【人生ノート 209ページ】 上位に立つ人たち数人さえしっかりしておるならば、どんな仕事でも容易になし得るものである。
落ちつきのない人は、どうも信用しにくい。すぐ信用するかわりに、すぐ裏切るという恐れがあるからである。
人間はどうしても自己本位であり、目先本位であるから、ちょっとしたことにも狼狽し困惑しがちである。
責任の位置に立つ者は、ことに、よほどその言動を内省し注意せねばならぬ。自分はなんともなしに言ったり、したりすることが、すぐに多人数にいろいろと影響するからである。
頭に立つ人が粗雑で狭量であわて者であったならば、もはや、その団体はどうもがいてもダメである。
上位に立つ人たち数人さえしっかりしておるならば、どんな仕事でも容易になし得るものである。
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我田引水的な、手前ミソばかり並べていたところで、世間は目が高いから、なかなか、おいそれと引っかかるものではない。
まず中心から澄みきってしまわねば、外辺へおよぼすことは到底できない。
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肉体心がよほどしっかりしておらねば、引っかけ戻しをくった説きにグラグラとなりがちである。
要するに、自利をはなれた、いわゆる、善のための善をこころざし、行う覚悟さえあったならば、どんなことがあってもビクつくことはない。欲からかかっていると、とんだ目に遭いがちである。
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外見上、ちょっとしたことにも、これに魂の込めようひとつで、非常な重大な意義を含めることができる。
心がけひとつで、甲の一時間が乙の十年にもあたり、外見上、同一のことでも、甲には一の価値となり、乙には百の価値となっているのである。
『信仰覚書』第五巻、出口日出麿著