千社札(せんじゃふだ)
1、千社札の起源
どこでどのように始まったかは定かではありませんが、"神社仏閣にお参りした証"とされ、一説には自らの魂が込められた千社札を貼ることで、神社仏閣に参籠するのと同じご利益が齎されると信じられ風習として広まった可能性もあります。
千社札に明記されるのは、個人の本名のほかに屋号や芸名など様々です。
2、マナー違反と処罰
千社札は、全国の多くの神社仏閣で禁止されており、許可される場合でも無断で貼り付けることはマナー違反とされています。
また、地方では無人の神社仏閣が多いため、そもそも地域の人が大切に守ってきた建物に貼り付ける行為は処罰の対象となり得ます。
下記の刑法に該当する可能性があるようです。
①刑法上第260条 他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
②刑法第261条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
3、木材で作った千社札
近年、紙のシールにとどまらず、木材で作った千社札も流行しています。
この木板は、ボンドで貼ったり、釘で打ち付けられているものが多く、釘の場合はそこから錆びが浸透して建物に大きな損傷を与える原因になっています。
また、ボンドで貼ったり、シールを貼る場合でも、管理者が剥がそうとしてもなかなか剥がせず、建物の表面が剥げて損傷してしまいます。
絶対にやめて下さい。
4、千社札は殆どの神社では罰当たり行為
全国のほとんどの神社が、千社札を許可していません。
つまり貼り付けた時点で、管理者の神職が現行犯で警察に突き出すこともあるようです。
千社札はご利益が目的のようですが、神社の建物は、地域の氏子さんたちが大切に守ってきた地域の文化財です。
禁止している神社の建物に千社札を無断で貼り付けている方は、建物自体を傷つけるのみではなく、"人の心を傷つけている"という自覚を持つべきでしょう。
必ずバチが当たります。
5、文化財保護法の適用による処罰事例
最近では、平成30年12月に世界遺産・仁和寺に千社札を貼った東京都の60代男性が書類送検されています。
詳しくは産経新聞記事へ。
文化財に指定されている建物では、千社札を全て剥がす作業を行なう寺院、神社も出てきており、今後、益々、千社札については厳しい目が向けられそうです。
参考までに、各都道府県、市町村によっては独自に文化財保護法条例を施行しているところもあります。