ロストワックス技法で必要な道具
ワックス地金から作る彫金技法以外にワックスモデリング技法というものがあります。
ワックス(ろう)を使ってジュエリーの原型を作ります。このワックスの原型はキャスティング(鋳造)して、希望の金属で製品を仕上げることが出来ます。
ワックスの特徴は金属と比べて柔らかく、カッターやスパチュラ―で削ったり、無理な力をいれなくても簡単に作ることが出来ます。
金属では作りにくいボリュームのある形や、流れのある曲線のラインが自由に作れたり、表面を溶かしてテクスチャーをつけたり、ワックスを盛りつけたり、足したりできます。
キャスティング(鋳造)のプロセス
簡単に説明すると…
ワックス原型に湯道をつけて、石膏型を作り、乾燥後に原型のワックスを溶かして取り出し方を作ります。そこに金属を流し込みます。
※ワックスだけでなく、乾燥して燃えて消える原型であれば、型を作ることができて、金属にすることが出来ます。
例えば、レースや松ぼっくりなど。
<制作上の利点>
◇簡単に削れるので、金属を扱ったことのない初心者でも簡単に作ることができます。
◇大きな設備や道具がなくても、作業机があれば作ることが出来ます。
◇叩くなどの作業がないので、騒音の心配がありません。
◇熟練した技術がなくても、比較的短い時間の練習で、ある程度の物が作れます。
◇工具も少なくてすみ、材料もワックスなので、費用が安くすみます。
◇鋳造を依頼した時に費用がかかり経済的です。地金のロスもありません。
◇ゴム型をとれば大量生産が可能です。(こちらは地金で作った原型でもゴム型は作れます。)
作りたい物で、地金で作と時間と手間がかかる物も、ワックスだと早く作れて簡単という場合もあります。
初心者で技術がなくても、簡単でコストをおさえて作れるのでお勧めです。
ロストワックスに使う道具を紹介します。
①スパチュラ(歯医者さんが使う道具でみかけるスパチュラです)
②ケガキ
③WAX用ノコ刃
④スライディングゲージ ワックス用(厚みを測る道具)
⑤ワックス用ヤスリ、油目のヤスリ
⑥ドリル刃(ラウンドバー、スチールバー、セッティングバーなど)
⑦糸鋸
その他、カッターや彫刻刀、ペーパーヤスリ、スポンジ、綿棒、歯ブラシ、ベビーパウダーなど
リングを作る時に使う道具
①リングゲージ
②WAXリーマー(リングの内径を削る時に使います)
③サイズ棒
④芯金
⑤WAX用の木芯
WAX製作で使う機械・道具
◇ワックスペン
こちらは温度調整ができます。先端を変えると細かい作業も出来ます。
◇アルコールランプ&アルコール
こちらはスパチュラやカッターをあぶって温めて使います。
◇グラインダー(リューター)
出来上がった製品の湯道をとったり、磨いたりするのに使います。
先端に色んな工具をつけて使います。
◇ベンジン
WAXの原型の仕上げに使います。
WAXの種類
①スライスワックス
厚みが色々あります。色によって固さや粘りが違います。(紫、青、緑)
②チューブワックス
指輪の形に合わせて色んな形や種類があります。
③スプールワックス
色んな太さがあります。ドライヤーの熱で柔らかくすると簡単に曲げることが出来ます。ワックスペンで溶かしながら形を繋げていきます。
④シートワックス
厚みが色々あります。形をカッターで切り抜き、木の台で凹凸をつけたり、WAXを盛って作ります。簡単に曲げたり、曲線を作ることが出来ます。
その際ベビーパウダーを表面につけると、作業がしやすくなります。
⑤SDワックス
フィギュアを作るのに適しているワックス。
切削性に優れていて、力を入れずサクサク削れ、ワックスペンでの盛り付けも自由自在です。仕上げもベンジンで拭くだけできれいになります。
他には立体物を作るのに便利なブロックワックスもあります。
※スライスワックスはブロックワックスをカットしたものです。
ざっとこんな感じです。
工具を販売しているシーフォースさんでは初心者キットのようなものを販売されていました。
ワックスのキット↓
ワックスモデリングキット | L)ワックス・鋳造,ワックス,アソートセット | シーフォース 世界の工具・彫金 オンラインショップ (tools-shop.net)
もう少し安いタイプ↓
それぞれのワックスの特徴がありますので、私は制作にあわせて選んでいます。
次回は見本と合わせてワックスの特徴を説明する記事を投稿します。