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イギリスの学校 登校日初日 その2

小学校5年生で、英語もできないのに地元の小学校に転入しました。これは初日のお昼の出来事です。

そろそろお昼の時間という頃、隣に座っていた女の子は帰る支度を始めました。「早引きかなぁ」と不思議そうな顔をする私に、彼女が身振り手振りで伝えたことは、多分「私は家で昼食をとる」。ランチとホームという単語が聴き取れたので、そう理解しました。

他のみんなは教室を出て、歩いていきます。私はみんなについていきました。食堂です。「ここで給食を食べるんだな」と思って、みんなと同じように並びます。

列の先頭では、給食のおばさんがみんなからチケットを受け取っています。でも、私はチケットを持っていません。

一緒に登校したはずの弟を探しましたが、見当たりません。ということは、「私はきっと家で昼食を食べる子なんだ」と思いました。

昼休みはすでに始まっています。私はあわてて、列を離れ、家に走って帰りました。学校から家までは走って10分ぐらいの距離です。

「ただいま!」「?」母が驚いた顔をしています。

「私は家でお昼を食べる子なんでしょ?」

「違うと思うけどなぁ」と母。でも、母も自信がありません。ともかく、お昼を食べねば、ということで、母はあわてて昼食を作ってくれました。昼食を食べ始めたところで、電話がなりました。

電話に出た母が、受話器を置いて、言いました。

「今の電話は学校から。あなたがいないと大騒ぎになってるらしい。家に戻っていませんかって聞かれた。」おやおや。

昼食をあわててかっこみました。そして、また走って学校へ戻ります。食べたすぐなのに、一生懸命走って学校に戻りました。

その頃のイギリスの小学校では、昼食は、チケットを買って学校で食べるか、自宅で食べるか選択することができました。母はチケットは買ったけれど、私に渡し忘れていたのです。

そして、食堂にいなかった弟は、事務の手違いで転入が1週間遅れになっていたのでした。

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