ピルロが「テスト」と言うのもしょうがない。試合の采配については批判があって当然だが、希望が見えるサッカーをしているので開幕5試合は見守っていきたい。

次戦は盟友「闘犬」ことガットゥーゾが率いるナポリとの一戦、ローマ戦の問題点を上手く修正できるか試される試合となるだろう。

(筆者が小学生の時に参考にしていた選手はガットゥーゾです、試合開始前の握手が楽しみです。)

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

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