イギリスの学校 英語を理解する その3
英語もできないのに親の赴任に同行して、普通の小学校に転入させられた小学校5年生の奮闘記です。
9月に転入し、早3か月が過ぎました。12月はクリスマスの季節です。私のイギリスの小学校のミスター・サンプソンのクラスでもクリスマス会を開催することになりました。みんなはグループに分けられ、それぞれ出し物を考えることになりました。
ある日、私はいつも一緒にいる友だちと一緒に昼休みを過ごしていました。すると、いつもは一緒にいない子どもたちが数名近寄ってきました。そして、私と一緒にいた友だちに合図をして、みんなで人気のない場所に移動しました。私も一緒に遊ぼうと思ってついていきました。
「ダメだよ。この子はうちのグループの子じゃないじゃない。」
「これから出し物の相談をするんだから、この子がいたら他のグループにばれちゃう。」
「あっちに行くようにいいなよ。」
ーおや、おや。私はここにいない方がよさそうです。どうしようかなと思いあぐねていると・・・。
「大丈夫だって。この子は私たちが言うことわかんないし」といつも一緒にいる友だちが言いました。みんなは私がいても、気にしないことにして、出し物の打ち合わせを始めました。
ーあの、私、みんなが話している内容はわかっているんですけど・・・
3か月程度のイギリスの小学校生活を経て、観察だけの日々からようやく6、7割の言葉が理解できるようになっていて、小学校の生活はずいぶん楽になってきました。
でも、この頃の私は、周りの人の言葉が理解はできても、自分の考えや思いを伝えることは、まだできませんでした。言葉にできなかったのです。
この時の悔しい思いは、障がいをお持ちの方たちにほんの少しだけ寄り添える経験となりました。
思いはちゃんとあるんです。表現できないだけで。
わかっているんです。伝えられないだけで。
だから、一刀両断にわからないと決めつけない。これからもそうしたいと思います。
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