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【要約】3回以上読み返したビジネス本・3選
1.ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代
メンタリストDaiGoが動画内で推していた本。
日本の自己啓発本と違い、精神論に偏っていないのが良い。
1.オリジナリティとリスク分散
オリジナリティを追求するためには、徹底的にリスクを冒すことが必要だと思われているが、その考えが誤りであると述べている。
本業を続けた起業家は、やめた起業家よりも失敗の確率が33パーセント低かったのだ。
リスクを嫌い、アイデアの実現可能性に疑問をもっている人が起こした会社のほうが、存続する可能性が高い。
そして、大胆なギャンブラーが起こした会社のほうがずっともろいのである。
ある分野において安心感があると、別の分野でオリジナリティを発揮する自由が生まれるというメリットを見逃しているのだ。
以下が兼業でリスク分散を行った例である。
1997年、検索エンジンの開発が学業を妨げていることを心配し、2人はグーグルを現金と株式で200万ドル(約2億円)以下の価格で売却しようとした。だが幸運なことに、購入を検討していた先がそのオファーを断ったのだ。
当時陸上選手だったフィル・ナイト(ナイキ創業者)は1964年、車のトランクにランニングシューズを乗せて販売をはじめたが、1969年までは会計士としての仕事を続けていた。
ホラー小説の巨匠スティーブン・キングは、第一作目を執筆後も7年のあいだ、教師やガソリンスタンドの店員などをしており、日中の仕事をやめたのは『キャリー』で小説家デビューした一年後だ。
ブライアン・メイは、天体物理学の博士号課程のなかば、新しいバンドでギターを弾きはじめたが、学業を中断してそのロックバンド「クイーン」に全身全霊を傾けたのは、それから何年も経ってからのことだ。そしてその直後に、代表作『ウィ・ウィル・ロック・ユー』を作曲している。
つまり、ある分野で危険な行動をとろうとするのなら、別の分野では慎重に行動することによって全体的なリスクのレベルを弱めることができる。
株でいう分散投資である。
2.歴史的失敗のアイデア
21世紀に入ったばかりのころ、ある発明がシリコンバレーに旋風を巻き起こした。
スティーブ・ジョブズはその発明を、パソコン以来のもっとも驚異的な技術製品だと呼んだ。
「アマゾン」社の創業者ジェフ・ベゾスは、その製品をいったん見るや、すぐさま関与をはじめ、発明者に「革命的な製品だ。恐ろしく売れるよ」と太鼓判を押した。
この発明とはセグウェイのことである。
製品の開発から10年以上経っても、会社は黒字化せず、2020年に生産終了となった。
投資側の失敗の原因として
ある特定の分野において経験がある先駆者であっても、他分野での分析が長けているわけではない。
直感は、自分の経験が豊富にある分野においてのみ正しい。
と述べている。
ジョブズの先見性は、専門分野以外では働かなかった。
知識がない場合はじっくりと考えた方が正しい判断ができる。
また、開発者側の失敗については
アイデアが盗まれることを恐れ、また、コンセプトを公にするのは時期尚早であるとして、秘密を守り続けた。
秘密を守ることを優先したため、運用する際の問題を考慮していなかったことが挙げられている。
オリジナリティを正確に評価するために、同じ分野の仲間の意見をもっと求める必要があったのだ。
同業種の判断が、いちばん信憑性が高い。
3.オリジナル = 先発者である必要はない
もっとも重要な要因は、アイデアのユニークさでもなければ、チームの能力や実行性でもなく、ビジネスモデルの質でも調達資金量でもなかった。
「いちばんの要因はタイミングです」とグロスはいう。「成功と失敗を分けたのは、42パーセントの場合でタイミングでした」
先発企業の失敗率は47パーセント、そして後発企業はわずか8パーセントだった。
先発企業は後発企業よりも約6倍、失敗率が高かったことになる。
つまり、先発者になることは利点よりも不利な面が大きい。
逆に、市場の過熱ぶりが冷めたころまで待った起業家は、成功の確率が高くなっている。
4.先延ばしは独創の友
学者の見解では、ダ・ヴィンチは1503年から『モナ・リザ』を描きはじめ、何年かのあいだ描いてはやめるということをくり返したのちに放置し、亡くなる直前の一五一九年になってやっと完成させた。
たとえば、レオナルドは球面を照らす光を研究していたが、そのおかげで『モナ・リザ』と『洗礼者聖ヨハネ』の一連の絵画で立体感を出すことができた。
光学の実験があったからこそ、あのような絵画が出来上がったのだ。
先延ばしは、クリエイティブな仕事にはとくに有益 であることがわかった。科学におけるエリートたちは、「科学的な問題や解決策に対して、早まった選択をしないように、アイデアを温める期間として先延ばしをした」のである。
オリジナリティのある人は戦略的に先延ばしをし、さまざまな可能性を試し、改良することによって少しずつ進めているのだ。
2.アイデアのちから
読書猿さんがブログで推していた本。
共感を与えるアイデアの参考例が載っている。
(多過ぎるので飛ばしても良い)
1.記憶に焼き付くアイデアとは
単純明快である
意外性がある
具体的である
信頼性がある
感情に訴える
物語性がある
結論から言えば、上記の条件を満たしたものは「記憶に焼き付くアイデア」となる。
この本は6つの条件をそれぞれの章で詳しく説明している。
2.単純明快である(パームパイロットの開発)
単純明快で優れたアイデアは、洗練された的確さと実用性を備え、ことわざに似た役割を果たす。
パームパイロット(PDA)の開発者は、機能の詰め込みと戦うために、パームと同じサイズの木片を持ち歩いた。
3.意外性がある(ミニバンのテレビCM)
エンクレーブというミニバンは存在ない。
ミニバンのコマーシャルが戦慄の事故で幕を閉じると、私たちは立ちどまり、どういうことなのかと考える。
人は驚くと答えを見出そうとする。
いったい、なぜ自分は驚いたのか、という疑問を解消したくなるからだ。
驚きが大きければ、それだけ大きな答えを求める。
注意を払ってくれるよう相手を動機づけたいのなら、大きな驚きの威力を利用すべきだ。
ただ、相手を満足させるためには、驚きは「後から考えれば理解できる」ものでなければならない。
4.具体的である(宗教の勧誘)
カリフォルニア州アーバインの郊外にあるサドルバック教会は、信徒数を5万人に増やすという大成功をおさめた。
教会指導部は、教会に来てほしい人物像を何年もかけて詳細に描きだした。彼らはその人物を「サドルバック・サム」と呼んでいる。
勧誘対象を具体的に設定することで、ターゲットを明確にすることが可能となった。
5.信頼性がある(ダースベイダーの歯ブラシ)
【実験内容】
1986年、ミシガン大学の研究者ジョナサン・シェドラーとメルビン・マニスは、模擬裁判実験を行った。
被験者は陪審員役になり、架空の裁判の台本を与えられて読む。
陪審員の仕事は、ジョンソン夫人の母親としての適性を評価し、7歳の息子の養育権を引き続き認めるかどうかを判断することだ。
一方のグループの台本では、ジョンソン夫人に有利な意見には細部の鮮明な描写が盛り込まれ、不利な意見には余計な詳細情報が一切ない。
別のグループの台本は、これと逆だった。
例えば、有利な意見の一つに、「ジョンソン夫人は、子どもが寝る前にはきちんと顔を洗わせ、歯を磨かせる」というのがあるが、鮮明な細部描写がある方には、「子どもが使っているのは、スターウォーズのダース・ベイダーの形をした歯ブラシだ」というくだりが加えられている。
【結果】
有利な意見に鮮明な細部描写のある台本を読んだ陪審員は、不利な意見に細部描写のある台本を読んだ陪審員より、ジョンソン夫人を親として高く評価した。
細部描写が意見の信頼性を高めたからだ。
ダース・ベーダーの歯ブラシと聞けば、少年が洗面所で嬉しそうに歯を磨く様子が頭に浮かび、その結果、ジョンソン夫人はよい母親だという思いが強まる。
6.感情に訴える(セーブザチルドレン)
【マザーテレサ効果】
抽象的な大義名分より個人を引き合いに出した方が、よい反応を得ることができる。
人々は「アフリカの貧困」には寄付をしなくても、特定の子どもへの経済的援助ならしてくれる。
7.物語性がある(サブウェイ・サンドイッチ・ダイエット)
ジャレドは体重のことで真剣に悩んでいた。大学2年で体重は193キロ。シャツのサイズは大型サイズ専門店でも最大級のXXXXXXL、ズボンはウェスト150センチだった。
ジャレドの父親(医者)は、今の体重と健康状態では35歳まで生きられないとジャレドに言った。
ジャレドは減量することを心に誓い「サブウェイダイエット」を始めた。
3ヶ月後、彼の体重は30キロも減っていた。
この物語は、記憶に焼き付くアイデアの条件を見事にクリアしている。
単純明快である : サブウェイ・サンドイッチを食べれば体重が減る。
意外性がある : ファストフードを食べて、大幅に体重が減る。
この物語は私たちのファストフードのイメージを打ち破る。具体的である : 特定のサンドイッチだけを食べるダイエット。
信頼性がある : ウエスト150センチの人がアドバイスしてくれる。
感情に訴える : 大衆はジャレドという個人に気をかける。
物語性がある : 大きな障害を乗り越えて勝利をつかんだ主人公。
人々に勇気を与える。
上記の補足となる研究結果もある。
学生は、1分間スピーチの中で統計を平均2.5個使用するが、物語を語るのは10人に1人。これがスピーチの統計だ。
ところが、「記憶」の統計はほぼその正反対だ。
発表内容を思い出すように言うと、学生の63%が物語を思い出し、統計を思い出した学生は5%にすぎなかった。
3.SIMPLE RULES 「仕事が速い人」はここまでシンプルに考える
Amazonのオススメにあった本。
シンプルなルールを作ることの効果を教えてくれる。
海外ビジネス本あるあるなのだが、持論を裏付けるための例が多い。
「シンプルなルール」には、つぎの4つの特徴がある。
1.ルールの数が少ない
2.使う人に合わせてカスタマイズできる
3.具体的である
4.柔軟性がある
1.ルールの数が少ない
1939年に第二次世界大戦が勃発した。アメリカ陸軍軍医総監はこの戦争で、負傷兵を重症度や緊急度に応じて振りわけるシステムをとりいれた。いわゆる「トリアージ」である。トリアージとはフランス語で〝選別〟を意味する言葉だ。
このシステムを取り入れることで、負傷者の生存率が大きく上昇した。
1.指示にしたがえるか
2.脈拍数が毎分一120未満か
3.呼吸数が毎分10以上30未満か
このルールにもとづき、彼らは治療や搬送の優先順位を示す識別票(トリアージ・タグ)を負傷者につけていった。トリアージ・タグには四色ある。
緑──軽症群
黄──待機的
赤──最優先治療群
黒──死亡群
治療や搬送の順番は、赤→黄→緑→黒となる。
ルールが単純だからこそ、優先順位に集中できるし、忘れにくい。
2.大切なことを見分ける(優先・停止ルール)
【優先順位ルール】
シリコンバレーに本社を構えるある大手企業は、社員採用の際に「優先順位ルール」を活用して、「現役の従業員から紹介された人物」を優先的に雇うことにしている。
【停止ルール】
みずからつくった「停止ルール」を守らなかったばかりに、悲劇的な死を遂げたある登山家のケースを紹介しておく。
スコット・フィッシャーは、全員が生きて第四キャンプに戻ってくるために、みずからが考えた「停止ルール」を必ず守るようメンバーたちに強く命じた。
そのルールとは
「午後2時までに山頂に到達できなければ、潔く引き返す」
スコット・フィッシャーが登頂を果たしたのは、午後3時45分だった。
フィッシャーは、今もエベレストで眠っている。
3.ルールを最小まで絞り込む
モネは6色の絵の具だけを使い、生涯で200点以上のスイレンを描き、刻一刻と移りゆく光と色彩の変化を追求した。
エルモア・レナードは会話の名手だ。本筋に不要だと思う部分を徹底的に切りすてることで、〝レナード・タッチ〟と呼ばれる、軽やかで洗練された会話の魅力をより引きたたせている。
4.仕事の現場でどう活かすか
ルールづくりには、やってはいけない「鉄の 掟」がある。
まず、 トップダウン方式は禁物だ。
ルールというのは実際にそれを運用する人がかかわってつくるべきで、
4人から8人くらいで話しあって決めるといいだろう。
実際にルールを使う人が現実的なものの見方に一番近いので、経験を活かして使い勝手のよいルールに落としこむことができる。