インロックが怖すぎる
先日のことだ。
車の助手席にカバンを置いてドアを締めた際「ガチャ」という音がした。
いわゆるインロックという現象だ。
背筋が凍るのを感じた。
マズかったのがカバンの中に
スマートフォン
財布
家の鍵
という3種類が入っていたことだ。
つまり、連絡手段、金銭、住居という3種類がインロックによって失われたのだ。
しかも、近所に知り合いもいない。
(一人暮らしで地縁がない)
まずは実家に電話をしようと思ったが、スマフォがないため連絡はつかない。
公衆電話も探したが、近場にはない。
こういう状況になって公衆電話の必要性が理解できた。
しかし、見つかっても財布がないので電話はできないことに気付いた。
次に交番を探したが、土地勘がなくスマフォもないので場所がわからない。
そもそも警察がどれだけアテになるのかは怪しい。お金は貸してくれないだろう。
文明の利器に頼りすぎていたため、一瞬で砂漠に放り出された気分になった。
泣きそうになりながら考え込んでいると、1つの答えが浮かんだ。
車のディーラーなら、解錠方法を知っているかもしれない。
記憶をたどりながら、大通りでディーラーを探した。
以前CX-30の試乗のために来店したことがあったので、大まかな場所は覚えていた。
(ディーラーまでは徒歩で20分ほどかかった)
汗だくになりながら店員さんに事情を説明すると、
「メーカーでは解錠はできないが、保険会社のロードサービスなら対応可能」ということだった。
何とか電話を貸してもらい、ソニー損保にお願いすることにした。
トラブルになるまで知らなかったが、インロックの解錠はよくあるトラブルらしい。
家まで歩いて引き返し、1時間30分ほど待つと、ハイエースに乗った鍵師がやってきた。
解錠方法はまさかのアナログ式ピッキング。
狭い駐車場の間に潜り込みながら、ガチャガチャと作業が始まった。
マツダの車は鍵が特殊らしく、解錠までに20分かかった。
「欧州車は特に鍵を開けるのが厄介でね」
というやりとりをしつつ、半日かかって車の鍵がようやく開いた。
散々な1日だったが、都会で遭難するという貴重な体験ができた。
車の鍵だけは、常にポケットにいれるように心がけたい。
念の為、鍵の電池は交換した。