
裸で挑んだピルロと武装して挑んだコンテ vsイタリアデルビー
イタリアの盟主として絶対に負けられない宿敵インテルとのイタリアデルビー、首位のミランを追撃する上で勝ち点を落とせない。
師弟関係となるコンテとピルロの対戦、クラブ屈指のカルテットMVPPの一角ビダルとの元チームメイト同士対決も楽しみ。
お互いの布陣
ユベントス 攻撃:3-2-5 守備:4-4-2
インテル 攻撃:3-1-4-2 守備:5-3-2
ユベントスはコロナと怪我の影響でデリフト、クアドラード、サンドロ、ディバラなど中心選手を失った。怪我の心配があるマッケニーに代わってラムジーがスタメン、ディバラの代わりに帰ってきたモラタが起用された。
崩しの核となるハキミに対してピルロはフラボッタを起用したが、この采配は吉と出るか凶とでるか。
対するインテルは負傷離脱中のダンブロージオ以外はベストメンバー、両IHのビダル、バレッラが攻守に渡って走り回る。
攻撃の起点となるルカクvsキエッリーニの攻防に期待。
数的有利を活かせないビルドアップ
3バック+ベンタンクールで組み立てるユベントスのビルドアップに対して、インテルは2トップの献身的なファーストディフェンス、自分の目の前の選手をマンツーマン気味で止める。
ラウタロ、ルカクの2トップはベンタンクールへのパスコースを消し、中央を固めサイドに誘導する守備。キエッロの運ぶドリブルに対してルカクが付いていく。
この2トップのプレッシャーでビルドアップ部隊を封じられ、ユベントスは自陣での数的有利を活かすことができなかった。
インテルは簡単に言うと自分の目の前に来た選手を止める守備、5レーンの中の大外の選手はWB、HSの選手はIH、中央の選手はアンカーが対応する。
仮に2トップがケアしてるアンカーにボールが渡った場合は、アンカーのブロゾビッチが飛び出す。
対人性能に優れたビダル、バレッラがラムジー、ラビオに対して厳しく付いて最終ラインでボールを回させることに成功。ボヌッチーダニーロ間のパスが66回、ボヌッチーキエッロ間のパスが38回と両チーム合わして1位、2位の結果。
ロナウド、モラタに対して数的有利を活かして起点を作らせない、インテルのプレッシングによってユベントスは自陣で組み立てる事が出来なかった。
作戦通りの先制点
ユベントスの組織的守備は4-4-2に可変して4-4ブロックを作って守る、左右のSHがHSをカバーするので中盤2枚の負担が大きくなる。
2センターがバイタルエリアを担当するので強度、個人守備が求められる、アルトゥールが試合に出れない理由の一つ。配置的に浮くブロゾビッチをモラタが下がって来てマークする。
インテルのゴール前での崩しはオーバーロードとアイソレーション。片方のサイドに密集してボールを回して相手の守備陣形を寄せ、密集からのサイドチェンジで一対一を作り出す勝負をする。
先制点のシーンを見ればわかるように左サイドに密集してボールを回しサイドチェンジ、バレッラのHSへの飛びだしでラムジーを引き付ける。
ハキミvsフラボッタというインテルの武器とユベントスの不安要素をぶつけることで勝負に勝つ確率を高める。バレッラの飛び出しでラムジーが一時的にCBーSB間の間に下がり、カットインの選択肢が生まれ縦、内両方仕掛けられる状況になった。
クロスに対して逆サイドIHが飛び込む形が徹底されていて、ハキミとバレッラの崩しからヴィダルがバレッラのクロスに飛び込み先制点を奪った。
インテルは中央では数的同数、ルカクのポストとラウタロの裏抜けを活かす攻め、サイドからはハキミを活かした攻めを見せた。
機能不全のマンマークプレッシング
インテルのビルドアップは3バック+ブロゾビッチで組み立てる、ブロゾビッチがデフライとバストー二の間に入るパターンもある。
5レーンを用いて相手のプレッシングを左右に揺さぶり隙を探し一気に前線へ展開、ロングボールを質的優位、優れたCBでも互角のルカクが納める。ルカクのポストからIHの飛び出し、ラウタロの抜け出しで一気にゴール前に迫る。
ユベントスは前線からスペースとパスコースを制限してマンマークで圧力をかけるマンマークプレッシング。
モラタがブロゾビッチをマークする場合はHVがフリーになりSHが飛び出す、2トップが3バックを見るときはブロゾビッチが空き中盤2枚の内一人が飛び出して対応。
両SHは中央に絞りHVとIH両方見れるポジショニングを取る、2センターはブロゾビッチと自分のサイドのIHをケアする。
数的同数のCBはキエッロがルカク、ボヌッチがラウタロを担当し、キエッロがルカクを止められるか重要なポイントになった。
2失点目のシーンを見ればわかるようにモラタの中途半端なプレッシングが失点の原因となった、モラタが自由にバストー二を運ばせフリーでロングボールを蹴らしてしまった。
バストー二の高精度のロングボール、バレッラの素晴しい飛び出しからの失点だが、ヤングを見ていたフラボッタの責任にするのは酷だろう。
今季のユーヴェはネガトラとプレッシングが重要となるので修正したい。
美しい中央封鎖
インテルの組織的守備は5-3-2でゴールに鍵をかける、中央、HSを固めてサイドに誘導する守備。
2トップが縦パスが入らないように中央を固める、中盤3枚は左右にスライドしてボールを奪う。
ユベントスの強みであるキエーザを止めるためにビダルを左IHで使いヤングをサポートする、相手のWBがボールを持った時に中盤3枚がスライドして1vs2を作り出す。
この時ブロゾビッチがHS、逆サイドのバレッラが中央を埋め、この動きを90分間繰り返した。
5バックが5レーンを埋め対人型のCBで世界トップクラスのシュクリ二アルがロナウド、デフライがモラタに対応する。
ユベントスは相手が中央とHSを固めているので大外から打開しようとする。崩しのキーマンとなるのは右サイドのキエーザ、ハキミvsフラボッタのように有利を取れるヤングとの対決。
ビダルがカバーに入り1vs2という不利な状況になったが、果敢な仕掛けからチャンスを作り出した。相手がゴール前を固めているのでクロスからモラタ、ロナウドで得点を狙いたかったが、クロッサーのクアドラードの不在が響いた。
左サイドのフラボッタは攻撃面で期待ができず、ロナウドが下がって来てボールを受ける事態に陥った。結果的にゴール前で横パスを繰り返しゴールをこじ開けることが出来なかった。
エピローグ
試合はベルナルデスキ、マッケニー、クルセフスキを3枚同時に投入したが流れは変わらず0-2で完敗。
自分たちの強みであるハキミを活かして、不安要素であるヤングをビダルでカバーしたコンテ
自分たちの強みであるキエーザを対策され、不安要素であるフラボッタはケアしないでやられたピルロ
フラボッタ、ピルロは高い授業料だがこれからの糧にしてほしい、ミラン戦のように殴り合いで臨んだピルロ、今回は采配ミスという結果になった。
相手の弱いところを徹底的に突くというコンテの戦略勝ち、このサッカーでGS敗退したのが理解できない内容。
次回はインテルの塹壕守備に対して独力で剥がせるディバラ、大外からクロスでこじ開けることができるクアドラード、ハキミを止めれるサンドロ、ルカク封じ、ビルドアップで貢献するデリフト達が帰ってきてフルメンバーで借りを返したい。
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