あなたはテレワーク歓迎派?

おはようございます。

本日は興味深い研究調査に出会いましたので、その結果のうち一部を抜粋してまとめたいと思います。主に自分のメモとして残しております。


取り上げる文献はこちらです。

【JILPTリサーチアイ 第67回】
テレワークで満足を得られる人、得られない人
─個人の性格による違い―

概要

ビックファイブ・パーソナリティ特性とは、以下の5つである。

外向性・・・社交的、話し好き、強い刺激を求める
協調性・・・やさしさ、寛大さ、思いやりや面倒見の良さ
勤勉性・・・まじめで計画的、熱心に活動に取り組む
神経症傾向・・・落ち込みや不安、怒りなどのネガティブ感情を抱きやすい
開放性・・・好奇心や自由な発想をもつ、経験への開放性を意味する。


これらの特性と仕事満足度の相関を調べると、テレワークを行っている者と行っていない者の間で異なる傾向が見られたという。

テレワーク非実施者では、仕事満足度は「外向性」「協調性」「勤勉性」「開放性」との正の相関が確認され、「神経症傾向」との負の相関が確認されたが、一方で、テレワーク実施者では、仕事満足度は「勤勉性」「開放性」との正の相関、「神経症傾向」との負の相関が確認されるが、「外向性」「協調性」との相関は確認されない。


次に回帰分析を行い、以下のような結論が得られたという。

「外向性」について、テレワーク以外の場合は「外向性」が高いほど仕事満足度が高くなりやすいが、テレワークにおいては、「外向性」は満足度に関わらないと考えられた[注10]。つまり、他者と一緒にいることを好む「外向性」(社交的、話し好き)という性格は、オフィスで密にコミュニケーションをとりながら仕事を進める状況下では仕事満足度を高めるが、テレワークではそうではない。

次に

「協調性」については、テレワークの場合に、満足度を引き下げる方向に作用する。親密な対人関係を指向する「協調性」というパーソナリティは、業務分担の明確化等でチームワーク的要素が少なくなるテレワークにおいては、心理的に報われにくいことを示唆する。

最後に

「開放性」が高い個人ほどテレワークで高い満足を得られやすいことが示されている。この結果は、新しい就業環境の受容性の高さによると解釈できるが、テレワーク環境下で、好奇心や自由な発想から、新しい仕事の意味の発見につながっている可能性も考えられる。


補足

ビックファイブの名称には上記とは異なる訳語が付けられて紹介されている文献があります。

Extraversion 外向性

Agreeableness 協調性

Conscientiousness 誠実性 

Neuroticism 情動性

Openness 創造性

ビックファイブ性格診断ツールの紹介

無料で診断ができるサイトがありましたので、ご紹介です。

こちらは15分で詳細な診断が可能です。

診断結果は%表示だけでなく、偏差値表示もされます。またテスト結果の信頼性も表示されますので、自分を良く見せようと不自然な回答をするとバレます💦

お時間ある際にぜひお試しください。


感想

私が現在勤めている組織はネットを駆使した環境のため、フルリモート、つまり一度も出社しないで自宅で働いています。

フルリモートをするまでは自宅ばかりにいて自分が飽きてしまわないか、コミュニケーションは問題ないのか、不安が多かったのですが、いざやってみるとむしろ会議の時間は短くて効率的なコミュニケーションがとれたり、通勤時間がなかったり、昼休憩に買い物が出来たりと、メリットのほうが上回っていました。1、2か月ですっかりフルリモート勤務の虜になりました。


そんな職業生活を送っている私ですが、世の中ではテレワークが苦手で出社したいという方が多いのも事実です。そこには、家庭環境や社内のネットワーク環境などの要因が関係していそうですが、今回は個人特性から捉えた上記の研究を読み、納得感を非常に覚えました。


テレワークが苦手で思わず職場に出てきてしまう人々の中には、外向性や協調性が強い方が多いのでしょう。

なぜなら外向性の強い人にとって、職場に行って、多くの人と会う機会がなくなり、自宅でひとりPCと向き合う毎日は地獄でしょうし、

協調性の高さが自慢だった人にとって、遠隔地では、相手の状況を読みあうことに多大な労力がかかり、すれ違いが重なれば、共同作業に嫌気が差してくることもあるでしょう。


あるいは外向性や協調性が強く求められる職種の方、と言ってもいいと思います。外回りが中心の営業さんや、上と下と連携させなければならない中間管理職の方です。


一方で開放性の高い人は、テレワークならではの良さを見出し、例えば浮いた時間を自己啓発にあてたり、健康や家族・住環境により気を配るようにしたりと、新しい価値を創造しているものと推測されます。

こちらも開放性(創造性)の高い職種の方、デザイナーや企画職、プログラマーなどは、テレワークを楽しんでいらっしゃることでしょう。


テレワーク非実施者と実施者間で仕事の満足度に影響を与えなかった指標は、勤勉性と神経症傾向でした。

つまり、真面目な人は職場でもテレワーク下でも態度は変わらないだろうし、真面目ではない方も然りということになります。

テレワークだからさぼる人が増えるのではないか、という疑心は捨てていいということですね!


また、ネガティブ傾向な方はどちらの環境にいても、考え方が前向きになったりすることはないということが言えると思います。

つまり会社や上司からの何らかのサポートを、変わらずに届け続けることが必要ということですね。


以上、個人特性からみえてきたテレワーク下での仕事満足度調査は、大変興味深いものでした。

お読みいただいた皆さま、引用させていただいた研究者の方々、誠にありがとうございました。

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