【人生ノート 179ページ】人はまず第一に自分を知らねばならぬ。ほんとに自分が分かれば一切がわかる。
心にともしびを
なごやかに今朝はめざめぬ閃きのごとくに水をふと感じけり
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自分で自分を見つめている習慣をつけねばならぬ。人はまず第一に自分を知らねばならぬ。ほんとに自分が分かれば一切がわかる。自分が分からぬ間は何も分からぬ。自分の内界が闇である間は、見るものことごとくが黒である。自分の心に光がついたら、一切が見え出す。われらは、おうおう火をつけずに闇に物を見ようとあせっている。
自分の心そのものが神心にならなくては、決して神が見えも聞こえもするものではない。だから、いくら真理を説いても、対者がほぼそれだけの世界に住していなかったら、猫に小判である。鳥獣は餌でつるより外はない。対者の証覚相応なことを説かねばならぬ。卑近な話が却ってよく分かるもので、霊的な人とはそれを自分相応に非常に高尚優美に感得し、物的な人は相応の利害得失だけにしかとらない。いやしくも、真に悟を開いたほどの人ならば、かならず真理を行っており言っているのだが、凡人には自分相応にしか見えぬから、大して感動を受けぬ。
真理は昔から言いつくされているが、それを真に体験した人はごくごく少数である。
理屈だけを先にまる覚えしても何んにもならぬ。まず、自分で局にあたって、その度ごとに道理をのみ込むのでなくてはならぬ。道理と実際を一致させなくては、真にわがものとはならぬ。
『信仰覚書』第六巻 出口日出麿著