『SMの思想史』・補遺②「(愛)読者の皆様へ」(『奇譚クラブ』1954年1月号)
補遺②は、拙著第1部第2章「第二世代雑誌と弾圧 5 弾圧と廃刊」137~138ページで引用した、『奇譚クラブ』1954年1月号掲載「読者の皆様へ」です。
見ておわかりのように、「読者の皆様へ」ではなく「愛読者の皆様へ」でした。間違えました。申し訳ありません。
内容は、当時の『奇譚クラブ』に対してなされた厳しい弾圧状況を伝えるもので、かなり貴重な内容です。
さて、以前から『奇譚クラブ』を読んでいたり、拙著を隅から隅まで読んでくださった方には(いれば)、なぜこの記事が補遺として取り上げられるのか不思議に感じられるでしょう。
なぜなら、『奇譚クラブ』は現在9割方オンラインで無料で閲覧することができ、決して閲覧が難しい史料ではないからです。
そして、この1954年1月号は、たしかに「某サイト」(気になる方はお探しください)に掲載されています。
ではなぜなのか?
それは…、「某サイト」のデータに落丁があり、当該号の
このページだけ掲載されていないから
なのです!!
しかもこれは1月号の最終ページなので、ウェブでだけ見ていると、1月号は1ページ前の204ページで終わりだと誤解するに違いありません。
私も実は最近までそう思っていたのです。
実物も持っているのですが、実物は読むとどんどん劣化していくので、普段は「某サイト」様のデータ(からつくったPDF)のほうを読んでいることが多いのです(大変お世話になっております。ありがとうございます)。
しかしある日、ぱらぱらと実物をめくっていたら、なんと、覚えのない205ページがあるではありませんか!!!!
この時感じた恐怖は筆舌に尽くしがたいです。
全ページスキャンされているとばかり思っていたら、まさかとんでいるページがあるとは。
いや、スキャンデータには確かにそういうことがある。決して珍しいことではありません。
そういう事があることはわかっていたけど、まさか最終ページとは。
こわすぎる。
もちろん、たとえこのような落丁があったとしても、「某サイト」様がすばらしく徳の高いサイトであることは揺るぎません。
しかし、こういうこともありますので、本格的に戦後風俗雑誌の研究をされる方は、ぜひデータだけで済ませるのではなく、定期的に現物確認をなさってください。
現物は東京・飯田橋の風俗資料館で簡単に閲覧することができます。『奇譚クラブ』のうち、A5判以降のもの(=1952年5・6月合併号以降)はすべて所蔵されています。
研究目的以外で戦後風俗雑誌を読む方でも、現物をみればまた別の発見があるかもしれません。
注意喚起もかねた、補遺②でした。