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『迫りくる影』

今日は実家の母が一人暮らしの私の家に来ている。
頑張って仕事を片付けていたら、あっという間に定時を過ぎていた。
ふと携帯を見たら母からメッセージが来ていた。
「くふな」  ・・・? 
どういう意味? 返信したが、なかなか読まない。

急いで仕事を終えて、私は一人で帰宅していた。
街灯の少ない道を歩いていると、ふとポケットの中でスマホが震えた。
母からだと思った。

画面を見ると、知らない番号からのメッセージが届いている。
「後ろを見て」。
ぞっとして振り返るが、誰もいない。いたずらかと思い、無視して歩き始める。

すると、またメッセージが届いた。
「近づいてるよ」。

足が震え始める。再び振り返るが、やはり誰もいない。今度は走り出した。心臓が爆発しそうなほど速く鼓動し、息が切れる。でも、止まらずに走り続ける。

もうすぐ家だ。 うちの窓を見上げると明かりがついている。 
良かった、母が待っている。

ポケットの中で何度もスマホが震えるが、怖くて見られない。

家に着くなり、ドアを閉め、鍵をかける。安堵のため息をつき、
「お母さん、ただいま」と声をかけるが母は出てこない。

スマホが一度だけ震えた。

震える手で画面を見ると、最後のメッセージが届いていた。
「もう、目の前にいるよ」。

顔を上げると、すぐ目の前に母ではない、大きな冷たい影が立っていた。

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