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鬼頭莫宏の『殻都市の夢』を参考にした未来のAIビジネス
『殻都市の夢』とは鬼頭莫宏氏の短編SF集である。
知名度は低いのだが、著者の尖った性癖が作品に昇華されている。
AIの話は後述するので、まずはオススメの収録作から紹介したい。
(Kindle Unlimitedだと無料で読める)
1.作品紹介
1.誕生日の棺
![](https://assets.st-note.com/img/1681646863312-KlDhWtmsb3.png?width=1200)
クローン技術が一般化した世界で、1人の女性を愛しすぎた男の話。
20数ページしかない話だが、読んだ時の衝撃は今でも覚えている。
ラスト近くの見開き絵を是非とも自分の目で確かめて欲しい。
鬼頭莫宏という作家の凄さがわかるハズだ。
さらに、男女の愛の違いを端的に示す主人公たちのセリフも巧い。
本当に無駄のない短編なのだ。
人生を丸ごと愛したいという男の実現方法は歪んでいるのだが、理解できなくもないのが怖い。
2.造物主の檻
![](https://assets.st-note.com/img/1681647406247-3PEChtgU4g.png?width=1200)
誘拐犯が人間を使ったシミュレーションゲームを行う話。
ゲーム性はなく、マンションの住民の動向を眺めるだけのゲーム。
主人公たちは面白味を理解していなかったが、現実に発売されたら結構売れそうな感じがする。
恐らくAIの応用で早い内に実現されると思う。
美少女動物園的なきらら系日常アニメも、同じような構造であることに気づいてゾッとした。
2.AIビジネス
自分が未来を感じたのは『造物主の檻』に出てきたシミュレーションゲームである。
以前の記事に書いたが、未来ではAIが個人の執事のようになっていると思う。
つまり、個人の情報はAIが管理しているということだ。
もし生まれた時からパーソナルデータを集め続ければ、1人の人間を再現できることも可能だろう。
そうなれば自我を持った人格をゲーム内でシミュレート出来るかもしれない。
マトリックスの世界である。
そこで問われるゲームの面白さとは、何だろうか。
自分は世界観の設定だと思う。
現実ではありえない状況に遭遇した人間の対応こそがエンタメとなると考える。
食料の限られたサバイバル
ゾンビの氾濫する街
異世界
100年以上前の世界
これらの仮想世界で人格を持ったキャラはどう振る舞うのか。
興味のある人も多いと思う。
脚本のない生身の人間のフィクションが見れるのだ。
自分は映画の『トゥルーマン・ショー』が好きなので、結構ハマりそうな気がする。
また、任天堂が『どうぶつの森』をAIでやらせても面白いかも知れない。
平和な楽園を覗くという箱庭療法で、プレイヤーは神様気分を味わえる。
そういえば、斜線堂有紀先生の新作で自分の人格コピーしたAIを洋館に閉じ込める話があった。
AI視点で描かれており、自分が洋館に居る理由が分からないのが恐怖だった。
追記
シミュレーションが可能となれば、就職活動も実際の人間が不要となる。
面接をしなくても、適性を見ることが可能になるということだ。
正しいかは別として、人間の労力はますます減っていくだろう。