M&Aを成功させる重要資料!ノンネームシートと企業概要書とは!?
◆M&Aを成功させる重要資料ノンネームシートと企業概要書について解説
企業買収を検討する際、M&Aアドバイザーからノンネームシートや企業概要書を提示されたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
また、売り手側でもM&Aアドバイザーに作成を依頼したことがある方もいらっしゃるでしょう。
M&Aにおいて、ノンネームシートと企業概要書は重要な資料であり、M&A交渉のための必須資料といっても過言ではありません。
ノンネームシートと企業概要書をまだご覧になったことのない方や、両者の違いが分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、「M&Aを成功させる重要資料!ノンネームシートと企業概要書とは!?」を、解説致します。
◆ノンネームシートと企業概要書
ノンネームシートと企業概要書についてを分けて解説して行きましょう。
◆ノンネームシートとは?
M&Aは秘匿性が高く、情報開示する範囲は限定的にし、情報漏洩は絶対に避けなければなりません。
しかし、企業を売却する際、買い手に何かしらの情報を開示しなければ、買い手候補は表れません。
そのために作成するのが、ノンネームシートです。
ノンネームシートとは、M&Aにおいて、買い手候補を募集する際に使用する、会社を特定されない範囲の情報を簡易的にまとめた資料でティーザーとも呼ばれることがあります。
掲載される内容の詳細は後述しますが、事業内容、事業規模、所在地、売却理由・希望条件などを敢えて大まかにまとめた資料で、概要は掴めるものの、会社を特定するには至らない程度の内容で作成されます。
M&Aマッチングサイトで売り案件を検索すると様々な売り案件情報が閲覧できますが、あの情報がノンネームシートです。
ペーパーベースだと、一般的にA4用紙一枚程度で簡易的に作成されます。
売り手はノンネームシートを利用し、会社を特定されずに多くの買い手候補を募集する事が可能となり、買い手は数あるノンネームシートを閲覧し、買収を検討したい売り案件を絞り込み、売り手にアプローチをかける事が出来ます。
逆に言うと、ノンネームシートを作成し開示しなければ、売り手も買い手もお互いの存在すら気づく事が出来ません。
ノンネームシートはM&A交渉を開始するにあたって重要な資料であると言えるのです。
✅ノンネームシートに記載する内容は?
ノンネームシートに記載する内容は一般的に、以下の事項となります。
事業内容
所在地
譲渡希望金額
譲渡理由
希望売却時期
希望条件
財務情報
セールスポイント
特記事項
記載する情報については、企業を特定されないよう、敢えて大まかな情報のみを記載します。
例として、以下のようになります。
事業内容 :ゲームアプリ制作・運営
所在地 :東京都(23区内)
譲渡希望金額 :1億円
譲渡理由 :ハッピーリタイヤ
希望売却時期 :特に急がず
希望条件 :個人連帯保証の解除
財務情報 :売上高5~10億、営業利益1,000~5,000万円、役員報酬1,000~3,000万円、借入金1,000~5,000万円、純資産3,000~5,000万円
セールスポイント:大手ゲームプラットフォームに2タイトルリリース。3D制作に強く、ゲーム以外の制作も可
特記事項 :買い手希望により、売却後も事業参画は可。待遇など応相談。
上記の通り、企業の特定はされないまでも、セールスポイントや特記事項など必要な情報は記載されるので、閲覧した買い手候補は交渉打診の判断をするのに十分な情報が得られます。
✅ノンネームシートを作成する上での注意点
ノンネームシートを作成する上での注意点としては、必要以上に詳細を掲載しない事です。
というのも、意外なところから企業が特定されてしまう可能性があるからです。
例えば、
事業内容 :飲食店 ラーメン屋(とんこつラーメン)
所在地 :○○市○○区
セールスポイント:○○線○○駅より徒歩1分。地元でも有名なラーメン屋でいつも行列ができる。
特記事項 :座席数100席以上あり
※○○に正確な文字が入っていると仮定
など、極端な例ですが、匿名ではあるものの、上記のような記載内容だと間違いなく特定されてしまいます。
かといって、希望金額や条件、セールスポイント、特記事項など、伝えるべきところはしっかりと買い手に伝えなければなりません。
特定されない掲載方法が難しいようでしたら、情報の開示はなるべく避け、交渉打診を受けた後に情報を小出しにするしていくといいでしょう。
ノンネームシートの記載内容は、慣れていないと匙加減が難しいので、慎重に情報開示を行うようにしましょう。
◆企業概要書とは?
企業概要書とは、M&Aアドバイザーが売り手側より依頼を受け作成する資料で、買い手候補がM&Aを具体的に検討するに足る情報が集約された資料です。
内容もノンネームシートとは比較にならない程、M&Aに必要な売り手の詳細情報が記載され「インフォメーションメモランダム(IM)」とも呼ばれます。
なので、企業概要書を買い手候補に開示する前には、必ず買い手とM&Aアドバイザー間で秘密保持契約の締結を行います。
企業概要書を閲覧する事することで、買い手候補は本格的にM&Aを検討する事が可能となり、売り手も、買い手候補とのM&A交渉が有利に働くよう企業概要書を活用し、自社の状況説明や強みをアピールする事が出来ます。
そのため、企業概要書には正確性が求められます。
なぜならば、企業概要書の内容を前提として、今後の交渉が進行されるからです。
そのため売り手は、企業概要書の作成を依頼するM&Aアドバイザーへ速やかに必要資料を提供し正確な情報を伝えなければなりません。
この部分が、疎かになると後の交渉が不利となる事や、開示された企業概要書の内容が実態とあまりにも乖離していると、交渉打ち切りや信用失墜を招いてしまいます。
企業概要書作成にはどういった資料が必要で、どのような情報を提供すべきかをM&Aアドバイザーによく相談するようにしてください。
✅企業概要書に記載する内容は?
企業概要書に記載する内容は一般的に以下の内容となります。
当然、前述したノンネームシートとは異なりすべて実名、実数で記載し買い手がM&Aを検討するに足る正確な情報を開示します。
企業情報:社名、代表者名、本店所在地・支店情報、創立年月日、決算期 等
株主情報:現株主情報、株主変遷情報、株券発行・不発行、譲渡制限有・無 等
役員情報:現役員情報、役員変遷情報、会社機関情報 等
事業内容:事業詳細、商流、取引先情報 等
PR情報 :商品・サービス・SWOT情報 等
財務内容:直近3期分の貸借対照表・損益計算書・販管費の推移 等
掲載事項の例を挙げてみましたが、業種業態によってプラスアルファの情報も必要です。
例えば、
IT企業 :エンジニアのスキルシート
学習塾 :講師数、生徒数
飲食店 :FLR比率
調剤薬局:処方箋枚数、薬剤師の人数 など
など、業界特有の情報も開示すると買い手候補へのアピールとなります。
要は、買い手候補がM&Aを検討する事において、必要不可欠な情報を企業概要書に盛り込みM&Aアドバイザーに作成してもらえば間違いありません。
業種業態別の記載すべき情報については、M&Aアドバイザーが熟知しているので、指示に従い必要な資料の提供や情報を正確に共有するようにして下さい。
✅企業概要書を作成・使用する事における注意点
企業概要書には買収を検討する上で重要な情報の記載漏れがないようにする必要があります。
特に、売掛金回収不能や簿外負債、係争中であるなどのマイナス情報も記載しなければなりません。
交渉中に明るみに出なくても、デューデリジェンスで明るみになり交渉決裂になる恐れや、最終譲渡契約の締結後に発覚した場合などは、損害賠償請求を受ける事もあります。
マイナス要因も包み隠さず必ず情報開示して下さい。
マイナス要因も正直に開示することで、買い手候補より好印象を持たれる場合もあり、買収後の善後策を講じてもらえる事もあります。
会社のありのままをM&Aアドバイザーに伝え、会社の実態を忠実に現した企業概要書を作成してもらうことが、M&Aを円滑に進める秘訣なのです。
◆まとめ
以上、「M&Aを成功させる重要資料!ノンネームシートと企業概要書とは!?」を、ご説明しました。
ノンネームシートと企業概要書がM&Aを成功させる上で重要な資料であることがご理解いただけたことでしょう。
ノンネームシートにより買い手候補を募集、企業概要書により詳細情報を開示し、具体的な買収検討を行うという流れとなるわけです。
ノンネームシートと企業概要書の内容がM&Aの成否を分ける言っても過言ではありません。
M&Aアドバイザーに相談し、ノンネームシートと企業概要書を作成してもらい、M&A成約まで導いてもらいましょう。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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