ボス、「ハコ」を買ってくる
その日は突然やってきた。
2017年秋。
「買っちゃった♪」
みんなが唖然とする中、はにかむボス。
このボスの一言で、ANCHORプロジェクトは突如として幕を開けた。
ボスが買ってきたのは、「城見壱番館」という築23年のワンルームマンション。
新幹線 のぞみも止まるJR福山駅から徒歩3分の好立地にありながら、
家賃は破格の3万円代。
全室、キッチン・ユニットバス・エアコン有り、広さ18㎡。
日当たりバッチリ。
別に汚くない。
言えない事件が過去にあったわけでもない。
それなのに、入居率60%…。
なんでやねん。
この不思議な物件が、のちに「ANCHOR HOTEL FUKUYAMA」と名乗るようになる。
なぜ、ボスはこの物件を買ってきたのか。
わたしたちは、この城見壱番館から徒歩30秒のところで30年間、
「福山オリエンタルホテル」というビジネスホテルを営んでいた。
(あ、過去形…もちろん、今でも絶賛営業中!)
当時、大浴場と朝食が人気のこのホテルは、ありがたいことに稼働率90%をキープしていた。
稼働率90%というと、月〜土曜はほぼ満室で、
俗に言う「予約がとりにくい」ホテル。
ボスは、「このホテルに予約が取れなかった人」の受け皿になるホテルを作ろうと目論んでいたのだ。
なので、当初は、
元々のワンルームマンションの設備を生かせるだけ生かし、コンパクトな費用と工事で、
なるべく早くにオープンさせる。
これが、プロジェクトの共通認識であった。
当初は。
今でこそ、ANCHOR HOTEL FUKUYAMAのHPには、
「単に寝泊りするだけの
ハコを作る時代は終わりました」
と、でっかく書いてあるけれど
まさに「単に寝泊りするだけのハコ」を作ろうとしていたのである。
だから、ホテル名も
福山オリエンタルホテルANNEX(仮)
とかなんとかっていう、シケた名前で始まった記憶がうっすらとある。
やりたいことも、名前も…色々と夢がない。
ゆえに、わたしたちは
開業のイメージにしても
「売上、上がるといいねー」
くらいのものだった。
それがまた、ある日のボスの一言で
グワっと事態が変わろうとは、誰が予想していただろう。
▶︎ANCHOR HOTEL FUKUYAMAの公式HP、SNSはこちらから。