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空の上からパワーグリッド
コロナはあらゆるものを変えました。例えば出張です。現場でしかできないことや人に会うこと自体に価値があることには移動を伴いますが、ちょっとした打合せや会議であれば大半はWeb会議で済むようになり、その回数は増える一方です。便利で効率的なんですけど、味気ないものです。
そんなある日の出張で使った飛行機から見えた送電線を紹介します。
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今日は2022年2月のある日の羽田発伊丹ゆきの飛行機。
羽田から離陸して10分ほどで富士山南麓に到達する。送電線の下は点検と地絡防止のためにいつもきれいに整備されていて、雪が積もった時にその部分が浮き出て見える。
富士山の南麓に浮き出て見えるのは電源開発送変電ネットワークの275kV佐久間東幹線と東京電力パワーグリッドの154kV田代幹線。佐久間東幹線は浜松市天竜区にある電源開発佐久間発電所・佐久間周波数変換所から新富士変電所・北相模変電所を経由して西東京変電所へ至る。田代幹線は歴史ある送電線で、山梨県の早川第三発電所から駿河変電所・新富士変電所を経由して神奈川県の新秦野変電所へ至る。かつては川崎変電所までつながっていたそうだ。
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富士山付近から15分ほどで愛知県の三河湾・知多半島・伊勢湾上空へ到達する。送電線が見えるわけではないが手前にJERAの碧南火力発電所・武豊火力発電所がくっきり見える。写真のキャプションにあるようにこのエリアは東海地方の大電源地帯となっている。
養老山地や能郷白山が白く染まり、濃尾平野も北西端付近の岐阜県揖斐川町や大垣市あたりまで雪が積もっている。相当寒そうだ。
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三河湾から5分ほどで伊勢平野の西側にある鈴鹿山脈に至る。主翼のウイングレットの下のあたりに琵琶湖が見える。三重県の津市や松阪市あたりはゴルフ場がメガソーラーに転換してたり風力発電所があったりで再エネ電源地帯と言えるだろう。写真中央部には雲出川が蛇行しながら写真の左から右へ向かって流れている。
送電線は中部電力パワーグリッドの275kV伊勢中勢線(松阪市・伊勢開閉所〜津市・中勢変電所)と275kV伊勢幹線(亀山市・鈴鹿開閉所〜松阪市・伊勢開閉所)が見える。
伊勢幹線は500kV設計なので一際大きく見えるが、熊野灘沿岸に計画していた芦浜原発建設の断念で大量の電力を流す用途も無くなったようで現在は275kVで運転されている。
飛行機は徐々に高度を下げながら奈良盆地を通過し、生駒山地の南のへり部分を流れる大和川が大阪平野に抜けるあたりで進路を大きく北向きに変える。
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右旋回で大阪平野に入ると目の前にあるのは関西電力送配電の信貴変電所。J-Power送変電500kV阪奈線(信貴線・北和泉線)、関西電力送配電500kV御坊幹線・154kVの信貴敷津線・信貴八尾線・信貴矢田線・信貴百済線・信貴瀬野線が接続している。154kV新生駒線も付近を通っているが信貴変電所には接続していないようだ。